stkm13a規格サイズの選定と公差の完全ガイド

STKM13Aの規格サイズ・外径・肉厚・寸法公差を徹底解説。JIS G3445に基づく13A・13B・13C の違いや選定ポイントも網羅。あなたの現場に合った材料選びができていますか?

STKM13A規格サイズの基礎から選定まで完全解説

STKM13Aの長さ公差は「+50mm、-0mm」が原則で、あなたが100mm指定しても150mmの材料が届くことがあります。


📋 この記事でわかること
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STKM13Aの規格・JIS G3445の基本

STKMとは何か、13種A~Cの違い、引張強度370N/mm²など機械的性質を解説します。

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外径・肉厚・長さの寸法公差の読み方

1号・2号・3号の公差区分と、長さ+50mm/-0mmという見落としがちなルールを詳しく説明します。

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シームレス管・電縫管の使い分けと選定ポイント

製造方法による特性の違いと、現場での正しいサイズ選定・重量計算方法まで解説します。


STKM13Aとは何か:JIS G3445に基づく規格の基本

STKM13Aは、JIS G3445「機械構造用炭素鋼鋼管」に規定された鋼管の一種です。記号の「STKM」はSteel Tube Kouzou Machineの略で、機械構造用途に特化した炭素鋼鋼管を指します。自動車部品、自転車フレーム、家具の支柱、産業機械の部品など、私たちの身近な製品に幅広く使われている材料です。


STKMは11種から20種まで分類されており、アルファベットA・B・Cでさらに細かく強度等級が分けられています。全部で22種類が規格化されています。その中でもSSTKM13Aは「13種A」にあたり、強度と加工性のバランスが取れた使いやすい材料として、現場で最もよく選ばれるグレードのひとつです。


化学成分については、炭素(C)が0.25%以下、ケイ素(Si)が0.35%以下、マンガン(Mn)が0.30〜0.90%、リン(P)と硫黄(S)はそれぞれ0.040%以下と規定されています。この成分構成が、溶接性と機械加工性を両立させています。


機械的性質は以下のとおりです。


項目 STKM13Aの値
引張強さ 370 N/mm² 以上
降伏点(耐力) 215 N/mm² 以上
伸び(11号・12号試験片) 30% 以上(管軸方向)
へん平性(平板間距離H) 2/3D
曲げ角度 90°
曲げ内側半径 6D


引張強さ370N/mm²というのは、断面積1mm²あたり37kgfの力に耐えられる強度です。鉄の一般材であるSS400(400〜510N/mm²)と比べると強度は控えめですが、その分加工性に優れるため、曲げ・絞りなどの二次加工を伴う用途に適しています。これが基本です。


参考:JIS G3445に基づく規格の全種類と化学成分の詳細は以下のシンニチ工業の解説ページで確認できます。
機械構造用炭素鋼鋼管(STKM)とは?規格・サイズについて解説|シンニチ工業株式会社


STKM13Aの規格サイズ一覧:外径・肉厚の組み合わせ

STKMは他の鋼管規格と異なり、JIS G3445において寸法(サイズ)の規格は規定されていません。標準サイズという概念が存在しないということですね。そのため、外径・肉厚の組み合わせは非常に多岐にわたります。


ただし市場で流通しているサイズには一定の傾向があります。継目無し熱間仕上げ(STKM13A-S-H)の代表的なラインナップを以下に示します。


外径(mm) 肉厚の例(mm)
27.2 4.5 / 5.0 / 5.5 / 7.8
31.8 3.2 / 3.5 / 4.0 / 5.0 〜 8.0
38.1 3.2 / 3.5 / 4.0 / 4.5 〜 10.0
42.7 5.5 / 6.0 / 7.0 〜 15.0
48.6 5.5 / 6.0 / 7.1 〜 15.0
60.5 6.0 / 7.0 / 8.0 〜 20.0
76.3 8.0 / 9.0 / 10.0 〜 25.0
89.1 6.0 / 7.0 / 8.0 〜 25.0
101.6 8.0 / 9.0 / 10.0 〜 35.0
114.3 8.0 / 10.0 / 12.0 〜 35.0
139.8 10.0 / 12.0 / 15.0 〜 40.0
152.4 5.0 / 6.0 / 8.0 〜 45.0
216.3 18.2 / 20.0 / 25.0 〜 50.0


この表はあくまで流通している代表例です。外径27.2mm(ゴルフクラブのシャフトより一回り太い程度)から外径216.3mm(缶ジュース缶の直径の約9倍)まで、幅広いラインナップが存在します。


注意が必要なのは、サイズによって在庫の入手性が大きく異なる点です。一般的な流通サイズから外れた寸法の場合、メーカー製造品を取り寄せることになり、納期が数週間〜数カ月かかることもあります。設計段階で在庫品から選ぶのが原則です。


