金属加工 ミスミの切削と板金加工の種類とmeviyの活用方法

金属加工でミスミの利用を検討中ですか?本記事では、ミスミが提供する主要な加工サービスである切削加工と板金加工の基本的な違いから、それぞれの特徴、材料選定のポイントまでを網羅的に解説します。さらに、3D CADデータだけで部品を発注できる革新的なAIプラットフォーム「meviy」の具体的な活用法や、精度を出すための設計ノウハウまで深掘りします。あなたの部品調達プロセスは、本当に最適化されていますか?

金属加工とミスミのサービス

ミスミで実現する金属加工の最適化
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加工方法の選定

切削と板金、それぞれの特徴を理解し、部品の要件に最適な加工方法を選択する方法を解説します。

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AI見積もり meviy

3D CADデータをアップロードするだけで、即時見積もりと最短1日出荷を実現するmeviyの革新的な機能を詳解します。

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材料と表面処理

鉄、アルミ、ステンレスなどの材料特性と、強度や耐食性を向上させる表面処理・熱処理の重要性を説明します。

金属加工 ミスミが提供する主要な加工方法(切削・板金)の違い

 

金属加工の世界は奥深く、目的の部品形状や性能を実現するためには、適切な加工方法の選定が不可欠です。 特に、ミスミが提供するサービスの中でも中核をなすのが「切削加工」と「板金加工」です。 これらは金属を加工するという点では共通していますが、その原理と得意な形状は大きく異なります。
切削加工とは? ⚙️
切削加工は、ドリルやエンドミルといった刃物(切削工具)を使い、金属の塊から不要な部分を削り取って目的の形状を作り出す加工方法です。 まるで彫刻のように、材料を少しずつ除去していくイメージです。

 

参考)https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/howto/metal-machining/25192/

     

  • 旋盤加工: 材料を回転させ、固定した刃物を当てることで、シャフトのような丸い形状(軸物)を加工します。
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  • フライス加工: 工具を回転させ、固定した材料に当てることで、平面や溝、複雑な三次元形状を加工します。特に、複数の軸を同時に制御する「5軸加工」では、非常に複雑な形状も一度の段取りで加工可能です。
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  • 穴あけ加工: ドリルを使い、部品に穴を開ける基本的な加工です。
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  • 研削加工: 高速回転する砥石(といし)を使い、表面をわずかに削ることで、非常に高い寸法精度や滑らかな表面(面粗度)を実現します。焼入れ後の硬い材料の仕上げなどにも用いられます。

切削加工の最大のメリットは、高い精度を実現できる点です。 金型などを必要としないため、1つからの試作品製作や多品種少量生産にも柔軟に対応できます。 ミスミでは、鉄鋼、ステンレス、アルミニウム、銅、さらには樹脂やセラミックスまで、多岐にわたる材料の切削加工サービスを提供しています。

 

参考)https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/tips/fa_tips/29768/

板金加工とは? 🔨
板金加工は、その名の通り、薄い金属の板(シートメタル)を主な材料として、曲げたり、切断したり、溶接したりして立体的な形状を作り出す加工方法です。 切削加工が「引く」加工であるのに対し、板金加工は材料を「変形させる」または「組み立てる」加工と言えます。

 

参考)https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/howto/metal-machining/25609/

     

  • 切断(ブランク加工): レーザー加工機やタレットパンチプレスを使い、金属板から目的の形状を切り出します。
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  • 曲げ加工: プレスブレーキという機械を使い、切り出した金属板をV字型やL字型などに曲げます。
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  • 溶接: 複数の板金部品を熱で溶かして接合し、複雑な構造体(筐体など)を製作します。

板金加工は、カバーやブラケット、ケースといった箱物形状の製作に非常に適しています。 一般的に、切削加工に比べてコストを抑えやすく、納期も短い傾向にあるため、価格とスピードを優先する場合に選ばれることが多いです。

以下の表は、両者の違いをまとめたものです。

 

項目 切削加工 板金加工
主な材料 金属の塊(ブロック材、丸棒) 金属の板(シートメタル)
加工原理 削り取る(除去加工) 曲げる、切る、繋ぐ(塑性加工、溶接)
得意な形状 ブロック部品、精密部品、複雑な三次元形状 カバー、ブラケット、ケース、筐体
精度 高い (μm単位の精度も可能) 中程度 (一般的に0.1mm単位)
コスト 高くなる傾向 比較的安価
納期 長くなる傾向 比較的短い

