あなたのその置換、焼入れ後にギヤ割れて損失30万円です
AISI8620は代表的なNi-Cr-Mo低炭素鋼で、C約0.18〜0.23%、Ni0.4〜0.7%、Cr0.4〜0.6%、Mo0.15〜0.25%が目安です。低炭素ゆえに母材は粘り強く、浸炭で表面のみ高炭素化します。ここが設計思想です。つまり表面硬さと芯部靭性の両立です。
JIS側で近いのはSCM420やSNCM220系ですが、Ni量や不純物規格が微妙に違います。Niは衝撃値に効きます。0.2%違うだけで低温靭性が体感で変わる現場もあります。ここが落とし穴です。結論は完全互換ではないです。
材料ミルシートの確認では、C・Ni・Moの3点を優先して見ます。置換判断のリスクはクレームや再加工コストです。成分差を埋める狙いなら、浸炭深さと焼戻し温度で補正するのが現実解です。成分だけで決めないことが条件です。
浸炭焼入れ後の表面硬さはHRC58〜62が一般的で、浸炭層深さは0.8〜1.2mm程度が多いです。名刺の厚みの約10倍です。芯部はHRC30前後に抑え、衝撃で割れないようにします。ここが基本です。
JISのSCM420でも同等硬さは出せますが、焼入れ性(焼きの入りやすさ)と歪み挙動が変わります。大型ギヤ(直径300mm以上)では中心部の硬さ不足や残留応力が問題になります。意外ですね。つまりサイズで結果が変わるです。
検査では、表面硬さだけでなく有効硬化層深さ(EHT)を必ず測ります。ここを省くと疲労寿命が読めません。寿命は10倍差も出ます。EHT確認が原則です。
典型条件は、浸炭温度920〜940℃、保持数時間、拡散後に油冷焼入れ、その後150〜200℃で焼戻しです。温度の10℃差で粒径が変わります。ここが効きます。結論は温度管理が最優先です。
JIS材に置換する場合、同じレシピを流用すると歪みや焼割れの確率が上がることがあります。特にMo量が低いと焼入れ性が落ち、急冷で無理に硬さを出そうとして割れます。痛いですね。つまりレシピ流用は危険です。
割れ対策というリスク場面では、狙いは冷却緩和です。候補はポリマー焼入れに切替えること。水と油の中間で、冷却速度を調整できます。やることは条件を一度試験片で確認する、これだけでOKです。
実務での代替はSCM420が第一候補、靭性重視ならSNCM220を検討します。コストはSNCMの方が高い傾向です。1トンあたり数万円差になることもあります。ここは現実です。つまり用途で選ぶです。
歯車やシャフトなど繰返し応力が大きい部品では、Niを含むSNCMが有利です。一方、量産コストを抑えるならSCM420で熱処理条件を詰める選択が多いです。どちらも正解です。〇〇なら問題ありません。
図面指示では「浸炭深さ」「表面硬さ」「芯部硬さ」をセットで明記します。材質名だけでは再現性が出ません。ここが条件です。
よくある失敗は、AISI8620をSCM420に置換し、同一条件で焼入れして歯先にクラックが入るケースです。ロット50個で10個不良、再製作で30万円超の損失、納期1週間遅延などが実際に起きます。厳しいところですね。結論は条件再設計です。
もう一つはEHT未測定。表面HRC60でも、EHTが0.4mmしかなく、疲労で早期破損します。見た目では分かりません。つまり内部が足りないです。
対策はシンプルです。リスクは品質ばらつきです。狙いは再現性の確保。候補は硬さ分布の断面測定をロットごとに1点入れること。やることは測る、これだけです。
参考:浸炭焼入れと有効硬化層深さの考え方(JIS定義や測定方法の基礎がまとまっている)
https://www.jisc.go.jp/