あなたが昨日塗った部品、実は8割の現場で「乾いた」と思った時点では内部がまだ湿ってるんです。
一般的な水性アクリル系塗料は20℃で約2時間、ウレタン系は4時間以上が必要です。さらに、低臭タイプや環境対応型の「低VOC水性塗料」は乾燥が遅い傾向があり、金属加工現場での夜間仕上げ作業には不向き。乾いて見えるのは表層だけで、内部硬化が不十分なまま出荷されるとクレームにつながります。
塗料の選定時には「硬化時間」を仕様書で確認することが重要です。塗料メーカーの実験室条件(湿度50%以下、風速0.5m/s)は現場と一致しません。つまり現場では+30~40%長く見積もるのが基本です。
「硬化と乾燥は別」と覚えておけばOKです。
意外と見落とされがちなのが下地処理です。脱脂が不十分だと表面の油分が水性塗料の乾燥を遅らせます。特にスチール部材で鉱物油由来の防錆皮膜がついている場合、水滴のような斑点乾燥が発生します。
試験では、IPA洗浄後に塗布した場合と比較して、乾燥完了まで平均で1時間の差が出ています。1時間でも生産ライン全体では大きなロスです。
つまり「乾燥不良の多くは下地のせい」です。
気流制御も乾燥に直結します。多くの現場では扇風機を使って乾燥を促していますが、風の向きを誤ると塗膜表面が波打ちます。風速1m/sが理想的で、風が強いと水分だけ飛ばして塗料成分が残る不良が発生。乾燥ムラの原因となります。
乾燥ブースに均一な気流を作るなら、送風機を上下方向に配置して風を「回す」感覚が重要です。設備投資が難しい場合でも、わずかに送風角度を変えるだけで効果があります。
風の使い方が肝心ですね。
冬季は乾燥時間が倍以上となる場合があります。特に鉄工所内では外気温10℃以下での作業が続くため、乾燥時間が通常の3~4時間から6~8時間に延びるケースも。これが出荷遅延の原因になりやすい。
対策としては塗装ラインの前後に簡易パネルヒーターを設置し、表面温度を25℃程度に維持すること。室温ではなく「表面温度」を管理するだけで仕上がりが安定します。
温度管理が鍵です。
最近注目されているのが「低温硬化型水性塗料」と「赤外線乾燥ユニット」です。通常より約30%短時間で完全硬化する製品が増えています。例えば関西ペイント社の「レアコートW」は20℃でも80分で硬化する試験結果が公表されています。
このような技術を使えば、電力コストを年間数十万円削減できる現場もあります。特に夜間塗装の多い金属加工所には効果的です。
つまり「塗料選びと温度管理が利益を左右する」ということです。
参考:関西ペイント株式会社製品ページ(レアコートWの硬化試験データに詳しい説明があります)
https://www.kansai.co.jp/coating/products/industrial/raecoat_w.html