アルミ青銅スクラップを砲金と一緒に出すと、買取価格がキロあたり600円以上も下がります。
アルミ青銅(アルミニウム青銅)は、銅(Cu)を主成分として約5〜12%のアルミニウム(Al)を添加し、さらに鉄(Fe)・ニッケル(Ni)・マンガン(Mn)を微量加えた高機能銅合金です。名前に「青銅」とついていますが、一般的な青銅(砲金)が銅とスズ(Sn)の合金であるのに対し、アルミ青銅はスズを一切含みません。これは現場でも混同されやすい点です。
「アルミ青銅=青銅の一種だからスズが入っている」と思い込んでいると、材質選定やスクラップ分別で誤りが生じることがあります。スズを含まなくても「青銅」という名称が慣習的に使われており、その性質が従来の青銅より高性能なため、業界でこの呼称が定着したという背景があります。
アルミ青銅の見た目は砲金が白っぽくなったような外観で、真鍮にも似た雰囲気を持ちます。比重は7.5程度で、同じ銅合金である砲金(比重約8.8)より軽い点も特徴のひとつです。軽量でありながら引張強さが770〜900N/mm²(C6191以上のグレード)に達し、一般構造用鋼を上回る強度を持つケースもあります。
代表的なJIS規格グレードとその特徴を以下に整理します。
| グレード | 別称 | 主な特徴 | 代表用途 |
|---|---|---|---|
| C6161 | ABB-1 | 耐熱性重視、伸びが必要な部品向け | 熱交換器用管板、摺動部材 |
| C6191 | ABB-2 | 強度・耐摩耗性・耐食性のバランス型 | ウォームギア、ブッシュ、ナット |
| C6241 | ABB-3 | C6191より高強度・高耐摩耗性 | 軸受け、歯車、ボルト・ナット |
| C6301 | ニッケルアルミ青銅 | 海水耐食性が特に高い | 船舶部品、海洋プラント |
現場で最もよく流通するのはC6191(ABB-2)で、棒材として機械加工用途に広く供給されています。グレードによって価格も加工難易度も異なるため、発注前に規格を正確に確認することが基本です。
参考:アルミ青銅の材質・特性についての詳細説明
アルミニウム青銅の種類と特性一覧(株式会社ピーエヌ機電)
アルミ青銅の価格には、「材料として購入するときの価格」と「スクラップとして売るときの買取価格」の2種類があり、両者の仕組みは大きく異なります。金属加工に携わる現場では、この2つをセットで把握しておくことが重要です。
**材料購入価格(棒材・板材)の目安**
通販サイトで確認できる2025〜2026年時点の流通価格として、アルミ青銅(C6191)の棒材は重量1kg未満の小ロットで7,000〜9,000円/kg前後になることがあります。ただし、規格サイズや径によって単価は大きく変わり、まとまった重量で購入するほど単価は下がります。E-Metals.netなどの材料通販では、寸切り(切断)販売対応で需要に応じた量から購入できる体制が整っています。
アルミ青銅は「特殊銅合金」に分類されるため、鉄やアルミのような汎用材料と比較すると価格が高い部類です。その高価格の根拠は、銅自体のコストに加え、アルミ・ニッケル・鉄などの添加元素による製造コスト、そして厳格な成分管理にあります。
**スクラップ買取価格の目安(2025〜2026年)**
買取業者によって差はありますが、アルミ青銅スクラップの買取価格はおおよそ以下の水準で推移しています。
| 種類・状態 | 買取価格の目安(円/kg・税込) |
|---|---|
| アルミ青銅(単体・分別済み) | 1,020〜1,320円前後 |
| 砲金(参考) | 1,570〜1,700円前後 |
| 真鍮(参考) | 1,400〜1,600円前後 |
注目すべき点は、アルミ青銅のスクラップ買取価格は砲金スクラップよりも低い水準にあることです。これは、アルミ青銅を溶解する際にアルミが釜の上に白く浮いてしまい、他の銅合金と混ざると品質管理が難しくなるためです。単体で分別されているアルミ青銅スクラップは買取価格が大幅に上がります。これが基本です。
分別できていない状態で持ち込むと、砲金スクラップや真鍮スクラップと同じ「雑品」扱いになり、単価が数百円/kg単位で下がるケースがあります。加工現場での分別管理が直接、売却収益に響くということです。
参考:アルミ青銅スクラップの分別基準と価値についての解説
アルミ青銅(アームス青銅)とは? 金属リサイクルのプロが解説(神田重量金属)
アルミ青銅の価格は一定ではなく、複数の外部要因によって大きく変動します。この仕組みを知らずに仕入れや売却のタイミングを判断すると、コストが想定より大幅に膨らむ可能性があります。
**① LME銅相場の動き**
アルミ青銅の主成分は銅(Cu)であり、その比率は種類によって77〜92%程度にのぼります。そのため材料価格はLME(ロンドン金属取引所)の銅相場に強く連動します。
2025年後半から2026年初頭にかけて銅相場は大きく動きました。2025年第4四半期にはLME3ヶ月先物が1トンあたり11,950ドル台に達し、年初比で3割超の上昇を記録しています(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)。国内銅建値も2026年1月時点で2,150円/kgに達し、2024年の高値圏を明確に上回る水準となっています。アルミ青銅の仕入れコストも、この銅建値の上昇に連動して上がっています。