鋼管の表記方法も把握しておきましょう。発注時の標準的な表記形式は次のとおりです。


> **STKM13A-SH 外径(Φmm)× 肉厚(t mm)× 長さ(mm)**
> 例:STKM13A-SH 42.7Φ × 6.0t × 6000mm


「SH」は継目無し(Seamless)の熱間仕上げ(Hot finished)を意味します。発注ミスをぐために、製造方法の記号まで正確に指定することが重要です。


参考:具体的なサイズごとの重量(kg/m)は以下の小西鋼材のサイズ表が詳しいです。
STKM13A-SH鋼管とSTKM13C鋼管サイズ表|小西鋼材


STKM13Aの寸法公差:外径・肉厚・長さの許容差を正しく読む

現場でよく見落とされるのが寸法公差の読み方です。公差を理解していないと、加工後の組み付け不良や材料の取り直しが発生し、時間とコストが余計にかかります。


**長さの許容差は「+50mm、-0mm」が原則です。**これは、指定した長さより最大50mm長くなることを意味します。例えば6000mm指定で発注した場合、届く材料は6000〜6050mmの範囲に収まっています。加工で削り代を確保した設計をしていないと、余分な長さが加工寸法の計算狂いにつながることがあります。この+50mmの存在は意外ですね。


**外径の許容差**については、JIS G3445で1号・2号・3号の3段階に分かれており、どの号を適用するかは受渡当事者間の協定によって決まります。


区分(号) 外径サイズ(mm) 外径の許容差(mm)
1号(軌条重量管等) 50未満 ±0.5
1号 50以上 ±1.0%
2号 50未満 ±0.25
2号 50以上 ±0.50%
3号 25未満 ±0.12
3号 25以上 40未満 ±0.15
3号 40以上 50未満 ±0.18
3号 50以上 60未満 ±0.20
3号 60以上 70未満 ±0.23
3号 70以上 80未満 ±0.25
3号 80以上 90未満 ±0.30
3号 90以上 100未満 ±0.40
3号 100以上 ±0.50%


精密加工品として使用する場合は「3号」公差の材料を指定することが重要です。特に内径を基準とした加工をおこなうケースでは、外径の公差が思わぬ問題を引き起こします。軸受け部品や油圧シリンダーのような精密嵌合が必要な部品では、3号公差が条件です。


肉厚の許容差については、電気抵抗溶接管では「3mm未満は±0.3mm、3mm以上は±10%」、熱間仕上げ継目無し管では外径・肉厚とも1号が適用されます。旋盤加工で内径仕上げをする場合、素管の肉厚ばらつきが削り代の余裕に直結するため、要確認です。


参考:公差の詳細と具体的な数値についてはといしのサイトにまとめられています。
STKM13Aの規格と機械的性質・寸法許容差|といし.info


STKM13A・13B・13Cの違いと用途別の選び方

同じ13種でも、A・B・Cによって機械的性質が大きく異なります。この違いを知らずに選んでしまうと、強度不足や加工割れといったトラブルにつながります。


種類 引張強さ 降伏点 伸び(管軸方向) 特徴
STKM13A 370 N/mm² 以上 215 N/mm² 以上 30% 以上 加工性◎ 強度△
STKM13B 440 N/mm² 以上 305 N/mm² 以上 20% 以上 加工性○ 強度○
STKM13C 510 N/mm² 以上 380 N/mm² 以上 15% 以上 加工性△ 強度◎


13Aは13種の中で最も引張強度が低い代わりに、伸びが30%以上と高く、最も加工性に優れます。へん平試験や曲げ試験の規定もあり、曲げ・絞り加工を含む用途に向いています。スタビライザーやドライブシャフトの素管として採用される理由はここにあります。


13Bは中間的な特性で、強度と加工性のバランスを取ります。13Cは引張強度510N/mm²以上と3種の中では最強ですが、伸びが15%以上と低く、へん平性・曲げ性の規定もありません。油圧シリンダーや耐圧容器など、高強度が求められる部品に適しています。


選び方の基本は「二次加工があれば13A、高強度が必要なら13C」です。設計者がやりがちなのは、「強度に余裕を持たせたい」という理由で安易に13Cを選ぶことです。ところが13Cは加工中の割れリスクが高くなるため、曲げ加工が必要な部位に使うと現場で再加工が発生します。これは痛いですね。


また製造方法の観点でも確認が必要です。STKM13Aはシームレス(継目無し)と電縫(電気抵抗溶接)の両方で製造されますが、使い分けの目安は以下のとおりです。


- 🔩 **シームレス管(-S-H / -S-C)**:継目がないため全周均一な強度。ねじれ・圧力に強い。厚肉品対応可。コストは高め。
- ⚡ **電縫管(-E-G / -E-H / -E-C)**:生産性が高く比較的安価。小径〜中径サイズに対応。溶接ビード処理の有無を確認。
- 🔨 **鍛接鋼管(-B)**:大量生産向け。表面性状はやや劣る。


精密部品や内圧がかかる用途にはシームレス管が安全です。コストを抑えたい場合は電縫管を検討しましょう。シームレス管は電縫管と比べてコストが1.5〜2倍近くになることもあるため、用途に合わせた選択が重要です。


