あなたがいつもの温度条件で加工していると、実は製品が0.02mm変形して検査落ちになることがあります。
コバールの熱膨張率は鉄より低く、ガラス封止時の伸び率差は約0.0006%。このわずかな差が封止不良や割れを引き起こします。加工者が「鉄と同じ」と思い込むことで、封着後の検査で不良率が8割に達する例も。つまり膨張率の理解がBasicです。
正しい設計では、膨張差を活かして応力をバランスさせる方法があります。代表的なのは、ガラス封止寸法に対して30〜40μmの逃げを残す加工法。これを知らないとロット全体が廃棄です。再設計時の確認が必須です。
コバール材料は酸化しやすいため、TIG溶接やレーザー溶接時に一瞬で電極劣化します。溶接電流は通常より約15%低くすることで安定します。真空封止では、ニッケル層と鉄層の境界に微細なガス吸収反応が発生することも確認されています。つまり加熱時間が条件です。
また、コバールは溶接時に表面の酸化皮膜が問題になるため、前処理で脱脂と酸洗いを行うと密着率が2倍になります。いいことですね。
コバールの硬度は加工後に急上昇します。プレスで10%圧縮するだけで硬度がHV180→HV250になります。このため刃具の摩耗や塑性変形で寸法誤差が出やすいです。つまり、冷間加工では予備焼鈍が条件です。
焼鈍時には700℃で30分保持し、ゆっくり冷却する必要があります。急冷すると粒界が粗くなりクラック発生率が2倍。対策は、温度管理装置付きの電気炉を導入し、記録を残すこと。つまりトレーサビリティが基本です。
コバールは電導性が高いと思われがちですが、酸化皮膜が形成されると電気抵抗が30mΩ以上に上昇します。真空中では酸素が少なすぎても逆効果です。拡散層が広がりやすく通電不良につながります。酸素濃度を10⁻³Pa前後で維持すると安定。つまり微量酸素が基本です。
また、真空溶接に使う油脂や残留ガスもトラブル要因です。対策としては洗浄液を使って極微量の炭化物を除去し、通電試験で抵抗値を確認するだけでOKです。
参考リンク(酸化皮膜と真空封止技術の基礎)
大阪大学接合科学研究所:真空中での金属酸化挙動と封止接合技術
コバールは組成中に鉄を含むため磁性があります。医療機器やセンサーで誤作動が起きる原因は、熱履歴による磁気変化です。焼鈍後に透磁率が低下すると、磁場が乱れ感度が30%落ちます。痛いですね。
つまり、熱処理条件管理が磁気安定性の鍵です。冷却速度を管理し、徐冷炉やマグネットシールドを使用することで誤作動を防止できます。磁性対策なら問題ありません。
参考リンク(磁性制御技術)
日本金属学会:コバール合金の磁性と安定化技術