「JIS Z 0701に従って測ったのに、検査で不合格になる」──その原因、実は「磁気式の測定器が0.5μmずれることがある」からなんです。
多くの技術者が誤解しているのは、「JIS Z 0701がすべてのめっきに対応している」という点です。実は、材質によって適用JISが異なります。たとえば亜鉛めっきならJIS H 0401、ニッケルめっきならJIS H 8501が基準です。
つまり、金属の種類によって規格を使い分ける必要があるということですね。
検査代行業者では、JISを誤って申告したことで再試験費用が発生するトラブルも多発しています。これは痛いですね。
現場で「とりあえずZ 0701でいいだろう」と判断すると、仕様書違反のリスクが高まります。
リンク先では各素材ごとの適用JISが一覧で確認できます。
JIS適用金属一覧(日本産業規格公式)
ロット単位でリジェクトされると、生産ライン全体に波及します。特に自動車向け部品では、1μm未満の誤差でも保証対象外になることがあります。
再めっき処理には平均で1平方メートルあたり2,000〜5,000円のコストがかかります。つまり1ロット(約200㎡規模)で最大100万円超の損失となるケースもあります。
結論は、測定誤差を放置しないことです。
そのためには校正履歴の記録管理が必須です。
「つまり日常点検がコストを守る」ということですね。
デジタル測定器なら、校正ログを自動で残す機能を持つタイプ(例:Kett LZ-990シリーズなど)が便利です。ノート記録の手間も減りますね。
JIS H 8501では、「同一試料内で3点以上の測定を行い、その平均値を膜厚とする」と定めています。ところが、1点測定で合否判断してしまう現場もまだ多いのが実情です。
これでは個体差を拾えません。つまり信頼できません。
理想は「端部・中央・対角」の3点を測り、最大と最小の差を管理表に残すことです。これだけで再試験率が20%減ります。
また、測定面の脱脂不足も誤差の一因です。清浄度を保つだけで、結果の安定性が上がります。
つまり、測定環境の統制が品質を決めるということです。
検査精度を維持したい場合は、定期的に社外検証(計測校正協会など)を依頼するのも良い手です。費用は年2回で3万円前後が目安です。
意外と知られていないのが、「JISをベースに社内下限値を設定する」方法です。大手電機メーカーでは、JIS規格値より0.2μm高い値を合格ラインに設定しています。
これは客先クレームを未然に防ぐため。いいことですね。
独自社内基準を運用することで、検査再発率が半減するという統計もあります。つまり安全マージンの確保が品質保証につながるのです。
ただし、規格名称を「JIS参考社内基準」と記載しておくことが条件です。
この手法は認定工場でも広く採用されています。つまり業界標準化の流れです。
参考:独自基準の設計ガイドが公開されています。
社内規格ガイドライン(日本規格協会)
近年は非破壊式の蛍光X線方式(XRF)が広く普及しています。測定精度は±0.05μmで、従来の磁気式の約10倍高精度です。
10cm角のサンプルなら、測定にかかる時間はわずか3秒。作業効率も飛躍的に向上します。
つまり高速かつ正確です。
ただし、XRF測定は校正標準板(有料・1枚約2万円)が必要です。導入するなら校正板の寿命(2年目安)も考慮するべきです。
この点を押さえれば、安定した品質保証が得られます。
つまり、投資対効果が高い測定法です。
金属加工業の品質管理は、この「誤差をどれだけ管理できるか」で決まる時代になっています。
規格を知ることはもちろん、「測定誤差を制御する技術」が必須です。
高精度測定を維持することが、結果的にコスト削減につながります。
参考:XRF測定技術の性能比較が掲載されています。
日立ハイテク:蛍光X線式膜厚測定装置