センタードリル規格表の種類と寸法の正しい選び方

センタードリルの規格表(JIS B 4304)にはA形・B形・C形・R形の4種類があり、それぞれ用途や寸法が異なります。加工現場で迷わないための選び方のポイントとは?

センタードリルの規格と表の見方・正しい選び方

A形60°を「とりあえず使っておけば大丈夫」と思っているあなた、その選択が仕上げ精度を0.08mm以上狂わせている可能性があります。


📋 この記事の3つのポイント
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JIS規格はA形・B形・C形・R形の4種類

JIS B 4304(2018)で規定されたセンタードリルには4形状7分類があり、それぞれ用途・保護角の有無・先端形状が異なります。規格表を正しく読まないと、仕上がりに影響します。

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呼び方には「先端径÷シャンク径」と「先端径×角度」の2種類ある

規格表の呼びには-1系と-2系で形式が異なります。現場で注文する際に混同すると、寸法違いの工具が届くトラブルの原因になります。

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切削条件は材質と径で変わる

回転数・送り量の目安は材質別に異なります。汎用旋盤では500rpm手送り、NCでは1000rpm・送り0.03mm/revが基本です。


センタードリルのJIS規格表(JIS B 4304)の基本構造


規格表の種類は、センター穴の形式に応じて以下の4形状に分類されます。 kikakurui(https://kikakurui.com/b4/B4304-2018-01.html)


- A形:面取り部(保護角)がないシンプルな形状
- B形:面取り部の角度が120°で、センター穴を外部衝撃から守る形状
- C形:面取り部が座ぐり形状になっており、センター穴を完全に保護する形状
- R形:テーパ部が直線ではなく円弧になっており、精密加工向け


さらに、寸法許容差によって各形状は「-1(ISO準拠)」と「-2(旧JIS準拠)」に分かれ、合計7分類(A形-1、A形-2、B形-1、B形-2、C形-2、R形-1、R形-2)になります。 現場では旧来のJIS寸法(-2系)が今でも広く使われているため、両方が規格に残されている状況です。これが条件です。 kikakurui(https://kikakurui.com/b4/B4304-2018-01.html)


種類 面取り部の有無 テーパ部の形状 主な用途
A形 なし 直線(60°/75°/90°) 汎用センター穴・位置決め・面取り
B形 あり(120°) 直線(60°) センター穴の保護が必要な加工
C形 あり(座ぐり形状) 直線(60°) センター穴を完全に保護したい場合
R形 なし 円弧 精密加工・小物部品の旋盤加工


センタードリル規格表の「呼び」の読み方と寸法の見方

規格表を開いたとき、最初に戸惑うのが「呼び」の表記方法です。意外ですね。呼びには2種類の書き方があります。 kikakurui(https://kikakurui.com/b4/B4304-2018-01.html)


-1系(先端直径/シャンク径)の形式:
> 例:`2/5` → 先端直径 Dc = 2.0mm、シャンク径 Ds = 5.0mm


-2系(先端直径×センタ穴角)の形式:
> 例:`2×60°` → 先端直径 Dc = 2.0mm、センタ穴角 θ = 60°


-1系と-2系では許容差の指定方法が異なり、-1系はシャンク径が呼びに含まれているため発注時に迷いにくいというメリットがあります。一方、-2系はシャンク径が別途規格表を参照しないと分からない点に注意が必要です。


以下はJIS A形-1(最も汎用的な60°標準型)の主要寸法抜粋です。 kikakurui(https://kikakurui.com/b4/B4304-2018-01.html)


呼び(Dc/Ds) 先端直径 Dc(mm) シャンク径 Ds(mm) 全長 L最大(mm) 刃長 l最大(mm)
1/3.15 1.0 3.15 33.5 1.9
1.6/4 1.6 4.0 37.5 2.8
2/5 2.0 5.0 42.0 3.3
2.5/6.3 2.5 6.3 47.0 4.1
3.15/8 3.15 8.0 52.0 4.9
4/10 4.0 10.0 59.0 6.2
6.3/16 6.3 16.0 74.0 9.2
10/25 10.0 25.0 103.0 14.2


括弧付きの呼び(例:(0.5/3.15)、(5/12.5) など)は「なるべく用いない」とJIS規格で明示されています。 在庫確保が難しい場合が多いため、設計段階から避けるのが現場の常識です。 kikakurui(https://kikakurui.com/b4/B4304-2018-01.html)


JIS規格の寸法公差については、先端直径 Dc には k12(プラス方向の公差)、シャンク径 Ds には h9(マイナス方向の公差)が適用されます。 先端が少し大きめ、シャンクが少し細め、という方向性になっています。これが基本です。 kikakurui(https://kikakurui.com/b4/B4304-2018-01.html)


詳細な寸法表はJIS規格の原文や以下の参考リンクで確認できます。JIS B 4304:2018の全文(A形-1〜R形-2の7種類すべての寸法表を含む)。
JISB4304:2018 センタ穴ドリル 全文|日本産業規格の簡易閲覧