部品の用途、必要な精度、コスト、数量などを総合的に考慮し、最適な加工方法を選択することが、高品質かつ経済的な部品調達の鍵となります。
参考情報:ミスミが提供する切削加工と板金加工のサービス概要や違いについて、公式サイトでさらに詳しく解説されています。

 

板金と切削の違いとは?成形方法、加工特性から使い分けまで | meviy

金属加工 ミスミの革新的サービスmeviyとは?CADデータで見積もり・発注

従来の部品調達では、設計者が作成した2D図面をもとに、複数の加工会社に見積もりを依頼し、納期や価格を比較検討するというプロセスが一般的でした。 この方法は、多くの時間と手間を要し、設計者の大きな負担となっていました。 この常識を覆したのが、ミスミが提供するAI搭載の革新的な部品調達プラットフォーム「meviy(メビー)」です。
meviyの核心機能:3Dデータをアップロードするだけ 💡
meviyの最大の特長は、設計者が作成した3D CADデータをウェブサイトにアップロードするだけで、AIが即座に形状を解析し、見積もり金額と最短納期を提示してくれる点です。 2D図面を作成する必要は一切ありません。

 

参考)https://jp.meviy.misumi-ec.com/help/ja/operation_manual/first/5029/

     

  1. 3D CADデータのアップロード: 設計者が使用しているCADソフトで作成した3Dモデルを、meviyのプラットフォームに直接アップロードします。 ネイティブファイルから中間ファイル(STEP, IGESなど)まで、幅広いファイル形式に対応しています。
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  3. AIによる自動解析と即時見積もり: アップロードされた3Dモデルの形状や寸法、穴のタイプなどをAIが自動で認識・解析します。 その後、材質表面処理、数量といった条件を選択すると、わずか数秒から数分で正確な見積もり金額と出荷日が表示されます。
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  5. そのまま発注、最短1日出荷: 提示された見積もり内容で問題がなければ、そのまま画面上で発注が完了します。 驚くべきことに、meviyは最短で受注当日の加工、翌日出荷という圧倒的なスピードを実現しています。

このプロセスにより、従来数週間かかっていた部品調達のリードタイムが劇的に短縮され、設計者は本来の業務である設計開発に、より多くの時間を割くことが可能になります。

 

参考)https://jp.meviy.misumi-ec.com/help/ja/wp-content/uploads/2025/03/meviy_operation_manual.pdf

meviyがもたらすメリット 📈

     

  • 圧倒的な時間短縮: 図面作成、見積もり依頼、納期調整といった煩雑な作業が一切不要になり、調達にかかる時間を90%以上削減したという事例もあります。
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  • 24時間365日利用可能: Webベースのサービスなので、いつでもどこでも、必要な時に部品の見積もり・発注が可能です。
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  • コストの透明性: 材質や公差、表面処理などの条件を変更すると、価格がリアルタイムで変動するため、コストと仕様の最適なバランスをその場で検討できます。
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  • ヒューマンエラーの削減: 3Dデータを直接利用するため、図面の解釈ミスや転記ミスといった人為的なエラーが発生するリスクを根本から排除します。

meviyは単なるオンラインストアではありません。AIと長年培われた製造業の知見を融合させ、設計から調達までのプロセス全体を革新する「製造業のプラットフォーム」なのです。

 

参考)https://meviy.misumi-ec.com/ja-jp/

参考情報:meviyの具体的な操作手順や対応ファイル形式については、以下の公式マニュアルで詳細に確認できます。

 

meviyの操作手順 | meviy使い方マニュアル

金属加工 ミスミにおける材料選定と表面処理・熱処理の重要性

高品質な金属加工部品を製作するためには、形状の設計だけでなく、その部品が使用される環境や目的に応じた「材料選定」と、性能を最大限に引き出すための「表面処理・熱処理」が極めて重要です。 ミスミでは、多種多様な金属材料と処理方法が用意されており、これらを適切に組み合わせることで、部品の価値を飛躍的に高めることができます。
主要な金属材料とその特徴 🔩
ミスミのmeviyなどで選択可能な代表的な金属材料には、以下のようなものがあります。

 

