穴径公差h7の規格と測定・加工の正しい知識

穴径公差h7はJIS規格で最もよく使われる公差クラスですが、温度管理や測定方法を誤ると数十μmの誤差が生じることをご存じですか?

穴径公差h7の規格と測定・加工の正しい知識

室温20℃から5℃ずれるだけで、φ100の穴は約6μm膨張し、h7公差の許容幅を超えてしまいます。


📐 この記事でわかること
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h7公差の規格値と読み方

JIS B0401に基づく許容差の数値と、図面への記入方法を具体例つきで解説します。

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リーマ・ボーリングによるh7加工の手順

加工法ごとの残し代の目安や工具選定の注意点を、現場目線で整理しています。

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温度・測定器の落とし穴

見落とされがちな温度補正と測定器選定のポイントを数値で示します。


穴径公差h7の基本規格と許容差の読み方

穴径公差H7は、JIS B0401(ISO 286準拠)で定められた公差域クラスの一つです。 大文字の「H」は穴基準を意味し、下偏差(下の許容差)が必ず0になるのが最大の特徴です。 つまり穴径は基準寸法ちょうどを下限として、上方向にのみ許容差が広がります。 mikipulley.co(https://www.mikipulley.co.jp/JP/Services/Tech_data/tech08.html)


許容差の幅(公差幅)は基準寸法によって変わります。 以下の表が代表的な数値です。 renue.co(https://renue.co.jp/posts/fit-tolerance-h7-chart-clearance-interference-guide-2026)


基準寸法(mm) 上の許容差(μm) 下の許容差(μm) 公差幅(μm)
10超〜18以下 +18 0 18
18超〜30以下 +21 0 21
30超〜50以下 +25 0 25
50超〜80以下 +30 0 30
80超〜120以下 +35 0 35
120超〜180以下 +40 0 40


例えば「Φ50 H7」と図面に記入されていれば、穴の実際の径は50.000mm〜50.025mmの範囲に収まっている必要があります。 公差幅はわずか25μmで、これは人間の髪の毛の太さ(約60〜80μm)の3分の1以下です。つまり極めて厳しい管理が必要ということですね。 protrude(https://protrude.com/report/fit-tolerance/)


図面への記入は「Φ30H7」のように公差クラス記号だけで表す方法が一般的ですが、「Φ30H7(+0.021/0)」のように数値を併記するケースも多くあります。 社内図面や外注図面で記載ルールが異なる場合は、早めに確認しておくことが原則です。 sadoseimitsu(https://sadoseimitsu.com/column/1-17/)


穴径公差h7の加工方法:リーマとボーリングの使い分け

H7公差の穴を実現する加工法は主に「リーマ加工」と「ボーリング加工」の2種類です。 どちらを選ぶかは、穴径・生産数量・深さによって変わります。 metal-processing-japan(https://www.metal-processing-japan.com/h7kousa-ana/)


加工方法 向いている条件 主な注意点
リーマ加工 比較的小径・量産・貫通穴 下穴精度で最終精度が決まる
ボーリング加工 大径・深穴・量産ライン 荒→中→仕上げの3工程が必要
エンドミル仕上げ 単品・マシニングセンタ加工 複数パスで段階的に削り込む


リーマ加工では、下穴の精度が仕上がりに直結します。 一般的な目安として、リーマ径に対して0.1mm残しで下穴を仕上げるのが推奨されています。 残し代が多すぎるとリーマへの負荷が増して寸法が安定しません。 jp.misumi-ec(https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_processing/mp03/b0070.html)


ボーリングは「荒引き→中引き→仕上げ」の3ステップで行います。 中引きの段階で0.1mm残しにすることで、仕上げ時の切削抵抗を均一化できます。これは使えそうです。 metal-processing-japan(https://www.metal-processing-japan.com/h7kousa-ana/)


エンドミルでH7を出す場合は、仕上げエンドミルを2本用意し、1本目で0.01mm残し、2本目でゼロ残しと段階的に削ります。 工具の振れや熱変位の影響を受けやすいため、マシニングセンタの主軸精度の確認が条件です。 metal-processing-japan(https://www.metal-processing-japan.com/h7kousa-ana/)


参考:ミスミが解説するH7公差穴の高能率・高精度加工方法(リーマ加工の制約と解決策)
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_processing/mp03/b0070.html


穴径公差h7の測定方法と測定器の選び方

H7公差の穴を測定する際、最もよく使われるのは「栓ゲージ(プラグゲージ)」と「シリンダーゲージ(内径マイクロメータ)」です。 ただし、φ50を超える穴では市販の栓ゲージが存在しないことが多く、シリンダーゲージに切り替える必要があります。 shokunin-tenshoku(https://shokunin-tenshoku.com/2095)


