コーナーR(アール)のサイズが大きいほど加工精度は上がると思っていませんか?実は逆で、Rが大きすぎると材料に食い込まず精度が落ちます。
コーナーrエンドミルとは、底刃(フラット部)と外周刃が交わるコーナー部に丸み=「R(ラジアス)」を付けたエンドミルのことです。「ラジアスエンドミル」とも呼ばれ、JIS規格でも「ラジアスエンドミル」として区分されています。
スクエアエンドミルは刃先コーナーが90度のピン角で、切削時に刃先の一点に応力が集中します。一方、コーナーrエンドミルはRの曲面がその集中を分散させるため、刃先の欠けや折損を大幅に抑制できます。つまり、工具の耐久性が根本的に異なるということです。
もう一点、ボールエンドミルとの違いも整理しておきましょう。ボールエンドミルは刃先Rが工具外径の1/2、つまり先端が半球形になったものです。これに対しコーナーrエンドミルは、外径に関係なく任意のRサイズを持てます。例えば直径12mmのエンドミルにR1やR2のコーナーを付けることが可能で、平面部と曲面部を一本で加工できる柔軟性があります。
| 種類 | コーナー形状 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| スクエアエンドミル | 90度ピン角 | 溝・平面・側面加工 | 汎用性が高いが刃先が欠けやすい |
| コーナーrエンドミル(ラジアス) | R形状(任意) | 側面・曲面・金型加工 | 刃先強度が高く工具寿命が長い |
| ボールエンドミル | R=直径の1/2(半球) | 3次元曲面加工 | 複雑形状に対応するが実切削径が小さくなりやすい |
実際の加工現場では、コーナーrエンドミルをスクエアエンドミルの代わりに側面加工で使うケースも増えています。これは工具寿命の延長だけでなく、加工面品質の安定化にも直結するためです。
コーナーRエンドミルとコーナーCエンドミルの違いや再研磨事例(再研磨.com)
コーナーrエンドミルを選ぶ際に最も悩むのが「どのRサイズを選ぶか」という点です。ここで多くの方が誤解している落とし穴があります。
ポケット加工でコーナースミ部にR1を付けたい場合、「R1のコーナーrエンドミルを使えばいい」と考えがちですが、これは正しくありません。ミスミの技術情報によると、コーナースミ部のR加工では、**目標Rの70〜80%の刃径を持つスクエアエンドミル**を使うのが推奨です。これが原則です。
同サイズの工具で削ろうとすると切れ刃の接触長が増大し、ビビリが発生します。たとえばR1仕上げなら刃径φ1.5のスクエアエンドミルが適正で、同じφ2では接触長が過大になり仕上げ面粗度と工具寿命の両方が悪化します。
コーナーrエンドミルのRサイズ自体の選定では、被削材の硬さや要求仕上げ面の粗さによって最適値が変わります。一般的な目安は以下の通りです。
また、コーナーRの半径は外径の1/2を超えるとボールエンドミル扱いになります。たとえばφ10のエンドミルにR5を付けるとボール形状になるため、それ以上のRを求めるなら特殊ラジアスエンドミルが必要です。意外な制約ですね。
コーナースミ部を仕上げるための刃径選定の考え方(ミスミ技術情報)
「コーナーrエンドミルはスクエアエンドミルより高価だから、コストが上がる」と考えていませんか?この発想が、現場でのコスト損失につながっている場合があります。
コーナー部に丸みを付けることで刃先コーナーへの応力集中が大幅に分散され、欠けや摩耗の進行が遅くなります。OSGの技術資料では、同一切込み深さ・同一送り量の条件で比較した場合、コーナーrエンドミル(ラジアスタイプ)の方がスクエアタイプより切削抵抗が小さく、工具寿命が延びるというデータが示されています。これは使えそうなデータです。
再研磨によるコスト削減効果も見逃せません。業界の目安として、再研磨コストは新品工具購入費の**1/5〜1/10程度**です。たとえば新品の超硬コーナーrエンドミルが30,000円だとすると、再研磨なら約3,000〜6,000円で切れ味が復活します。3回再研磨を繰り返せば、単純計算で工具費を約60,000円以上削減できます。
さらに、使わなくなったスクエアエンドミルをコーナーrエンドミルに改造(再研磨)することも可能です。スクエアエンドミルのコーナー部にR面を研削するだけで改造が完了するため、廃棄予定の工具を有効活用できます。
もちろん、再研磨は何度でも繰り返せるわけではなく、刃部が短くなりすぎたり外径が規定値を下回ると再研磨不可になります。再研磨に出すタイミングは、仕上げ面粗さの悪化・寸法精度のズレ・びびりの発生などのサインが出た段階が適切です。手遅れになる前の早期対応が条件です。
再研磨コストと工具寿命延長のメリットについて(再研磨.com)
コーナーrエンドミルで安定した加工を行うには、切削条件の設定が重要です。工具メーカーが提供するカタログ条件を基準にしながら、現場の実加工状況に合わせた微調整が欠かせません。
まず切削速度(Vc:m/min)は、工具外径と回転速度から算出します。
$$Vc = \frac{\pi \times D \times N}{1000}$$
D:工具外径(mm)、N:主軸回転速度(min⁻¹)
次に1刃あたりの送り量(fz:mm/tooth)は、テーブル送り速度・刃数・回転速度から求めます。
$$fz = \frac{Vf}{N \times Z}$$
