あなたのcct線図読み違いで焼入れ不良が月8件発生します
CCT線図は、連続冷却中に鋼の組織がどう変わるかを示す図です。横軸が時間、縦軸が温度で、冷却曲線と変態線の交点で組織が決まります。ここで重要なのは「冷却速度」です。例えば、毎秒10℃で冷やす場合と、毎秒100℃で冷やす場合では、生成される組織は全く異なります。つまり冷却条件で結果が変わるということですね。
多くの現場では「とりあえず焼入れすればマルテンサイトになる」と考えがちですが、実際はそう単純ではありません。冷却が遅いとパーライトやベイナイトが混ざります。これは硬度低下や強度不足の原因になります。結論は冷却速度管理です。
冷却媒体(水・油・空気)によっても結果は変わります。例えば油冷は水冷の約1/3の冷却速度です。この違いを理解せずに条件を流用すると、不良率が一気に上がります。ここが重要です。
CCT線図には「変態開始線」と「変態終了線」が描かれています。この2本の線の間で組織変化が進行します。例えばパーライト変態は約550℃付近から始まり、時間経過とともに進行します。ここを読み違えると致命的です。
冷却曲線が開始線に触れた瞬間から変態が始まります。そして終了線を越えると、その組織がほぼ完成します。つまりどの線を通過したかで結果が決まるということですね。
現場でありがちなミスは「終了線だけを見る」ことです。開始線を見ないと、どのタイミングで変態が始まったか分かりません。これは品質ばらつきの原因になります。開始線の確認が基本です。
マルテンサイトはMs点(マルテンサイト開始温度)以下で生成されます。一般的な炭素鋼では約300℃前後です。この温度を下回る必要があります。つまり温度到達が条件です。
ただし注意点があります。Ms点に達しただけでは完全なマルテンサイトにはなりません。Mf点(終了温度)まで冷却する必要があります。ここを知らないと硬度不足になります。痛いですね。
例えば、冷却途中で取り出してしまうと、未変態オーステナイトが残ります。これが後の変形や割れの原因になります。Mf点まで冷やすことが重要です。
焼入れ不良の多くは、CCT線図の読み違いが原因です。特に多いのが冷却曲線の想定ミスです。実際の部品サイズや形状で冷却速度は大きく変わります。ここが盲点です。
例えば直径10mmの丸棒と50mmの丸棒では、中心部の冷却速度が大きく異なります。太い材料ほど冷却が遅くなります。つまり同じ条件では通用しないということですね。
このリスクを避けるためには、「実測温度データを取得する→冷却曲線を作る→CCT線図と照合する」という流れが有効です。温度ロガーを使う方法があります。これなら問題ありません。
実はCCT線図は「材料ロット」で変わります。同じS45Cでも成分差で変態挙動がズレます。これは意外ですね。
例えば炭素量が0.02%違うだけで、変態開始時間が数秒単位で変わることがあります。このズレが積み重なると、最終組織に差が出ます。つまり完全再現は難しいです。
さらに、炉内の温度ムラや攪拌不足も影響します。これらは図には載っていません。現場条件が重要です。
このリスクを減らすには「材料ミルシート確認→試験焼入れ→硬度測定」の流れが有効です。硬度計で確認するのが確実です。これだけ覚えておけばOKです。