切断機シャーの種類と使い方、構造と選び方の完全ガイド

切断機シャーの導入を検討している方へ。本記事では、基本的な種類や構造、正しい使い方から、自社に合った機械の選び方までを網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたのシャーに関する疑問はすべて解決するでしょう。最適な一台を見つけるためのヒントがここにありますか?

切断機シャーの基本と応用

この記事でわかること
シャーの原理と構造

ハサミと同じ「せん断」の仕組みから、主要な部品の役割までを詳しく解説します。

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シャーの種類と特徴

油圧式、機械式、ハンドシャーなど、様々な種類の違いと得意な加工を比較します。

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選び方と活用法

自社に最適な一台を見つけるポイントや、意外なコスト削減のヒントまで紹介します。

切断機のシャーとは?その基本原理と構造

 


切断機シャー(シャーリングマシン)は、金属の板材を直線的に切断するための工作機械です 。その最も基本的な原理は、文房具のハサミと全く同じ「せん断」です 。固定された下刃と、上から降りてくる上刃の間に金属板を挟み込み、大きな力を加えることで切断します 。このシンプルながらも強力な仕組みにより、人力では不可能な厚い鋼板でも、高速かつ正確に切断することが可能です 。
シャーの主要な構造は、以下の部品で構成されています 。

  • 刃物(上刃・下刃): 切断の要となる部分です。高強度な工具鋼で作られており、定期的な研磨や交換が必要です 。上刃には「シャー角」と呼ばれるわずかな角度が付けられており、これにより切断抵抗を減らし、スムーズな切断を実現します 。

  • 作業台(テーブル): 材料を乗せる平らな台です。

  • 押さえ装置(クランプ: 切断時に材料が動かないように、上から強力に押さえつける装置です。これにより、切断精度を高め、作業者の安全を確保します。

  • バックゲージ(突き当て): 切断寸法を決めるための装置です。材料をこのゲージに突き当てることで、常に同じ長さで正確に切断できます 。近年の機械では、NC制御によって自動で位置決めされるものが主流です 。

  • 駆動装置(油圧シリンダー or フライホイール): 上刃を動かすための動力源です。油圧式と機械式で構造が異なります 。


シャー角と、上下の刃の隙間である「クリアランス」の調整は、美しい切断面を得るために非常に重要です。クリアランスが広すぎると切断面に「だれ」や「バリ」が発生し、狭すぎると刃が欠ける原因となります。加工する材料の材質や板厚に応じて、最適なクリアランスに設定する必要があります 。

シャーリングマシンの構造と各部の名称について、こちらのサイトで図解されています。

 

シャーリングマシンとは?シャーリングマシの仕組みとシャー角 | モノトづくり

切断機のシャーの種類と比較!油圧式と機械式の違い


シャーリングマシンは、上刃を駆動させる方式によって、主に「機械式」と「油圧式」の2種類に大別されます 。それぞれにメリット・デメリットがあり、加工したい製品や工場の状況によって最適な選択は異なります。
機械式シャーリングマシン ⚙️

フライホイール(弾み車)の回転エネルギーを利用して上刃を駆動させるタイプです 。加工スピードが非常に速く、薄板の大量生産に向いています 。構造が比較的シンプルなため、メンテナンスが容易というメリットもあります。しかし、切断時の衝撃や騒音が大きいというデメリットがあり、厚板の加工には不向きです 。
油圧式シャーリングマシン 💧

油圧シリンダーによって上刃を駆動させるタイプです 。油の力で動作するため、非常に大きな力を発生させることができ、6mmを超えるような厚板の切断も可能です 。また、機械式に比べて動作が静かで、切断時の衝撃も少ないため、安定した圧力で美しい切断面が得られます 。シャー角やクリアランスの調整が容易なモデルが多いのも特徴です 。一方で、機械式に比べると加工スピードはやや劣る傾向にあります。
以下に、両者の特徴をまとめました。
項目 機械式シャー 油圧式シャー
得意な加工 薄板の高速・大量生産 厚板の精密な切断
加工速度 速い 🚀 比較的遅い
切断面の質 やや劣る きれい ✨
騒音・振動 大きい 小さい
価格 比較的安い 比較的高価
メンテナンス 容易 専門知識が必要

