sum22材質の特徴と快削鋼の選び方・用途を解説

SUM22材質とはどんな快削鋼なのか?成分・機械的性質・用途から、SUM22Lとの違い、溶接や熱処理の注意点まで金属加工従事者が知っておきたい情報をまとめました。あなたの現場に合った材質選択ができていますか?

sum22の材質が持つ特徴と快削鋼としての選び方・用途

SUM22を「切れやすいだけの鉄」と思って使うと、溶接で割れが出てコスト損失が出ます。


SUM22材質 3つのポイント
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JIS規格の快削鋼

SUM22はJIS G 4804で規定される硫黄・リン添加の低炭素快削鋼。炭素0.13%以下、硫黄0.24〜0.33%が主な特徴です。

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切削性は高いが溶接・強度は不向き

硫黄・リンの添加により切削性に優れる一方、溶接や曲げ・伸ばし加工には向きません。用途選定が重要です。

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鉛フリーで環境対応

SUM22LにはPb(鉛)が入りますが、SUM22は鉛フリー。RoHS指令対応が求められる電気・電子機器分野で需要が高まっています。


sum22の材質成分と規格(JIS G 4804)の基礎知識


SUM22は、JIS G 4804「硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材」に基づく材料です。規格の正式な分類では、低C-S-P系(低炭素・硫黄・リン添加型)の快削鋼に属します。


主な化学成分(%)は以下のとおりです。


| 成分 | SUM22 |
|------|-------|
| C(炭素) | 0.13以下 |
| Mn(マンガン) | 0.70〜1.00(協定で最大1.10%まで可) |
| P(リン) | 0.07〜0.12 |
| S(硫黄) | 0.24〜0.33 |
| Pb(鉛) | なし |


炭素量が0.13%以下と非常に低いのが特徴です。炭素量が少ないぶん、材料自体は柔らかく切削しやすい状態になっています。これに硫黄(S)とリン(P)を添加することで、さらに切削性を高めた設計になっています。


硫黄は切削中にMnS(硫化マンガン)介在物を形成し、切りくずを細かく分断する作用があります。切りくずが長く絡まると工具や加工物を傷つけることがありますが、MnSの介在物がある材料ではその問題が大幅に軽減されます。これが快削鋼の最大のメカニズムです。


リンも切削性向上に貢献しますが、過剰な添加は靭性(粘り強さ)を低下させます。つまり、SUM22は「削りやすさ」を最大化するために、強度・靭性をある程度犠牲にした材料と言えます。


アメリカのAISI/SAE規格では「1213」に相当します。国際的に広く流通している材種です。


参考:JIS G4804(硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材)の規格全文(kikakurui.com)


機械的性質については、JIS G 4804では強度の規定がありません。SS材(一般構造用圧延鋼材)とは異なり、引張強さの保証値が定められていない点は重要な特徴です。参考値として、熱間圧延材で引張強さ390〜540 MPa、冷間引抜材(直径20mm以下)で510〜735 MPa程度とされています。


強度規格なし、というのが条件です。


sum22の材質とSUM22L・SUM23・SUM24Lとの違いと選び方

SUM材には複数の種類があり、現場での材質選定に迷う方も多いです。代表的なSUM22・SUM22L・SUM23・SUM24Lの違いをここで整理します。


**SUM22とSUM22Lの違い**


最も混同されやすい組み合わせです。化学成分(C・Mn・P・S)はほぼ同一ですが、SUM22LにはPb(鉛)が0.10〜0.35%添加されています。鉛は切削性を大きく向上させる元素ですが、人体への有害性が懸念されるため、RoHS指令(有害物質使用制限指令)などの環境規制の対象となっています。


このため、電気・電子機器向け部品の加工ではSUM22LではなくSUM22を指定されるケースが増えています。鉛フリーが条件です。


**SUM22とSUM23・SUM24Lの違い**


| 材種 | 鉛 | 切削性の目安 | 主な用途 |
|------|----|-------------|---------|
| SUM22 | なし | ★★★☆☆ | 環境対応部品 |
| SUM22L | あり | ★★★★☆ | 一般機械部品 |
| SUM23 | なし | ★★★★☆ | 量産旋削加工 |
| SUM24L | あり | ★★★★★ | 超高速量産加工 |