Vf:テーブル送り速度(mm/min)、Z:刃数
コーナーrエンドミルを使った側面加工では、一般鋼の場合の径方向切込み量(ae)は刃径の0.1〜0.2倍が推奨値とされています。高硬度材ではさらに小さく、刃径の0.05倍程度まで落とすことも一般的です。
切削速度を20%上げると工具寿命はおよそ1/2に短くなり、50%上げると1/5まで低下するというデータがあります。これは痛いですね。スピードを上げることだけを考えず、工具寿命とのバランスを見て条件設定することが重要です。
切込み深さと送り速度の関係については下表を参考にしてください。
| 切削条件変化 | 起こりやすい問題 | 推奨対応 |
|---|---|---|
| 切削速度を上げた | 切削熱の大幅上昇・振動増加 | 半径方向切込みを減らす |
| 送り速度を上げた | 熱上昇・抵抗増加・振動増加 | 軸方向・径方向の切込みを減らす |
| 軸方向切込みを増やした | 熱上昇・切削抵抗増加 | 切削速度やや減少、送り速度を大きく減少 |
| 径方向切込みを増やした | 熱・振動・抵抗が大幅増加 | 切削速度・送り速度ともに大きく減少 |
コーナーrエンドミルは刃先強度が高い分、スクエアエンドミルより若干高い送り速度での加工に対応できます。ただし一度に深く切り込みすぎると、コーナーR部に過大な負荷がかかり欠損に至る場合があります。1回の切込みは浅く、パス数を増やして安全に進めるのが基本です。
「3次元曲面加工=ボールエンドミル」というのが現場の常識ですが、実はコーナーrエンドミルの方が有利な場面が多く存在します。これは知らないと損する情報です。
ボールエンドミルは先端が半球形のため、実切削径が工具外径より小さくなります。たとえばφ10のボールエンドミルを傾斜面に当てると、実際に切削している径はφ10より大幅に小さくなるケースがあります。実切削径が小さいということは切削速度が遅くなり、仕上げ面精度と工具寿命に不利です。
コーナーrエンドミルは刃径を大きく設計したまま任意のRを持てるため、同じ曲面形状でもより速い切削速度で加工が可能です。工具剛性も高く、特に小径工具でのたわみを抑制できるという利点があります。
ミスミの技術資料では、ラジアスエンドミルをボールエンドミルの代替として使う際のメリットが以下のようにまとめられています。
つまり、金型の粗加工や中仕上げ、平坦部と底R付きポケットが混在した加工においては、コーナーrエンドミルへの切り替えで加工時間の短縮と工具費削減の両方が期待できます。
ただし一点注意があります。コーナーrエンドミルはボールエンドミルと異なり、CAMプログラムの作成がやや複雑になります。工具形状の設定を誤ると干渉やゴリが発生するため、CAMソフト上でのR形状の設定を丁寧に確認する必要があります。プログラム作成はひと手間かかりますね。
ラジアスエンドミルによる倣い加工のメリット(ミスミ技術情報)
コーナーrエンドミルを選ぶ際、形状とともに必ず確認すべきなのが工具材質とコーティングです。この組み合わせが間違っていると、いくら切削条件を最適化しても早期摩耗や欠損が防げません。
工具の刃部材質は大きく「ハイス鋼(HSS)」と「超硬合金」に分類されます。ハイス鋼は靭性が高く衝撃に強い一方、耐熱性と硬度では超硬合金に劣ります。超硬合金はHRC40以上の硬い素材にも対応できますが、過大な衝撃荷重には弱い面があります。
| 被削材 | 推奨工具材質 | 推奨コーティング |
|---|---|---|
| 一般鋼(S45C・SS400等) | 超硬、ハイス類 | 鋼用コーティング(TiN・TiAlN等) |
| 調質鋼(HRC40以下) | 超硬、粉末ハイス | 鋼用コーティング |
| 高硬度鋼(HRC55以上) | 超硬(超微粒子グレード) | AlCrN系・Si系ナノコンポジットなど高耐熱コーティング |
| ステンレス(SUS類) | 超硬、粉末ハイス | 鋼用コーティング(耐溶着性のあるもの) |
| アルミ・銅など非鉄金属 | 超硬、ハイス類 | DLCコーティング・ノンコート・CrNコーティング |
高硬度鋼の加工では、専用コーティング品の採用が工具寿命に直結します。三菱マテリアルのインパクトミラクルシリーズのように、SKD11(59.2HRC)の加工で従来品と比較して2倍以上の安定加工時間を実現している製品事例もあります。工具代が多少上がっても、交換頻度が半減すれば結果的にコストが下がる計算です。
コーティングが剥がれているエンドミルを使い続けるのは禁物です。コーティングの役割は潤滑・耐熱・耐摩耗と多岐にわたるため、剥離した状態で加工を続けると摩耗が急加速し、仕上げ面品質の悪化だけでなく工具折損のリスクも高まります。再研磨時に再コーティングをセットで依頼することが条件です。
特に高硬度材を扱う金型加工の現場では、コーティング種類の選択を疎かにしないことが、加工コストと工具管理コストの両方を最適化する近道になります。
エンドミルの選び方マニュアル:用途・材質・形状(山善 monoken)
十分な情報が収集できました。記事を作成します。

TOTIME 超硬 エンドミル|35CR2F 6mm コーナーR 鉄 一般鋼向け 2枚刃中ねじれ【刀】 SUS併用△ コーナーラジアス標準型 リード角度35°AlCrSiNコーティング付 [1428-11] T35-060CR005-50-2F 1本