型締め力計算で決まる射出成形機の正しい選び方

型締め力の計算方法を基礎から解説。投影面積・キャビティ内圧力・余力の考え方から、偏芯補正や成形機サイズ選定の注意点まで、金属加工・射出成形の現場で役立つ知識をまとめました。あなたの現場では正しく計算できていますか?

型締め力の計算と射出成形機サイズの正しい選び方

計算通りのトン数で成形機を選ぶと、バリ不良が頻発して損失が膨らみます。


この記事の3つのポイント
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型締め力の基本計算式

投影面積(cm²)× キャビティ内圧力(kgf/cm²)÷ 1,000 × 余力係数(1.2〜1.3)= 必要型締め力(tf)。この4要素を正確に押さえることが成形品質の大前提です。

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計算値だけでは不十分な理由

製品重心がタイバー中心から125mmオフセットすると、計算上の型締め力の2/3しか発揮されません。偏芯・ダイプレートサイズ・射出容量も同時に確認が必要です。

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型締め力の過不足が招くリスク

型締め力が不足するとバリ・ヒケが発生し、過大すぎるとガスショートや金型のひずみ・寿命短縮につながります。現場での設定には両方向のバランス管理が求められます。


型締め力とは何か:射出成形機トン数と計算式の基本


射出成形機の仕様表に記載されている「〇〇ton」という数値は、その成形機が発揮できる最大型締め力を意味します。射出成形では溶融樹脂を数百kgf/cm²という高圧で金型キャビティに充填するため、その圧力に金型が負けて開かないように押さえ込む力が必要です。この「金型を閉じたまま保持する力」こそが型締め力(クランプ力)です。


型締め力が足りないと、溶融樹脂の圧力が金型のパーティングライン(PL面)をわずかに押し開き、そこから樹脂が漏れ出して「バリ」と呼ばれる成形不良が発生します。つまり型締め力の計算精度は、成形品の品質に直結します。


必要型締め力の基本計算式は次のとおりです。


計算式 単位
投影面積 × キャビティ内圧力 ÷ 1,000 × 余力係数 = 必要型締め力 cm² × kgf/cm² ÷ 1,000 × 係数 = tf


投影面積とは、射出方向から見た成形品(製品部+ランナー部)の断面積の合計です。ランナーの投影面積を忘れると型締め力を過小評価することになるため、計算に必ず含めます。これが基本です。


たとえばキャビティ内圧力が400kgf/cm²、キャビティ1個の投影面積が16.0cm²、ランナーの投影面積が5.0cm²の場合、計算式はこうなります。


条件 数値
キャビティ内圧力(P) 400 kgf/cm²
キャビティ投影面積(A1) 16.0 cm²
ランナー投影面積(A2) 5.0 cm²
必要型締め力(F) 400 × (16.0 + 5.0) ÷ 1,000 = 8.4 tf


この計算はランナー配置やキャビ取り数によって投影面積が変わるため、多数個取り金型では面積が大きく増加します。設計段階で慎重に積算することが求められます。


権威性のある計算式の参考として、キーエンスのサイトには射出成型の必要型締力をはじめとした各種計算式が整理されています。


キーエンス「射出成型の計算式(型締力・成形収縮率・圧力損失)」


型締め力の計算に使うキャビティ内圧力:樹脂材料ごとの目安一覧

計算式の中で最も数値選択に悩むのが「キャビティ内圧力」です。これは金型内のキャビティに樹脂が充填されるときにかかる面積あたりの圧力で、一般的な範囲は300〜600kgf/cm²とされています。この幅が大きい理由は、樹脂材料の流動性(メルトフローレート)や成形品の形状・用途によって必要な圧力が大きく異なるからです。


代表的な樹脂材料のキャビティ内圧力の目安は以下のとおりです。


樹脂材料 キャビティ内圧力の目安 特徴
PP(ポリプロピレン) 300〜350 kgf/cm² 流動性が高く、圧力は低め
ABS 400〜500 kgf/cm² 汎用エンプラの代表格
PC(ポリカーボネート 500〜600 kgf/cm² 粘度が高く、高圧が必要


ここで注意が必要なのは、同じ材料でも「部品の用途」によって内圧が大きく変わる点です。たとえばABS材料の場合、一般機能部品では450kgf/cm²程度ですが、塗装を前提とした意匠部品では1,000kgf/cm²を超えることがあります。高い外観品質が要求される意匠部品は、ひけやウェルドをぐために充填圧力を高める必要があるためです。これは意外ですね。


同じABSでも機能部品と意匠部品で2倍以上の差が出ます。


流動性が悪い樹脂(PCなど)は特に高い圧力が必要になるため、「PP向けの感覚でPCの成形機を選ぶ」と、大幅な型締め力不足に陥ります。材料選定と成形機選定は必ずセットで見直すことが原則です。また、機能部品と意匠部品では同じ材料でも内圧の目安値がまったく異なるため、類似部品の実績値を安易に流用するのも危険です。製品の用途・形状・肉厚を確認したうえで内圧値を設定することが条件です。


MFG HACK「射出成形における必要型締め力の計算方法・射出成形機サイズの選定」


型締め力の計算で見落とされがちな「余力係数」の重要性

理論値だけで成形機を選ぶ担当者が多いですが、余力係数を無視すると不良ロットが量産されます。


射出成形の現場では、計算上の必要型締め力がそのまま「最適な成形機トン数」にはなりません。成形条件のバラつき、材料ロット間の粘度差、金型温度の変動など、さまざまな要因によって実際に必要な型締め力は計算値よりも高くなることがあります。このリスクを吸収するのが「余力係数」です。