SUM23はSUM22よりわずかに切削性が高く、SUM24Lは鉛入りで最も切削性に優れます。量産自動盤加工などでサイクルタイムを最短にしたい場合はSUM24Lが定番ですが、近年のRoHS規制強化により、SUM22やSUM23の採用が増えている傾向があります。


選定の基本的な考え方としては「①環境規制の有無を確認 → ②求められる切削性レベルを確認 → ③強度・用途を確認」という順番が原則です。


参考:快削鋼の旋盤加工とSUM22・SUM24Lの違い(旋盤コストダウンセンター)


SUM24Lの切削性はSUM22比で20〜50%高いとされています。量産数が多い現場では、その差が工具コストや加工時間の差として大きく出ます。一方、規制対応が優先される分野ではSUM22一択になる場面もあります。これは使い分けが重要、ということですね。


sum22の材質が向く用途と「溶接・熱処理」が使えない理由

SUM22は切削加工には優れていますが、すべての加工に向いているわけではありません。用途を誤ると部品不良や工程トラブルにつながるため、適用範囲をしっかり把握しておく必要があります。


**SUM22が向いている用途**


SUM22が使われる主な製品・部品は以下のようなものです。


- 精密ネジ・小ネジ類(M3〜M12程度)
- 油圧機器の弁・スリーブ・スプール部品
- OA機器・複写機のシャフト・カム・ローラー
- 電気部品のコネクタピン・端子類
- 自動盤加工による量産小径部品全般


「強度よりも寸法精度面粗度」が求められる部品に適しています。


**SUM22が向いていない加工:溶接**


SUM22の硫黄含有量は0.24〜0.33%と高い水準にあります。硫黄は溶接時に結晶粒界偏析し、凝固割れ(ホットクラック)や熱間割れを引き起こすリスクがあります。特に溶接後の急冷・急熱が加わるような条件下では、溶接部が脆くなって破断につながることがあります。


現場でよく見られる失敗例として「SUM22で削り出した部品に補強ブラケットを溶接したところ、溶接部から亀裂が入った」というケースがあります。溶接が必要な部品には、SS400やS45Cなどの一般構造用・機械構造用炭素鋼を選ぶのが原則です。


**SUM22が向いていない加工:浸炭焼入れ**


SUM22は低炭素鋼(C≦0.13%)のため、一般的な浸炭焼入れをそのまま適用することはできません。低炭素のSUM材に浸炭熱処理を施す場合は、「浸炭窒化熱処理(浸炭窒化焼入焼戻)」が対応手段になります。ただし、硫黄成分による介在物の存在が熱処理品質に影響する場合があるため、精密な硬化層管理が必要な部品では材種の変更を検討する必要があります。


浸炭窒化処理の実績が多いのはSUM24Lで、硬化層深さ0.3mmや0.5mm狙いの処理が行われています。SUM22でも対応自体は可能ですが、処理条件の確認が必須です。


参考:SUM材の浸炭熱処理・浸炭窒化処理対応について(栗山熱処理)


まとめると、SUM22の加工適性は「高速切削◎ / 溶接× / 浸炭焼入れ△(条件付き)」です。


sum22の材質を使った快削鋼の切削加工メリットと現場での活かし方

SUM22最大の強みは、やはり切削加工の効率性です。通常の炭素鋼(SS400やS45Cなど)と比較したとき、SUM22はどの程度加工しやすいのか、具体的な観点から整理します。


**切削性の高さがもたらすコストメリット**


硫黄が形成するMnS介在物は、切りくずを短く分断する役割を担います。これにより次のような現場メリットが生まれます。


- 工具寿命が延びる(工具交換コストの削減)
- 切削速度を上げられる(サイクルタイムの短縮)
- 仕上げ面粗度が安定する(後工程・検査工数の削減)
- 切りくずの絡まりが少ないため、無人自動運転に向く


SUM24Lなどの鉛入り快削鋼と比べるとSUM22の切削性はやや落ちますが、一般的な炭素鋼(SS400)と比べると明確に加工しやすい材料です。


**24時間無人運転との相性**


快削鋼全般の特長として、切りくず処理が安定しているため自動盤や多軸ターニングセンターでの無人長時間運転に向いています。SS400では切りくずが長く伸びて工具や加工物に絡まりやすいのに対し、SUM22では切りくずが短く折れるため、長時間安定した加工継続が可能になります。


