あなたが使っているSKH57、実は熱処理温度を2℃違えただけで寿命が半減するんです。
SKH57の硬度はHRC63〜66が標準とされています。ですが、硬度が高ければ長持ちするという考え方は誤りです。実際、HRC65以上に設定すると刃先の微細欠損が進行し、工具破損率が約1.5倍に上がる傾向があります。つまり過剰硬化は「寿命の敵」ということです。つまり硬度の最適化が原則です。
硬度試験はJIS規格で行いますが、簡易的な検査では誤差±1HRCが発生しやすく、現場では「長寿命のはずの刃がすぐ折れる」ケースも多発します。対策は、焼戻し温度を確認することです。焼戻しが適正なら問題ありません。
研削時の火花温度は約950℃で、摩擦で表面の焼けが進行します。経験上、冷却油を「切りすぎ」ると表層が酸化して黒変することがあり、これが「焼け戻し層」と呼ばれる寿命低下の原因です。意外ですね。
研削による摩耗を防ぐには、研削油を常時供給し続けることが基本です。1回の断続ミスだけでも、表面硬度が3ポイント低下する報告があります。つまり油量管理が条件です。
SKH57はSKH51より約0.3%多くコバルトを含みます。これが熱疲労強度の差につながり、連続切削ではSKH51より平均1.8倍の寿命を示す実験結果があります。いいことですね。
ただし、窒化処理を施す場合は逆にコバルトが反応して表層強度が不均一になります。そのため、表面処理は「窒化ではなくPVDコーティング」が推奨されます。つまり用途ごとに選ぶことが条件です。
SKH57材は単価が近年上昇しています。2023年比で約12%、1kgあたり6,800円→7,620円に上昇。ですが、再研磨で再使用すれば実質コストは半減します。結論はリサイクル前提で仕入れることです。
特にロット管理をしている工場では、バー材の端材ロスが平均15%発生しています。長さ調整を最初に行えば、この損失を3%以下に減らせます。つまり歩留まり管理が基本です。
SKH57は切削時に摩擦熱が上がりやすく、火花飛散距離が約40cmに達します。作業者の手袋が熱に弱い素材(ナイロン混)だと、指先にやけどするケースも報告されています。痛いですね。
防止には耐熱性グローブ(ケブラー繊維)を使うことが条件です。また、ディスクグラインダーの回転数を8,000rpm以上に上げると、摩耗速度が一定化して品質が安定します。つまり適正設定が安全につながるということですね。
信頼性のある技術資料としては、日本金属工業協会の「高速度鋼の熱処理指針」に詳細データがあります(焼入れ温度別硬度比較)。
日本金属工業協会 技術資料:高速度鋼の熱処理指針