余力係数の推奨値は1.2〜1.3倍です。


具体例で確認しましょう。幅500mm・奥行300mm・高さ70mm・板厚2mmのPP製トレイを成形する場合を考えます。


計算ステップ 計算内容 結果
投影面積 50cm × 30cm 1,500 cm²
余力なし必要型締め力 1,500 × 300 ÷ 1,000 450 tf
余力あり必要型締め力(×1.3) 450 × 1.3 585 tf
選定すべき成形機 585tf以上のサイズ 650 ton クラス


余力を無視して450tonの成形機を選んだとすると、条件が少し外れただけで型締め力が不足し、バリ不良が大量発生するリスクが生じます。450tonと650tonでは成形コストに差が出ますが、不良品対応・廃棄ロス・ライン停止のほうがはるかに高くつきます。コスト優先の成形機選定は、結果的に損をします。


余力係数の具体的な値は金型メーカーによって異なる場合があるため、相見積もりを取ったときに成形機サイズが違うとすれば、この余力係数の設定差が主な原因です。余力に注意すれば問題ありません。


Plastic Fan「射出成形における型締力の成形条件」


型締め力の計算値が「実は正確ではない」理由:偏芯補正とタイバーの影響

多くの技術者が型締め力の計算は「投影面積 × キャビティ内圧力」で完結すると思っています。しかし現場でバリが止まらないケースの一部は、この計算に「偏芯補正」が含まれていないことが原因です。


射出成形機のダイプレートには「タイバー」と呼ばれる4本の支柱があり、型締め力はこのタイバーを通じて金型に均等に伝わります。金型の重心(製品重心)がタイバーの中心に一致している場合は、計算どおりの型締め力が発揮されます。ところが重心が中心からずれた位置(オフセット)にある場合、4本のタイバーへの荷重が不均一になり、計算上の型締め力を下回る「有効型締め力」しか発揮されません。


数値で示すとこうなります。タイバー間隔が250mmの成形機の場合、製品重心が中心(タイバー間隔の半分=125mm)だけオフセットすると、有効型締め力は計算値の2/3、つまり100tonで計算していれば実際は66.7tonしか発揮されない状態になります。


製品重心の位置 有効型締め力
タイバー中心に一致 計算値の100%(例:100 ton)
タイバー間隔の半分(125mm)オフセット 計算値の約66.7%(例:66.7 ton)


つまり計算値だけを信頼して成形機サイズを選定すると、実態として30%以上の型締め力が不足しているケースが起きえます。これを防ぐには、金型設計の段階で製品重心をタイバー中心に揃えることが理想です。中心から外せば外すほど、計算が実態から乖離します。偏芯補正が条件です。


またタイバー自体は型締め力と比例してひずむ性質があり、4本のひずみが均一でなければ型締め力は不均一になります。これを現場でモニタリングするには、タイバーにひずみセンサーを取り付け、データロガーで蓄積・分析する方法が有効です。タイバーのひずみを可視化することで、型締め装置の予知保全も実現できます。これは使えそうです。


三光合成「射出成形金型:必要型締め力の計算(偏芯補正値について)」


キーエンス「型締めの異常原因とタイバーひずみ計測による改善事例」


型締め力の計算だけでは足りない:ダイプレートサイズ・デーライト・射出容量の確認ポイント

型締め力の数値が合っていても、成形できないケースがあります。これはダイプレートや射出容量の制約を見落としているためです。


まずダイプレートの制約について説明します。各成形機には取り付け可能な金型の最大サイズが決まっており、成形品はダイプレートの内側に収まるようレイアウトしなければなりません。たとえば長さ1,000mm・幅120mm・PP製の箱を成形する場合、必要型締め力の計算では432tonと出て450tonクラスを選定しますが、金型の外寸がダイプレートに入らなければ物理的に成形不可です。細長い・外寸が大きい成形品では型締め力とは別にダイプレートサイズの確認が必要です。


次にデーライト(最大型開量)と型厚の確認が必要です。成形品の深さが大きいほど金型の型厚も大きくなります。「成形品の深さ < デーライト − 型厚」を満たしているか確認することが必須です。深さ方向のある製品ではこの条件を外すと金型がそもそも開閉できなくなります。


さらに射出容量の上限も見落としてはいけません。大量生産を前提とした射出成形では、射出容量の最大60%以内で成形するのが推奨です。たとえばPS換算の射出容量が1,730gの成形機では、量産での最大使用量は約1,038gとなります。製品重量×キャビ数+ランナー重量がこの値を超えると、成形機をランクアップする必要があります。


確認項目 確認内容 見落とした場合のリスク
型締め力 投影面積・内圧・余力から計算 バリ・ヒケ発生
ダイプレートサイズ 金型外寸がダイプレートに収まるか 物理的に金型が取り付けられない
デーライト・型厚 成形品深さ < デーライト − 型厚 金型が開閉できない
射出容量 製品+ランナー重量が射出容量の60%以内か ショート・充填不足


型締め力の計算は入口に過ぎません。ダイプレート・デーライト・射出容量の三点を合わせて確認することが、成形機選定の完成形です。成形機メーカーのスペック表には必ずこれらの数値が記載されているため、選定時は必ず確認しましょう。3点セットで確認するのが基本です。


スター電子「射出成形機のトン数とは?クランプ力の基礎と選定の考え方」


十分な情報が集まりました。記事を作成します。





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