参考)切削加工サービス

材料カテゴリ 代表的な材料記号 特徴と主な用途
鉄 (鋼) SS400, S45C, SCM435 最も一般的で安価な金属材料。強度、硬度、靭性のバランスが良い。機械構造部品、治具、プレートなどに広く使用される。
ステンレス鋼 SUS304, SUS316, SUS440C 錆びにくさ(耐食性)が最大の特徴。SUS304は最も汎用的。SUS316はさらに耐食性が高く、沿岸部や薬品を扱う環境で使用される。SUS440Cは焼入れにより非常に高い硬度が得られる。
アルミニウム合金 A2017, A5052, A7075 軽量であることが最大の特徴。比重は鉄の約1/3。加工しやすく、熱伝導性も良い。軽量化が求められる装置部品、放熱部品(ヒートシンク)などに使われる。A7075は「超々ジュラルミン」とも呼ばれ、アルミ合金の中で最高の強度を誇る。
銅・銅合金 C1020 (無酸素銅), C3604 (快削黄銅) 電気伝導性と熱伝導性に非常に優れる。C1020は導電部品や電極に、真鍮の一種であるC3604は加工しやすいため、コネクタや精密部品に用いられる。

性能を向上させる表面処理・熱処理 🔥
加工したままの部品(生材)でも使用できますが、多くの場合、さらなる性能向上のために表面処理や熱処理が施されます。

 

参考)https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0064.html

     

  • 熱処理: 金属全体を加熱・冷却することで、内部の組織を変化させ、性質を改善する処理です。

    • 焼入れ・焼戻し: 鋼を硬くし、耐摩耗性を向上させる最も代表的な熱処理。工具や歯車など、硬さが必要な部品に必須です。
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    • 焼なまし (アニーリング): 金属を軟らかくし、加工しやすくしたり、内部の歪みを取り除いたりします。
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  • 表面処理: 部品の表面に薄い皮膜を形成することで、様々な機能を付与する処理です。


    • めっき: ニッケルクロムなどの金属膜で覆い、耐食性や装飾性を向上させます。三価クロメート処理は、環境負荷が少ない代表的な錆処理です。
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    • アルマイト: アルミニウム専用の表面処理で、表面に硬く錆びにくい酸化皮膜を形成します。カラーアルマイトによる着色も可能です。
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    • 塗装: 美観の向上と、強力な防錆効果をもたらします。
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例えば、S45Cという安価な炭素鋼でも、適切に焼入れ・焼戻しを行えば、高価な工具鋼に匹敵する硬度を得ることができます。また、アルミニウム部品に硬質アルマイト処理を施せば、鉄に劣らない表面硬度と優れた耐摩耗性を両立させることも可能です。材料と処理の知識は、コストを抑えつつ要求仕様を満たす「賢い設計」に直結するのです。

 

参考情報:ミスミのサイトでは、取り扱い材料や表面処理について、さらに詳しい技術情報が公開されています。

 

よく使われる金属材料(工業材料と表面処理の基礎) - ミスミ

金属加工 ミスミの部品精度を最大化する設計のポイントと公差

ミスミのmeviyのような高精度な加工サービスを利用しても、設計段階での配慮がなければ、そのポテンシャルを最大限に引き出すことはできません。 部品の性能を保証し、かつ無駄なコストをかけないためには、「精度の勘所」を押さえた設計が重要になります。
公差を制するものがコストを制す 💰
「公差」とは、設計寸法に対して許容される誤差の範囲のことです。例えば、「10mm ±0.01」と図面に指示があれば、完成した部品の寸法が9.99mmから10.01mmの範囲に収まっていなければなりません。

 

     

  • 厳しい公差はコスト増に直結: 公差が厳しくなればなるほど、加工には手間と時間がかかります。高精度な加工機が必要になったり、測定に時間がかかったり、不良率が上昇したりするため、コストは指数関数的に増加する傾向があります。
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  • 機能的に必要な箇所にのみ指示する: 部品全体の寸法を厳しくする必要はありません。他の部品と勘合する穴径や軸径、位置決めに重要な端面など、機能的に本当に精度が求められる箇所に限定して公差を指示することが、コストを抑える基本です。
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  • meviyでの公差設定: meviyでは、モデル全体に適用される「全体公差」と、穴や特定の面など、指定した箇所に個別に設定できる「個別公差」があります。これにより、設計者は重要な部分の精度を確保しつつ、他の部分の公差は標準(緩め)に設定することで、コストと性能のバランスを最適化できます。

