sncm220 equivalent materialの対応鋼種と選定方法

SNCM220の国際対応材(AISI 8620・DIN 1.6523など)を正しく選べていますか?規格ごとの成分差や熱処理条件の違いを知らないまま代替材を使うと、加工不良や部品破損につながるリスクがあります。本記事で正しい選定基準を確認しましょう。

sncm220 equivalent materialの対応規格と正しい選び方

この記事の3つのポイント
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SNCM220の主要対応材はAISI 8620

米国・ドイツ・中国など各国に対応規格があり、化学成分はほぼ同等。ただし規格によって許容範囲が微妙に異なります。

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成分が「ほぼ同じ」でも代替には確認が必要

Mo(モリブデン)やNi(ニッケル)の許容上限が規格によって異なり、熱処理特性や焼入れ深さに影響が出ることがあります。

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用途に応じた規格選定が加工品質を左右する

歯車・シャフト・軸受けなど高負荷部品では、対応材の機械的性質と熱処理条件を必ず照合することが重要です。


SNCM220をそのまま海外規格に置き換えると、焼入れ深さが図面指示の30%以上ずれることがあります。


SNCM220 equivalent materialの国際規格対応表:AISI・DIN・GBを一覧で確認

SNCM220はJIS G4053で規定されたニッケルクロムモリブデン(NiCrMo)系の合金鋼です。 「肌焼き鋼」として分類され、浸炭処理後に表面硬度と耐摩耗性を同時に高められる点が最大の特徴です。 jfs-steel(https://www.jfs-steel.com/en/product/SNCM220.html)


各国対応規格を下の表で整理しました。


国・地域 規格 鋼種記号
🇺🇸 米国(AISI/SAE) ASTM A29 8620
🇩🇪 ドイツ(DIN/EN) EN 10084 / DIN 1654 1.6523 / 20NiCrMo2-2
🇬🇧 英国(BS) BS 970 805M20
🇨🇳 中国(GB) GB/T 20CrNiMo
🌐 ISO ISO 683/11 20NiCrMo2
🇫🇷 フランス(AFNOR) NF 20NCD2
🇮🇹 イタリア(UNI) UNI 20NiCrMo2

songshunsteel(https://songshunsteel.com/product/8620-sncm220-16523-steel/)


最も広く使われる対応材はAISI 8620です。 北米からの調達、または海外向け図面作成時には「8620」の表記が標準となります。 steelmax.co(https://steelmax.co.kr/2015/03/31/sncm-220-and-aisi-8620-comparison/)


ただし注意点があります。ASTMの8620はMo上限が0.25%なのに対し、JIS SNCM220のMo上限は0.30%まで許容されています。 このわずかな差が焼入れ性(ジョミニー値)に影響するケースがあるため、高精度部品では成分証明書(ミルシート)の確認が原則です。 steel-grades(https://www.steel-grades.com/metals/85/185767/CNS-SNCM220.html)


ミスミ技術情報:JISと外国規格の比較表(機械構造用鋼)


SNCM220の化学成分と機械的性質:equivalent materialと数値で比較

対応材を選ぶ際は、化学成分の「範囲」が一致しているかどうかの確認が第一歩です。


SNCM220の化学成分(JIS G4053準拠)は以下のとおりです。 toishi(https://www.toishi.info/sozai/sncm/sncm220.html)


  • C:0.17〜0.23%
  • Si:0.15〜0.35%
  • Mn:0.60〜0.90%
  • Ni:0.40〜0.70%
  • Cr:0.40〜0.65%
  • Mo:0.15〜0.30%
  • P・S:各0.030%以下


AISI 8620と並べてみると、CとSiとMnはほぼ一致しています。 一方でCrの上限がJIS(0.65%)に対しAISI(0.60%)と異なります。Crが焼入れ性や浸炭層の硬度に直接影響する元素であることを考えると、この差は無視できません。 steelmax.co(https://steelmax.co.kr/2015/03/31/sncm-220-and-aisi-8620-comparison/)


機械的性質(焼きならし状態)の目安は次のとおりです。 thyssenkruppsteel.wordpress(https://thyssenkruppsteel.wordpress.com/2019/11/05/din-6523-aisi8620-sncm220/)


特性 数値
引張強さ 530 MPa
降伏強さ 385 MPa
弾性率 190〜210 GPa
ブリネル硬さ HB 149
シャルピー衝撃値 115 J
被削性指数 65(AISI 1212を100として)


被削性指数65という数字はどういう意味か? AISI 1212(快削鋼)を100としたとき、SNCM220は約65%の切削しやすさという意味です。 硬い・粘い合金鋼であることを数値が示しています。快削鋼に比べると工具寿命が約35%短くなることを工程設計で織り込む必要があります。これは工具コストに直結します。 thyssenkruppsteel.wordpress(https://thyssenkruppsteel.wordpress.com/2019/11/05/din-6523-aisi8620-sncm220/)


参考として、材料の詳細データシートを以下で確認できます。


といし情報:SNCM220の成分・機械的性質一覧(日本語)