夜間無人運転で1000個ロットを回す現場などでは、材質をSUM22に変えるだけで品質不良率が下がるケースもあります。これは使えそうです。


**加工コスト削減の試算イメージ**


例えばφ10mm、長さ50mmの旋削部品(はがきの縦方向より少し小さいサイズ感)を月産3万個加工する現場を想定します。SUM22に変更することで工具交換サイクルが1.5倍に伸びるだけでも、月あたりのインサートチップ交換数が数十枚単位で減り、工具コストの削減につながります。


さらに、切削速度を10〜15%上げられると加工サイクルタイムが短縮され、同じ機械台数でこなせる月産数量が増加します。材質選定は単なる品質管理の話ではなく、製造原価に直結する判断です。


材質の選定がコスト戦略の一部、ということですね。


**SUM22の調達・流通形態**


SUM22は丸棒(ミガキ材・黒皮材)として広く流通しています。ただし、SUM材(快削鋼)の黒皮材(熱間圧延材)は流通量が少なく、ほとんどがミガキ材(冷間引抜材)での調達になる点に注意が必要です。標準的な径サイズは6〜100mm程度まで対応しており、材料商社やスチールサービスセンターから入手できます。


sum22の材質に代わりうるプリハードン鋼との独自比較と選択基準

近年、SUM22に代わる選択肢として「快削系プリハードン鋼」の需要が高まっています。この動向は、現場での材質選定に直接影響する重要なトレンドです。ここではあまり語られない独自の視点で、両者の使い分けを整理します。


**プリハードン鋼とは何か**


プリハードン鋼とは、製造段階ですでに中程度の熱処理(焼入焼戻し)が施された材料です。使用者側で改めて熱処理工程を踏まなくても、硬度30〜40HRC程度の状態で出荷されています。代表的なものに大同特殊鋼のNAK55、日立金属のDH21などがあります。


SUM22はあくまで低炭素の軟質材ですが、プリハードン鋼は「そこそこ切れて、そこそこ硬い」というバランス型の材料です。


**需要がプリハードン鋼にシフトしている背景**


SUM22の需要が「徐々に少なくなっている」とされる背景には、以下の事情があります。


まず、製品の高精度化・複雑形状化に伴い、「削りやすさ」だけでなく「ある程度の硬度・耐摩耗性」を同時に求める用途が増えています。そのような部品では、SUM22で削ったあとに熱処理を追加するより、最初からプリハードン鋼を使ったほうが製造工程を省ける場合があります。


熱処理の省略が条件になるわけです。


次に、金型部品や精密治具の分野でプリハードン鋼の採用が増えており、これらはかつてSUM22が担っていた用途と重なります。


**SUM22を選ぶべき場面・プリハードン鋼を選ぶべき場面**


| 判断基準 | SUM22 | プリハードン鋼 |
|---------|-------|--------------|
| 求める硬度 | 低い(HV≦200程度) | 中〜高い(HRC30〜40) |
| 熱処理の要否 | 不要 | 不要 |
| 切削コスト優先 | ◎ | 〇(加工しにくい場合あり) |
| 耐摩耗性 | 低い | 中〜高い |
| RoHS対応 | ◎(鉛なし) | 材種による |
| 材料コスト | 安い | やや高い |


SUM22は材料コストが安く、大量生産の切削専用部品に今でも有力な選択肢です。強度や耐摩耗性が特に不要で、コスト優先かつ大量切削加工が前提の場合はSUM22が依然として最適解です。


一方、後工程で熱処理が必要な部品や、ある程度の硬度を持ちながら切削もしたい部品では、プリハードン鋼の検討が現実的です。


材料選定は「加工だけ見ない」が重要です。調達コスト・熱処理コスト・工具コスト・不良率をトータルで考えることで、本当の意味でのコストダウンにつながります。特殊鋼倶楽部などの専門誌でも、この「トータルコスト視点での材種選定」が推奨されています。


参考:特殊鋼倶楽部 機関誌「快削鋼の技術動向と材種選定」(特殊鋼倶楽部)


十分な情報が揃いました。記事を作成します。






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