STKM13Aの重量計算と発注時に必ず確認すべきポイント

実際に材料を発注する際、重量の計算を間違えると材料費や運搬費に影響が出ます。STKM13Aの比重は鉄鋼と同じ7.85です。1mあたりの重量は次の式で計算できます。


$$W = 0.02466 \times (D - t) \times t$$


ここでWは1mあたりの重量(kg/m)、Dは外径(mm)、tは肉厚(mm)です。


たとえば外径48.6mm、肉厚6.0mmの場合:


$$W = 0.02466 \times (48.6 - 6.0) \times 6.0 = 0.02466 \times 42.6 \times 6.0 \approx 6.30 \text{ kg/m}$$


これは2リットルのペットボトル3本強に相当する重さが1mごとにかかる計算です。定尺6000mmの場合は約37.8kgになります。


重量計算は材料費の見積もりだけでなく、設備の許容荷重や運搬方法を決める際にも必要です。つまり重量の把握は設計の基本です。


**発注時に必ず確認すべき5項目:**


| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 種類の記号 | STKM13A(強度グレード)の確認 |
| ② 製造方法記号 | SH(シームレス熱間)/ EC(電縫冷間)など |
| ③ 外径 × 肉厚 | mm単位で正確に指定 |
| ④ 長さと公差 | 定尺 or 切断指定、+50mm/-0mmを考慮 |
| ⑤ 在庫確認 | 非流通サイズは納期が数週間〜数カ月に延びる |


在庫品として一般的に流通しているのは定尺5500mm〜6500mmです。この範囲から外れる長さや特殊なサイズが必要な場合は、必ず事前に鋼材販売店へ問い合わせてください。


また、特殊な用途として外径300mmを超えるサイズや、肉厚30mmを超える厚肉品については、JFEスチールなどのメーカーに直接相談する必要があります。継目無し鋼管のSTKM13Aでは肉厚30mm超えはメーカー相談品となるケースが多いです。在庫確認が条件です。


なお、設計段階でサイズ選定に迷った場合は、MisumiやMitsuriといったオンラインの金属部品調達プラットフォームで、外径・肉厚・長さを指定してすぐに見積もり・発注ができます。小ロットから対応しているため、試作段階での材料選定にも活用できます。


参考:STKM13Aのシームレス管の詳細スペックとオンライン発注はミスミで確認できます。
STKM13A 機械構造用シームレスパイプ(WEB掲載品)|ミスミ


【現場視点】STKM13Aのサイズ選定で起きやすいトラブルと対策

規格や数値を正確に理解していても、現場での発注・加工時に落とし穴があります。ここでは、知っていれば防げるトラブルを整理します。これは使えそうです。


**トラブル1:長さ公差+50mmによる加工代不足**
前述のとおり、長さの許容差は+50mm/-0mmです。素材が50mm長く届くことを前提に削り代を設計していないと、材料取りの段取りが狂います。特に複数本を並べて切断するバッチ加工では、1本ずつのずれが積算して大きなロスになります。長さ指定品として発注するか、仕上げ寸法に必要な余裕をあらかじめ含めた長さで発注することが対策です。


**トラブル2:外径公差の号指定ミス**
外径の公差は1号・2号・3号の3段階があり、特に指定がない場合はメーカーや流通の慣習によって異なります。精密嵌合部品に使うのに1号公差の素材を使ってしまい、旋盤加工代が増えてしまったというケースは現場でよく起きています。3号公差が必要な場合は、発注書に「外径公差3号適用」と明記してください。


**トラブル3:非流通サイズの発注による納期遅延**
STKM13Aはサイズのバリエーションが非常に豊富ですが、すべてのサイズが常時在庫されているわけではありません。例えば外径216.3mmの大径品や、外径27.2mmの細径品は流通量が少なく、取り寄せに2〜4週間かかる場合があります。試作設計では外径・肉厚を流通品から選ぶことが最初の一歩です。


**トラブル4:13A・13C の取り違え**
加工精度の要求から13Cを選んだつもりが、手配時に13Aが届いてしまうケースや、逆に強度要件が厳しい部品に13Aを使用してしまう例もあります。発注書の種類記号(STKM13A / STKM13C)の確認は、受け入れ検査時のミルシート(材質証明書)照合で防げます。ミルシートの確認は必須です。


**トラブル5:シームレス管と電縫管の混同**
STKM13A-SH(シームレス熱間)とSTKM13A-EG(電縫まま)は、同じ「STKM13A」という記号を持ちながら製造方法が異なります。電縫管には内面・外面に溶接ビードが残る場合があり(外面ビードは除去が原則、内面は協定による)、内径を使った組み付けに影響する場合があります。図面への製造方法記号の明記が対策です。


現場での材料選定に不安がある場合は、最寄りの鋼材販売店や鋼管専門商社に相談するのが確実です。サイズ表と用途を伝えるだけで、適切な在庫品を提案してもらえます。在庫確認だけなら電話一本で済みます。


参考:STKM全種の規格と機械的性質の比較にはMitsuriの解説が参考になります。
STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)とは?規格・特徴・比重|Mitsuri


十分な情報が集まりました。記事を作成します。