SNCM220 equivalent materialの熱処理条件:浸炭・焼入れ・焼戻しの設定基準

対応材を使っても、熱処理条件が合わなければ設計強度は出ません。これが基本です。


SNCM220(AISI 8620相当)の代表的な熱処理条件は次のとおりです。 japanese.stainlesssteel-sheetmetal(https://japanese.stainlesssteel-sheetmetal.com/sale-10241831-alloy-aisi-sae-8620-steel-1-6523-21nicrmo2-sncm220-round-bar.html)


  • 浸炭温度:880〜940℃(ガス浸炭が一般的)
  • 焼入れ温度(オーステナイト化):840〜870℃
  • クエンチ媒体:油または水
  • 焼戻し温度:150〜200℃(表面硬度を保つ低温焼戻し)
  • 焼ならし:910℃→空冷(浸炭前の組織調整に使用)


DIN 1.6523(ドイツ規格)との比較で注意が必要なのが、EN 10084に基づく浸炭温度の管理幅です。JIS準拠の国内熱処理条件をそのまま適用しても問題ない場合がほとんどですが、ロット変動によるNi・Cr含有量の差が焼入れ深さに±0.1mm程度の影響を与えることがあります。


歯車やドライブシャフトなど有効硬化層深さ(EHD)に厳しい公差が設けられている部品では、試作段階でミルシートと照合したうえで熱処理仕様を確定することが条件です。これは手を抜けません。


実際のJIS対比規格データは、OSGの材料規格比較表(PDF)でも確認できます。


OSG:材質規格比較表(日英対照・PDF)


SNCM220 equivalent materialの主要用途:歯車・シャフト・軸受け部品での選定事例

SNCM220(=AISI 8620相当材)が使われる部品は、衝撃と摩耗の両方を受ける箇所に集中しています。 jfs-steel(https://www.jfs-steel.com/en/product/SNCM220.html)


代表的な用途は以下のとおりです。


  • 🔧 自動車用歯車(トランスミッション、デフギア)
  • 🔧 ドライブシャフト・プロペラシャフト
  • 🔧 転がり軸受けの内輪・外輪
  • 🔧 ボルト・スクリュー(高強度締結部品)
  • 🔧 切削工具のシャンク


この鋼種が選ばれる理由は「表面は硬く、芯部は粘い」という二層特性にあります。 浸炭処理後の表面硬度はHRC58〜62程度に達し、接触疲労強度が要求される軸受け面に最適です。一方で芯部は浸炭の影響を受けず、HRC30〜38程度の靭性が維持されます。 toishi(https://www.toishi.info/sozai/sncm/sncm220.html)


たとえばトランスミッション歯車で考えると、表面の浸炭硬化層が歯面摩耗をぎ、芯部の靭性が繰り返し衝撃による割れを防ぐという役割分担がなされています。これが使えそうです。


輸出向け部品でAISI 8620指定の図面を受け取った場合、基本的にはSNCM220で対応可能です。ただし、調達先の材料証明書でCr・Mo成分範囲を確認してから発注するのが安全な手順です。


SNCM220 equivalent materialを現場で間違えやすいケース:SCM420・SCr420との違いと選定の落とし穴

現場でよく起きるのが、「肌焼き鋼ならどれも同じ」という誤解です。厳しいところですね。


SNCM220・SCM420・SCr420はいずれも浸炭焼入れ用の肌焼き鋼ですが、合金元素の組み合わせが違うため焼入れ性と靭性に明確な差があります。


鋼種 Ni含有 Mo含有 焼入れ性 芯部靭性 主な用途
SNCM220 ✅ あり(0.4〜0.7%) ✅ あり(0.15〜0.30%) 高い ◎ 高い 高負荷歯車・シャフト
SCM420 ❌ なし ✅ あり(0.15〜0.30%) 中〜高 ○ 中程度 中負荷歯車・軸類
SCr420 ❌ なし ❌ なし 中程度 △ やや低 小〜中型部品


Niが入っているかどうかが靭性の分かれ目です。 SNCM220はNiによって低温衝撃特性が向上しており、寒冷地向け車両部品や衝撃荷重が大きいパワートレイン部品に適しています。SCM420で代替した場合、常温での引張強さは近い値でも、衝撃値(シャルピー値)で20〜30%の低下が生じることがあります。 toishi(https://www.toishi.info/sozai/sncm/sncm220.html)


また、equivalent materialとしてAISI 8620を調達した際に「8617」や「8615」が混入するケースがあります。 8617はC上限が0.20%、8615はC上限が0.18%であり、SNCM220(C:0.17〜0.23%)に比べて炭素量が若干低い。つまり浸炭後の芯部強度が設計値を下回るリスクがあります。 jfs-steel(https://www.jfs-steel.com/en/product/SNCM220.html)


材料受入れ時にはミルシートのC・Cr・Mo・Niを1点ずつ照合する。それだけ覚えておけばOKです。


三菱カーバイドが公開している材料クロスリファレンスリストも、現場での照合に役立ちます。


三菱カーバイド:国際材料クロスリファレンスリスト(PDF)