穴深さが浅い場合も問題が起きます。 シリンダーゲージは穴深さが10mm以上ないと正確に測定できないため、深さ5mmの浅穴ではそのまま使えません。 この場合の対処法は以下のとおりです。 shokunin-tenshoku(https://shokunin-tenshoku.com/2095)


    >長めの素材で一度10mm深さに加工してから測定し、その後5mmに削り直す
    >栓ゲージの代替としてベアリングの外輪を利用する
    >パスゲージで代用する


測定精度に影響する見落としやすい要因が「温度」です。 鉄鋼の線膨張係数は約11.7×10⁻⁶/℃で、φ100の穴では1℃の温度差で約1.2μmの寸法変化が生じます。20℃基準から5℃ずれると約6μmの誤差になり、H7の公差幅(φ100では35μm)のうち17%を消費します。温度管理なしに測っても意味のない厳しさですね。 detail.chiebukuro.yahoo.co(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1184387391)


測定時の基本は「20℃の室温に部品と測定器を30分以上放置してから計測する」ことです。工場の現場温度に合わせた温度補正計算ができるツールもあります。


参考:内径H7公差の浅穴を加工・測定する実践的な方法(現役加工者のノウハウ)
https://shokunin-tenshoku.com/2095


穴径公差h7のはめあい組み合わせと軸公差の選び方

H7の穴に組み合わせる軸公差は、どんな「はめあい」を実現したいかで決まります。 はめあいには「すきまばめ」「中間ばめ」「しまりばめ」の3種類があります。 d-engineer(https://d-engineer.com/seizu/hameai.html)


はめあいの種類 穴H7との典型的な組み合わせ 用途例
すきまばめ H7/g6、H7/f7 回転軸・スライド部品
中間ばめ H7/k6、H7/js6 位置決めピン・キー溝
しまりばめ H7/p6、H7/s6 焼きばめ・圧入軸受


一般的には穴側をH7に固定して、軸側の公差クラスで機能を調整します。 穴より軸の方が旋盤で寸法を追い込みやすいからです。穴は一度削ったら径を小さくできませんが、軸は削って調整できます。加工コストの観点からも穴基準が有利です。 d-monoweb(https://d-monoweb.com/blog/determine-fit-tolerances/)


H7/g6の組み合わせは最も汎用的なすきまばめです。 φ30の場合、穴が30.000〜30.021mm、軸がおよそ29.967〜29.980mmになり、最小すきまは20μm、最大すきまは54μmとなります。すきまの大きさはシャープペンシルの芯(0.5mm)の10分の1以下のイメージです。 ts-taisei.co(https://ts-taisei.co.jp/jigmatch/blog/explain_fitting_tolerances/)


H7/p6はしまりばめで、ベアリングの圧入などに用いられます。 圧入後の軸受の抜き取りには専用プーラーが必要になるため、メンテナンス性が求められる箇所では中間ばめのH7/k6が無難です。組み合わせの選定ミスは後工程のコストに直結します。 mecha-basic(https://mecha-basic.com/hameai/)


参考:はめあい公差の基礎と穴H7の選定ガイド(renue社、2026年最新)
https://renue.co.jp/posts/fit-tolerance-h7-chart-clearance-interference-guide-2026


現場で見落とされがちな穴径公差h7の盲点:メッキ・熱処理後の寸法変化

H7公差を加工後に満たしていても、後処理で公差を外れるケースがあります。これが現場で意外と見落とされやすいポイントです。


無電解ニッケルメッキの場合、膜厚は片面あたり5〜20μmが一般的で、穴径に対して直径で10〜40μmの縮小が生じます。 φ30H7の許容差上限は21μmしかないので、メッキ前にH7ギリギリの下限で仕上げていると、メッキ後に公差アウトになります。痛いですね。


浸炭焼入れ後の変形も要注意です。 浸炭処理では表面だけでなく素材全体に組織変化が起き、穴径が数μm〜十数μm収縮または変形することがあります。処理後に再研削(内径研磨)で仕上げることを前提に、中間公差で素材を仕上げておくのが原則です。


具体的な対策としては、以下の手順が有効です。


    >メッキ前の穴径を「狙い寸法+膜厚×2」で加工して余裕を持たせる
    >熱処理後の内径変形量を試作で実測し、加工代として記録しておく
    >図面に「メッキ後H7」と明記し、後処理工程との情報共有を徹底する


後処理込みで寸法管理する意識が重要です。 加工段階での合格が最終品質を保証しないという認識を、設計・加工・処理の各担当者が共有しているかどうかが、クレームゼロにつながる分岐点になります。


参考:精密金属加工における公差とはめあいの基礎(佐渡精密、図表つき解説)
https://sadoseimitsu.com/column/1-17/