十字穴付き皿ボルトは、普通のプラスドライバーで締めてもなめやすく、締め付けトルク不足でボルトが抜け落ちる事故が現場で年間多数報告されています。
皿ボルト(正式名称:十字穴付き皿小ねじ)は、JIS B 1111で規定されています。 現行の最新版はJIS B 1111:2017で、2006年版からの改正を経て現在に至っています。 この規格は国際規格ISOとの整合を図ったもので、日本の製造現場で最も広く使われているねじ規格のひとつです。 soshin-net.co(https://www.soshin-net.co.jp/seihin/kikaku/koneji_sara.htm)
皿ボルトの最大の特徴は、頭部上面が平らで座面が円錐形(テーパー形状)という点です。 取り付けた際に頭部が被締結物の表面と面一(つらいち)になるため、突起のないフラットな仕上がりが求められる箇所に多用されます。 「フラットヘッドスクリュー」とも呼ばれる理由がここにあります。 tomitarashi(https://tomitarashi.com/sarakoneji.html)
規格上の頭部円錐角度は90°と定められています。 ただし、アメリカ規格では80°と異なるため、輸出向け製品や海外部品との組み合わせには注意が必要です。これは知らないと損する情報です。 tomitarashi(https://tomitarashi.com/sarakoneji.html)
頭部径(dk)はねじの呼び径に応じて決まっており、たとえばM3なら6.0mm、M6なら12.0mm、M8なら16.0mmとなります。 頭部高さ(k)もM3が1.75mm、M6が3.4mmと規格で細かく定義されています。 つまり寸法は規格で一意に決まる、ということです。 urk.co(https://www.urk.co.jp/contents/elements/element2.html)
皿穴(座繰り)の形状についてはJIS B 1017:2008が別途規定しており、被締結物側の穴形状も合わせて管理する必要があります。 皿ボルトはボルト単体だけでなく、取り付け穴側の規格も一体で理解することが肝心です。 kikakurui(https://kikakurui.com/b1/B1017-2008-01.html)
参考:皿頭ねじ用皿穴の形状・寸法規格(JIS B 1017)
https://kikakurui.com/b1/B1017-2008-01.html
皿ボルトの呼び長さの測り方は、一般的なボルトとまったく異なります。これが現場での発注ミスの原因になりやすい点です。
通常のなべ頭ねじや六角ボルトは、頭部より下の「首下長さ」を呼び長さとして測ります。 しかし皿ボルトは使用時に頭部ごと被締結物に埋まるため、頭部の上面から先端まで、すなわち全長を呼び長さとして扱います。 全長が基準、ということです。 bolt-nut.co(https://bolt-nut.co.jp/blog/2757/)
たとえばM4の皿ボルトを「長さ10mm」で注文した場合、首下(軸部)の長さは約7.7mmになります(頭部高さ2.3mmを引いた値)。 一方で同じ感覚でなべ頭M4の10mmを注文すると、首下全体が10mmになります。同じ「10mm」でも実際に穴に入る部分の長さが違うのです。これは意外ですね。 urk.co(https://www.urk.co.jp/contents/elements/element2.html)
この測り方の違いを知らずに発注すると、ボルトが浅すぎてネジ山がかからない、あるいは深すぎてはみ出すといったトラブルが起きます。材料の厚みや締結深さを確認し、必要な首下長さから逆算して全長を求めることが正しい手順です。
呼び長さの計算式は「全長 = 首下長さ + 頭部高さ(k)」と覚えておけばOKです。 富田螺子や宇都宮螺子の規格表には各サイズのk値が掲載されているので、発注前に必ず参照することをおすすめします。 tsurugacorp.co(https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/machine_screw/machine_screw_flat_head.html)
参考:皿ねじの測り方について(ねじ屋の解説)
https://bolt-nut.co.jp/blog/2757/
現場で「十字穴=プラスドライバーで何でも回せる」と思っているなら、それは大きな誤解です。JIS B 1012では十字穴をH形、Z形、S形の3タイプに分けて規定しており、それぞれドライバーの形状が異なります。 monotaro(https://www.monotaro.com/note/readingseries/nejikisokouza/0203/)
H形(Phillips型)は国際的に最も広く普及している十字穴です。 溝部分がやや開いた形状で、締め付け時にドライバーが浮き上がる「カムアウト」が起きやすいという特性があります。 逆に、過締めを防ぐ安全弁として意図的に設計された面もあります。 gaiheki-katorihome(https://gaiheki-katorihome.com/JISB1111nonejijkikakukanzenkaisetsu.html)
Z形(JIS型・ポジドライブ型)は日本独自の規格として開発されました。 圧力面がほぼ垂直になっているため、カムアウトが起きにくく、より確実な締め付けが可能です。 同じ「十字穴」でも締まり方がまったく違います。 nejijapan(http://www.nejijapan.com/njc/old_qa/thread/detail_view/000000001e2d)
重要なのは、Z形の十字穴にH形ドライバーを使っても「専用ドライバーが必要」という点です。 一見似た形状でも混用すると溝がなめたり、不完全な締め付けになったりするリスクがあります。これが条件です。 nejijapan(http://www.nejijapan.com/njc/old_qa/thread/detail_view/000000001e2d)
S形は呼び径2.0mm以下の極小ねじや小頭ねじに使用され、デジカメやメガネ枠など精密機器向けです。 金属加工の一般的な締結では、H形とZ形の2種類を状況に応じて使い分けるのが基本です。 kk-yamashina.co(https://www.kk-yamashina.co.jp/column/2010/05/10/%E5%8D%81%E5%AD%97%E7%A9%B4%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E/)