加工方法を意識した設計(DFM: Design for Manufacturability)
優れた設計者は、常に「この形状はどうやって加工するのか?」を頭の中でシミュレーションしています。

 

     

  • 工具が届かない形状は作れない: 例えば、内側の角(隅R)は、使用するエンドミルの半径より小さくすることはできません。完全にピン角にしたい場合は、放電加工などの別の工法が必要になり、コストが大幅に上がります。設計段階で、工具径を考慮した隅Rを設定しておくことが重要です。
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  • 薄すぎる肉厚、細長い形状は避ける: 切削加工中に、薄い壁や細長いピン形状は、工具の圧力で「びびり」と呼ばれる振動を起こしやすく、寸法が安定しなかったり、最悪の場合は破損したりします。十分な剛性を保てるような形状を心がけるべきです。
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  • 基準面を明確にする: 加工や測定の基準となる面(データム)を明確に意識して設計することで、累積誤差を減らし、全体の精度を高めることができます。

高精度な部品を安定して得るためには、やみくもに厳しい公差を指示するのではなく、「なぜその精度が必要なのか」を常に自問し、加工の原理原則に基づいた設計を行うことが、真のプロフェッショナルへの道と言えるでしょう。

 

参考情報:切削加工の基礎知識や設計のポイントについて、以下のページで分かりやすく解説されています。

 

切削加工の基礎知識:種類、特徴、加工のポイントを解説! - ミスミ

【独自視点】金属加工 ミスミのサービスを個人利用・DIYで活用する意外な方法

ミスミやmeviyは、主に企業の設計者や開発者が利用するプロ向けのサービスというイメージが強いかもしれません。 しかし、実はこれらのサービスは、個人の趣味やDIYプロジェクトにおいても、非常に強力な武器となり得ます。法人でなければ利用できないという制約はなく、個人でもアカウントを登録すれば、プロと同じ高品質な加工サービスを1点から利用できるのです。
趣味の世界を広げるカスタムパーツ製作 🏍️
3Dプリンターの普及により、個人でも複雑な形状の樹脂パーツが作れるようになりました。しかし、「もっと強度や剛性が欲しい」「金属ならではの質感が欲しい」と感じる場面は少なくありません。

 

     

  • バイクや自動車のカスタムパーツ: 例えば、既製品では満足できないオリジナルのステップ、ブラケット、メーターパネルなどを、高強度なアルミ合金(A7075など)で製作できます。3D CADで理想の形状を設計し、meviyにアップロードすれば、世界に一つだけの高品質な金属パーツが手に入ります。
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  • ドローンやロボットのフレーム: 軽量かつ高剛性が求められるドローンのフレームや、ロボットアームの部品などを、カーボンプレートの代わりにアルミニウムで製作することで、剛性を飛躍的に高めることができます。
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  • オーディオやPCの自作: オリジナルデザインのアルミ製PCケースや、重量級のオーディオアンプ用インシュレーター(脚部)など、金属の重厚感と高い加工精度を活かした趣味の逸品を製作するのも面白いでしょう。

meviyを個人で使うメリットとコツ ✨

     

  • プロ品質が1個から手に入る: 個人の趣味製作で、町の加工業者に1点ものの部品を依頼するのは、価格や納期の面でハードルが高いのが現実です。meviyなら、価格と納期が明確なうえ、1個からでも気兼ねなく発注できます。
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  • 3D CADスキルが活かせる: Fusion 360などの無料で使える高機能3D CADソフトが増えた今、個人のCADスキルは飛躍的に向上しています。そのスキルを、樹脂の3Dプリントだけでなく、金属加工という新たなステージで存分に発揮できます。
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  • 失敗から学ぶサイクルを高速化: 試作品がすぐに手元に届くため、「設計→製作→評価→改善」という開発サイクルを高速で回すことができます。これは、スキルアップを目指す学生や若手エンジニアにとって、最高の学習環境と言えるでしょう。

ミスミのサービスは、もはや企業だけのものではありません。あなたの創造力と3D CADスキル、そしてmeviyを組み合わせれば、趣味やDIYの可能性は無限に広がります。これまで諦めていた「金属でしか実現できないアイデア」を、今こそ形にしてみてはいかがでしょうか。

 

参考情報:個人ユーザーによるmeviyの活用事例として、ロボットのカスタマイズに関するブログ記事があります。

 

CuGoを自分流にカスタマイズ!MISUMI meviy活用術

 

 


今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい金属加工の本