**② 為替(円安・円高)**
アルミ青銅の多くは輸入材を含むため、円安になると調達コストが上昇します。円相場が1ドル150円を超える水準が続くと、輸入材を主力とする流通業者では相当な価格転嫁が発生します。棒材の小ロット購入では為替コストの影響をモロに受けるケースがあるため、大ロットでのまとめ買いや、国内在庫を持つ業者からの調達を検討する価値があります。
**③ グレード差と需給のひっ迫**
前述のとおり、アルミ青銅にはC6161・C6191・C6241・C6301などの複数グレードがあり、高強度グレードほど流通量が少なく価格が高くなる傾向があります。特にC63000(AMS4640、航空機ランディングギアブッシュ用)のような特殊グレードは専門業者経由でなければ入手困難な場合があり、価格も大きく跳ね上がります。
在庫が少ないグレードは急な追加発注に対応できないリスクもあります。設計段階でグレードを確定させ、必要量を余裕をもって発注する体制を整えることが、コスト管理と納期管理の両面で有効です。
参考:2025〜2026年の銅相場動向と価格見通し
銅相場見通し【2026年版】銅建値の推移と分析(大宮興産)
アルミ青銅は「銅合金だから加工しやすいだろう」と思われがちですが、実際は純銅や真鍮と比べてかなり手ごわい素材です。硬度185〜210HBW(C6191〜C6241)という値は、一般構造用鋼(SS400)の約140〜160HBWを超えており、それが加工コストに直結します。
**粘りと硬さが工具を消耗させる**
アルミ青銅は硬度が高いうえに靭性(粘り強さ)も高いという、加工者にとって難しい組み合わせを持っています。硬くて粘る素材は、工具刃先が食い込みにくく、切削抵抗が大きくなります。その結果、工具摩耗が早く進み、工具交換コストがかさみます。
特に注意が必要なのは、工具が摩耗した状態で加工を続けると「加工硬化」が起きやすい点です。加工硬化とは、切削によって材料表面がさらに硬くなる現象で、これが起きると次のパスが急激に困難になり、品質不良や工具破損につながります。工具の定期的な交換サイクル管理が不可欠です。
**推奨される対策と工具選定のポイント**
工具摩耗への対策として、以下の3点が有効とされています。
- TiAlNコーティング・AlCrNコーティング超硬工具の使用(摩耗寿命が延びる)
- ポジティブ形状の工具を選択し、切削抵抗と発熱を抑える
- 高圧クーラントを供給し、切りくずの排出を安定させる
切削速度については「速ければ速いほど効率的」という発想は禁物です。過度な高速切削は表面硬化を促進するため、適度な切削速度に設定することが重要です。また、アルミ青銅は切りくずのバリが発生しやすい傾向があり、仕上げ工程に「バリ取り」を前提で組み込んだ工程設計が求められます。
加工コストを見積もる際は、工具費・加工時間・バリ取り工程を含めて試算することが現実的です。真鍮(快削真鍮)と比べると工具消耗量で1.5〜2倍以上になるケースもあると現場では言われています。材料費の安さだけで代替材料と単純比較すると、トータルコストで割高になる場面もあるため注意が必要です。
参考:アルミ青銅の切削加工性と難削材としての特徴
アルミニウム青銅とは:高機能銅合金の基本特性と産業応用(アスク株式会社)
金属加工現場でアルミ青銅を扱う場合、使用後に発生する端材・切削くず(ダライ粉)のスクラップ管理は、無視できない収益機会です。アルミ青銅スクラップの価値を最大化するための実践的なポイントをまとめます。
**分別が価値を決める:混入は絶対に避ける**
アルミ青銅スクラップが他の銅合金スクラップ(砲金・真鍮・リン青銅など)と混ざった状態で持ち込まれると、買取業者側での溶解処理でトラブルが生じます。アルミ青銅を溶解すると釜の上面にアルミが白く浮き上がり、品質を保証できないためです。
混入スクラップは「込み真鍮」「込み砲金」などの格下カテゴリーに分類され、買取単価が大幅に下がります。単体で分別すれば1,000〜1,300円/kg台で買い取られるものが、混入すると600〜800円/kg台まで下がるケースも現実にあります。スクラップ箱を素材ごとに分けて管理する、これが原則です。
**ダライ粉(切削くず)の扱い方**
切削加工で発生するアルミ青銅のダライ粉は、油分や異物が混入していると買取価格がさらに下がります。クーラントや切削油が付着したまま持ち込むと「油付きダライ」扱いになり、乾燥・分離コストが差し引かれます。可能な範囲でクーラントを切った状態、他素材の切りくずと混ざらない状態で保管することが、受け取り単価の向上につながります。
**買取価格の確認頻度を上げる**
前述のとおり、アルミ青銅の買取価格は銅相場の影響で週単位・月単位で変動します。銅建値が上昇トレンドにある時期に一気に持ち込むことで、同じ量でも数万円規模の差が出ることがあります。日常的に複数の買取業者の相場ページをブックマークしておき、売り時を見計らう習慣を持つことが、現場レベルでできる収益最大化策として有効です。
スクラップを「廃棄物の処理費用を節約するもの」としてではなく、「収益を生む有価物」として捉えることが、金属加工現場における材料費管理の重要な視点です。アルミ青銅の材料コストが高い分、スクラップの回収率を高めることが全体のコストダウンに直結します。
参考:金属スクラップを高く売るための実践ポイント
アルミ青銅スクラップの基準を解説(佐野重量金属・滋賀県金属買取グループ)
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