ドライバー選定の目安として、十字穴番号(No.0〜4)もサイズに応じて規格で定まっています。 たとえばM3〜M5はNo.2番、M8〜M10はNo.3番が対応します。 番号が合わないドライバーを使うと溝を傷める原因になるので注意が必要です。 kk-yamashina.co(https://www.kk-yamashina.co.jp/column/2010/05/10/%E5%8D%81%E5%AD%97%E7%A9%B4%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E/)
参考:十字穴の種類(H形・Z形・S形)について
https://www.kk-yamashina.co.jp/column/2010/05/10/%E5%8D%81%E5%AD%97%E7%A9%B4%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E/
皿ボルトを適切に選定するには、規格寸法表の読み方を押さえておく必要があります。表は必須です。
以下はJIS B 1111に基づく十字穴付き皿小ねじの代表的な寸法です。 urk.co(https://www.urk.co.jp/contents/elements/element2.html)
| 呼び径(d) | 頭部径 dk (mm) | 頭部高さ k (mm) | 十字穴番号 | 呼び長さの範囲(mm) |
|---|---|---|---|---|
| M2 | 4.0 | 1.2 | No.1 | 5〜20 |
| M2.5 | 5.0 | 1.45 | No.1 | 6〜30 |
| M3 | 6.0 | 1.75 | No.2 | 6〜40 |
| M4 | 8.0 | 2.3 | No.2 | 8〜50 |
| M5 | 10.0 | 2.8 | No.2 | 10〜50 |
| M6 | 12.0 | 3.4 | No.3 | 12〜60 |
| M8 | 16.0 | 4.4 | No.3 | 14〜60 |
頭部径(dk)はねじ径のほぼ2倍になっていることがわかります。 M6ならdk=12.0mmと覚えておくと、座繰り穴径の目安を素早く計算できます。 urk.co(https://www.urk.co.jp/contents/elements/element2.html)
十字穴番号はM5まではNo.2、M6以上からNo.3に切り替わります。 手持ちのドライバーのサイズが合っているか、作業前に一度確認する習慣をつけましょう。 urk.co(https://www.urk.co.jp/contents/elements/element2.html)
なお、皿ボルトより強度や締結力が必要な場合には、六角穴付き皿ボルト(皿キャップスクリュー)も選択肢に入ります。 六角穴は十字穴よりもトルク伝達に優れており、M3〜M20まで規格化されています。十字穴を見せたくない設計上の都合でも使われます。 urk.co(https://www.urk.co.jp/contents/elements/element24.html)
参考:十字穴付き皿小ねじ規格表(富田螺子)
https://tomitarashi.com/sarakoneji.html
規格の知識を持っていても、現場での選定を間違えると部品の破損やトルク不足につながります。ここでは実務上の注意点を整理します。
まず材質の選択です。皿ボルトの材質は鉄(SWCH)、ステンレス(SUS XM7・SUS304)、黄銅(C2700W)などが標準的に流通しています。 屋外や湿潤環境での使用にはステンレス製を選ぶのが原則です。 jp.misumi-ec(https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221000547315/)
表面処理については、鉄製ではクロメート・ユニクロ・ニッケル・三価クロメートなどが選べます。 腐食環境の厳しい現場では三価クロメートが有効で、RoHS指令対応の観点からも六価クロメートから切り替えが進んでいます。知っておくと得な情報です。 soshin-net.co(https://www.soshin-net.co.jp/seihin/kikaku/koneji_sara.htm)
締め付け順序と皿穴の精度もポイントです。皿ボルトが正しく面一になるためには、被締結物側の皿穴角度と深さが正確に加工されていることが前提になります。 皿穴が浅すぎると頭部が突出し、深すぎると軸力が出ません。JIS B 1017の皿穴寸法を参照して、穴加工の精度を管理してください。 kikakurui(https://kikakurui.com/b1/B1017-2008-01.html)
一つ独自の視点として、皿ボルトは分解・再利用を想定しない設計に向いているという点があります。なぜなら、一度締め込んだ皿ボルトを取り外すと皿穴が変形しやすく、再取り付け時に軸力が安定しないためです。分解頻度が高い部位にはなべ頭や六角穴付きボルトを選ぶほうが長期的なコスト削減につながります。
旧JIS規格(JIS B 1111:1996 附属書規格)品は現在も市場に流通しており、現行ISO準拠品(新JIS)とはピッチが異なる場合があります。 発注時には「新JIS(ISO)」か「旧JIS(附属書規格)」かを明確に指定することが重要です。これだけ覚えておけばOKです。 neji-no1(https://neji-no1.com/cart/item-size.php?NCODE=00010011)
参考:JIS B 1111:2017 十字穴付き小ねじ(kikakurui)
https://kikakurui.com/b1/B1111-2017-01.html
参考:十字穴付き皿小ねじ規格・寸法一覧(宇都宮螺子)
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element2.html
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