この他にも、手で持って使える「ハンドシャー」や、L字型の切り欠きを入れる「コーナーシャー」など、用途に応じた様々な種類のシャーが存在します 。

切断機のシャーの正しい使い方とメンテナンスのコツ


シャーリングマシンは、金属をパワフルに切断できる便利な機械ですが、一歩間違えれば重大な事故につながる危険性もはらんでいます。安全かつ高精度な加工を行うために、正しい使い方と日々のメンテナンスが不可欠です。

基本的な操作手順と安全上の注意点 ⚠️

基本的な使い方は、材料をセットし、ペダルを踏んで切断するというシンプルなものです 。しかし、その前後には多くの確認事項があります。

  1. 始業前点検: まず、機械の周囲に工具や障害物がないか確認します。刃の状態、油圧オイルの量、安全装置が正常に作動するかを必ずチェックしてください。

  2. 電源投入: 主電源を入れ、機械を起動させます 。

  3. 設定の確認: 加工する材料の板厚と材質に合わせて、クリアランスとシャー角、バックゲージの位置を正確に設定します。

  4. 材料のセット: 材料を作業台に乗せ、バックゲージにしっかりと突き当てます。この際、指を刃や押さえ装置に近づけすぎないよう細心の注意を払ってください。

  5. 切断実行: フットスイッチ(ペダル)を踏み込むと、押さえ装置が下降して材料を固定し、その後上刃が下降して切断が行われます 。長い材料を加工する際は、2人以上で協力し、合図を徹底することが重要です 。

  6. 加工後の確認: 切断された材料を取り出し、寸法や切断面の状態を確認します。バリが鋭く危険なため、素手で触らないようにしましょう。

  7. 作業終了時: 作業が終了したら、必ず電源を切ってください 。長時間機械から離れる際も同様です。


絶対にやってはいけないこととして、「材料の2枚重ね切断」があります 。板厚が薄いからといって重ねて切断すると、機械に過大な負荷がかかり、故障や事故の原因となります。
メンテナンスのコツ

機械の寿命を延ばし、常に最高のパフォーマンスを発揮させるためには、日々のメンテナンスが欠かせません。


  • 清掃: 作業後は、機械周りの切り屑やゴミをきれいに清掃します。

  • 刃の管理: 切れ味が悪くなったり、刃が欠けたりすると、切断面の品質が著しく低下します。定期的に刃の状態を確認し、必要に応じて研磨や交換を行いましょう。

  • 給油:摺動部や回転部には、定期的に指定された潤滑油を給油してください。油圧式の場合は、作動油の量や汚れも定期的にチェックが必要です。

安全な作業手順の詳細は、各機械の取扱説明書で必ず確認してください。

【独自視点】切断機のシャー導入後の費用対効果と意外な活用法


シャーリングマシンは高価な設備投資ですが、長期的に見れば大きな費用対効果を生み出す可能性を秘めています。単なる「切る」という機能だけでなく、その高速性や特性を活かすことで、コスト削減や新たな価値創造に繋がります。

人件費削減と生産性向上によるコストメリット 💰

シャーの最大の強みは、なんといってもその切断スピードです 。例えば、プラズマ切断やガス切断と比較して、薄板〜中厚板の直線切断においては圧倒的な速さを誇ります。これは、作業時間の短縮、すなわち人件費の削減に直結します。手作業で金バサミを使っていた作業をシャーに置き換えるだけで、生産性は数十倍から数百倍に向上するケースも珍しくありません。また、NC制御のシャーを導入すれば、熟練工でなくとも高精度な加工が可能となり、人材育成コストの削減や品質の安定化にも貢献します。初期投資は大きいですが、1日あたりの加工量が多い工場ほど、短期間で投資を回収できる可能性が高まります。
意外な活用法:スクラップの価値向上と環境貢献 ♻️

