メッキ材 種類と用途 耐食性と試験方法 選定と前処理

金属加工現場向けにメッキ材の種類・用途、前処理と密着性・水素脆性対策、耐食性試験・RoHS対応を整理し、最適な選定ポイントを提示するが、あなたの現場で本当に優先すべき条件は何か?

参考)【これだけは知っておきたい】めっきの種類や特徴、用途別の選定…

メッキ材の種類と選定

現場の要点サマリ
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種類と用途の押さえ所

亜鉛は防錆コスパ、ニッケルは下地・外観、クロムは硬度・耐摩耗、銅は導電・下地が基本軸となる。

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前処理と水素脆性

酸洗い・陰極電解洗浄で水素吸蔵が起きやすく、めっき後200~240℃で2~4時間のベーキングが有効だ。

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耐食性試験の基準値

JIS H 8502のNSSは35℃・pH6.5~7.2、ASS/CASSやサイクル試験も規定され、試験時間は協定で設定する。

メッキ材の種類と用途比較

 

メッキの主目的は装飾・・機能付与で、現場では「素材×環境×コスト」で亜鉛・ニッケル・クロム・銅などを使い分けるのが実務的だ。
特に鉄系の大量生産部品は亜鉛めっきが第一選択になりやすく、電食や赤さびの進展抑制に対してコスト効率が高い点が評価される。
装飾と下地整えにはニッケル、耐摩耗や摺動には硬質クロム、導電や後工程のはんだ・銀めっき下地には銅が王道構成だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めっき 主目的 代表的な厚み目安 用途例
亜鉛 防錆・犠牲防食 5~15 μm(用途で調整) ボルト・板金・機械部品の量産防錆
ニッケル 外観・下地・耐食補強 5~20 μm(多層で増加) 装飾下地・機械部品・樹脂金属
クロム(硬質) 硬度・耐摩耗・離型 5~30 μm(機能で最適化) シャフト金型・摺動部品
導電・下地平滑化 5~20 μm(下地用途) 電気接点・コネクタ・下地整え

メッキ材の前処理と密着性、水素脆性対策

前処理では脱脂・酸洗い・陰極電解洗浄が基本で、ここでの表面活性化の巧拙が密着性・外観・ピンホール発生に直結する。
ただし酸洗いや陰極処理は水素吸蔵のリスクがあり、高強度鋼やばね鋼では水素脆性により遅れ破壊の危険が増すため工程設計が重要だ。

工程内での水素管理は「吸蔵を減らす」「早く抜く」の両輪が基本で、特に高強度鋼は検査タイミングも遅れ破壊を見据えた設計が必要になる。

 

参考)水素脆性とは?原因から対策までを徹底解説 - NISSHAエ…

メッキ材の耐食性評価とJIS試験

JIS H 8502はめっきの耐食性試験を体系化し、NSS(中性塩水噴霧)・ASS・CASS・各種ガス試験・屋外暴露・サイクル試験などを規定している。
NSSは35℃、食塩50±5 g/L、pH6.5~7.2、噴霧量1.5±0.5 ml/80 cm²/hが標準条件で、連続噴霧下で腐食発生を評価する。

  • ASSはpH3.1~3.3の酢酸酸性で、装飾クロムなどの加速評価に用いられる。

    参考)JISH8502:1999 めっきの耐食性試験方法

  • CASSはCuCl2添加・50℃でより厳しい条件を与え、クロム/ニッケル系の耐食性差を出しやすい。​
  • サイクル試験は噴霧→乾燥(60℃,20~30%RH)→湿潤(50℃,95%以上RH)の8時間/1サイクルが代表例だ。​
  • 判定はレイティングナンバや腐食面積率による定量評価が規定される。​

外部機関の短納期SST(48時間以内など)を活用すれば工程変更の効果検証も迅速化でき、JIS Z 2371・JIS H 8502準拠の受託試験が各自治体機関でも提供されている。

 

参考)中性塩水噴霧試験 48時間以内の試験 - 埼玉県産業技術総合…

メッキ材のRoHS対応と三価クロム

六価クロムは強い毒性から規制が厳しく、産業界は三価クロムやクロムフリー処理への移行を進めてきた経緯がある。
一方で「めっき皮膜そのものの金属クロム」はWEEE/RoHSの規制対象ではなく、六価・三価いずれのプロセスでも最終皮膜が金属クロムなら規制上の扱いは同様という整理が実務で用いられている。

環境対応は「サプライチェーン要求」と「最終外観・耐食要求」の両立が鍵で、前処理・皮膜厚・仕上げ(クロメート/パシベーション)の最適化が歩留まりにも効く。

メッキ材の二層形めっきと合金の選び方(独自視点)

亜鉛系ではZn-FeやZn-Niなどの合金めっきがあり、純亜鉛に比べ成形性や塗装後の防食で優位になるケースがある。
さらに上層に薄い電気合金めっきを重ねる「二層形めっき」は成形性・溶接性・耐食のバランスを取りやすく、用途適合での自由度が高いのが特長だ。

  • 薄めっきは溶接性・加工性に優れ、厚めっきは耐食性に優れるため、板厚・曲げ半径・溶接条件から皮膜厚を割り付けるのが合理的だ。

    参考)https://www.jfe-steel.co.jp/products/usuita/catalog/b1j-004.pdf

  • 二層形は内層で成形・溶接適性を確保し、外層で耐食・外観を稼ぐ設計思想が取りやすい。

    参考)亜鉛めっき鋼板の種類と特長

  • 量産現場では「一発仕上げの厚付け」よりも「合金×二層×塗装前提」の全体設計が、総コストや保証対応を安定させることが多い。​

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参考)亜鉛めっき鋼板について専門家が解説!特徴や用途についてご紹介…

 

 


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