あなたが普段使っている評価長さ設定、そのままだと年20万円の再測定コストを生む可能性があります。
評価長さは基準長さを単位として測定波形の解析範囲を決める基本要素です。基準長さが物理的な「区間」であるのに対し、評価長さは解析対象の「全体」を示します。例えば、基準長さ2.5mmを5倍した12.5mmの評価長さを取るのが一般的ですが、これは平均化による安定性を担保するためです。
つまり、基準長さは切り取りの「基準」、評価長さは「結果範囲」ですね。
実際の現場では、加工面の変化を考慮せず一定評価長さで測定を繰り返す例が多くあります。測定誤差が±0.8μmでも、量産時に不良率2%以上増加し、月に3万本の部品を扱う場合リワーク費が年間で約48万円にもなります。短文で言えば、「設定の精度がコストを決める」ということです。
これを防ぐには、表面粗さ基準(Ra, Rz, Rtなど)の測定時に「材質別基準長さの見直し」を年1回行うことが条件です。
切削加工では波形が規則的なため評価長さを3倍程度でも十分ですが、研磨や放電加工では5倍以上が望ましいです。特に研磨後は表面周期が不規則で、平均化しないと数値が上下にぶれるからです。つまり加工方法に応じて評価長さを調整するのが原則です。
研削ではRa 0.8μm以下を狙う場合、基準長さ0.8mm × 評価長さ5倍が最適という実験結果もあります。
ISO 4287とJIS B0601では評価長さの取り方に微妙な差があり、ISOでは「5倍」が原則、JISでは条件によって「3倍または5倍」が許容されています。海外取引先にサンプルを出す場合、どちらの規格値で測定したかを明記しないと、誤差0.5μmでもクレーム対象になります。
つまり、輸出品では測定条件の「根拠説明」が必須です。
評価長さを製品別に最適化すると、測定再現性が20%向上し、不良検出率も1.8倍高くなるデータがあります。加工機ごとに最適な評価長さプリセットを登録できる測定ソフト「Surfcom NEXT」などを使うと、再設定ミスの防止に役立ちます。
結論は、評価長さと基準長さの最適化こそが安定した品質の鍵です。
ミツトヨ公式の粗さ測定基準(ISO/JIS)比較解説。評価長さと基準長さの設定例が詳しい参考リンク。