シャーの活用法は、製品加工だけにとどまりません。意外な活用法として「スクラップの減容化と価値向上」が挙げられます。工場で発生した大きな端材やスクラップは、そのままではかさばり、運搬や保管にコストがかかります。これらをシャーで細かく切断・整頓することで、保管スペースを削減し、運搬効率を高めることができます。さらに重要なのは、スクラップ業者によっては、細かく整えられたスクラップを高品質な「新断(しんだん)スクラップ」として、通常より高く買い取ってくれる場合があることです。これは、製鋼メーカーが再利用する際に溶解しやすくなるためです。シャーは、廃棄物であったはずのスクラップを、収益を生む「商品」へと変える可能性を秘めているのです。これはコスト削減だけでなく、資源の有効活用という環境貢献にも繋がります。

他にも、シャーで切断した金属板を組み合わせることで、看板やオブジェといった金属アート作品を製作するなど、創造的な活用も考えられます。直線的なカットしかできないという制約が、逆にユニークなデザインを生み出すきっかけになるかもしれません。

失敗しない切断機のシャーの選び方とおすすめメーカー


自社に最適なシャーリングマシンを選ぶことは、将来の生産性を大きく左右する重要な決定です。ここでは、選定で失敗しないためのポイントと、信頼できる国内の主要メーカーを紹介します。

選定で失敗しないためのチェックポイント

  • 加工能力(切断長と板厚): まず最も重要なのが、自社で主に加工する材料の最大サイズ(長さ)と厚さに対応できるかです。将来的に扱う可能性のある材料も考慮し、少し余裕のあるスペックを選ぶと良いでしょう。「大は小を兼ねる」ですが、オーバースペックは無駄なコストになります。

  • 駆動方式(油圧式 vs 機械式): 薄板の大量生産がメインなら高速な「機械式」、厚板や高精度な加工が求められるなら「油圧式」が基本です 。工場の騒音規制や、求める品質に応じて選択します。

  • バックゲージの仕様(手動 vs NC制御): 多品種少量生産で頻繁に寸法変更を行う場合は、自動で位置決めしてくれるNC制御が圧倒的に効率的です 。特定の寸法しか切断しないのであれば、コストを抑えられる手動式も選択肢になります。

  • 安全性: 光線式安全装置やエリアセンサーなど、作業者の安全を守る機能が十分に備わっているかを確認しましょう。中古機の場合は特に注意が必要です。

  • 設置スペースと電源: 機械本体のサイズはもちろん、材料の搬入・搬出スペースも考慮して、工場に収まるかを確認します。また、必要な電源容量(電圧、電流)が工場の設備で供給可能かも事前に確認が必須です。

  • 予算とサポート体制: 新品だけでなく、中古機も視野に入れることで、初期投資を抑えることが可能です。ただし、中古の場合はメーカーのサポートが受けられるか、消耗部品の入手は容易かなどを事前に確認することが重要です。


国内の主要おすすめメーカー 🏭

国内には、高い技術力と信頼性で評価されているシャーリングマシンメーカーがいくつか存在します。


  • 株式会社アマダ (AMADA): 板金機械のトップメーカーとして世界的に有名です。高精度・高剛性なシャーリングマシンを多数ラインナップしており、最新のNC技術や省エネ技術を積極的に取り入れています。サポート体制も充実しており、安心して導入できるメーカーの一つです 。

  • コマツ産機株式会社 (Komatsu): 建設機械で有名なコマツグループの一員で、プレスブレーキやシャーリングなどの板金機械も製造しています。特に、独自の「スイングビーム機構」を採用した油圧式シャーは、高精度な切断を実現すると定評があります 。

  • 相澤鐵工所 (Aizawa): シャーリングやプレスブレーキを専門に製造している老舗メーカーです。堅牢な作りと長寿命に定評があり、長年にわたって多くの工場で愛用されています。


これらのメーカーのウェブサイトでは、製品の詳細な仕様や技術情報が公開されています。導入を検討する際は、各社のカタログを取り寄せ、比較検討することをおすすめします。

コマツ産機の油圧式シャーについては、こちらの公式ページで特徴が紹介されています。


コマツ産機・シャーリングせん断機SHS

 

 


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