A形・B形・R形の選び方と加工現場での使い分け

規格表を見たとき、どの形状を選べばいいか迷いやすいポイントです。つまり選択基準が重要です。


🔵 A形を選ぶ場面


最も広く使われているのがA形60°です。 旋盤加工・研磨加工のセンター穴加工に適しており、加工後すぐに研削などが続く場合、面取り部(保護角)は不要なためA形が選ばれます。また、面取りと下穴位置決めを兼ねたい場合には、A形90°が便利です。 皿ネジの皿モミ加工にも活用できます。 monotaro(https://www.monotaro.com/note/cocomite/038/)


🟠 B形・C形を選ぶ場面


🟡 R形を選ぶ場面


R形は、センターとの接触が「線接触」になる特殊な形状で、小物精密部品の加工に多く使われます。 センターの先端角と多少ずれていても比較的安定して支持できる反面、重量物の支持には向いていません。 線接触のためセンターが摩耗しやすい点も押さえておく必要があります。 monotaro(https://www.monotaro.com/note/cocomite/038/)


センタードリルの切削条件・回転数の目安と材質別対応表

規格表で形状と寸法を決めた後、もう一つ重要なのが切削条件です。これが条件です。 shokunin-tenshoku(https://shokunin-tenshoku.com/11000)


NC旋盤の基本設定:
- 🔁 回転数:1,000rpm
- ➡️ 送り量:0.03mm/rev


汎用旋盤の基本設定:
- 🔁 回転数:500rpm
- ➡️ 送り:手送り


> V(切削速度)= π × Dc(先端直径mm)× N(回転数rpm)÷ 1000


例えば先端直径 Dc = 2mm、回転数 1000rpmなら、切削速度 V ≒ 6.3m/min になります。A5052(アルミ合金)のような軟らかい材料は高回転で、S45C(炭素鋼)などの硬い材料は低回転で加工するのが基本です。


被削材 切削速度の目安(m/min) 回転数の目安(Dc=2mm時) 特記事項
一般炭素鋼(S45C等) 10〜20 1,600〜3,200rpm -
ステンレス鋼 8〜15 1,270〜2,400rpm ねじれ溝タイプ推奨
鋳鉄 15〜25 2,400〜4,000rpm 乾式加工可
アルミ合金 30〜60 4,800〜9,500rpm 高回転で仕上がり良好


切削条件の詳細は各メーカーのカタログを参照してください。岡部・YAMAWAの規格表や切削条件表が参考になります。
センタ穴とセンタ穴ドリルの規格(旧JIS・現行JISの比較含む)|YAMAWA


現場担当者が見落としやすい:旧JISと現行JIS規格表の寸法の違い

ここは非常に重要な落とし穴です。意外ですね。


2018年に改正されたJIS B 4304では、旧JIS規格(-2系)と現行JIS(ISO準拠の-1系)が同一規格内に共存しています。 なぜ残ったかというと、「市場では旧来のJISの寸法のものが多く使用されており、市場が混乱しないように」という理由からです。 kikakurui(https://kikakurui.com/b4/B4304-2018-01.html)


具体的な違いをYAMAWAの資料で確認すると、たとえば呼び「3×60°」相当のセンタードリルでは以下のような差があります。 yamawa(https://www.yamawa.com/Portals/0/resource/jp/tips/pdf/tips-122.pdf)


規格 先端径 Dc シャンク径 Ds 全長 L 刃長 l
現行JIS(-1系)CESA 3.15mm 8mm 50mm 4.8mm
旧JIS CE-S 3mm 10mm 55mm 4mm


先端径が3mm(旧JIS)と3.15mm(現行)で0.15mmの差があります。 0.15mmというとシャープペンシルの芯の直径と同じ程度の差ですが、精密加工では無視できないズレになります。痛いですね。 yamawa(https://www.yamawa.com/Portals/0/resource/jp/tips/pdf/tips-122.pdf)


発注時に「どちらの規格に対応した製品か」を確認しないまま購入すると、センター穴の径が合わなかったり、シャンク径が工具ホルダに入らないといったトラブルが発生します。メーカーのカタログで「JIS A形」か「旧JIS対応」かを明記しているものを選ぶことが安全です。MISUMIやMonotaROのEC購入時も規格表記を確認する習慣をつけておきましょう。


センタードリルの規格・切削条件・回転数を徹底解説|キカイネット(現場目線の解説)


センタードリルとリーディングドリルの規格上の違いと選択基準

規格表を調べていると「リーディングドリル」との違いが気になる方も多いはずです。どういうことでしょうか?


- センタードリル:JIS B 4304で規格化。センター穴加工が本来の用途。位置決め・面取りにも流用可能。


- リーディングドリル:センター穴加工はできない。穴あけの位置決め専用。湾曲面や傾斜面への食い付きに優れる。


加工目的によって使い分ける判断軸をまとめると。


- センター穴(旋盤・研削の基準穴)→ センタードリル一択
- 穴あけ位置決めのみ・高精度が必要 → リーディングドリルの方が適切
- 位置決め+面取りを同時に → センタードリル(A形90°など)
- 重量物の長尺加工・センター穴保護が必要 → B形センタードリル


規格表で形状を選ぶ際は「その穴の目的は何か」を一度整理してから寸法表を参照するとスムーズです。 センタードリルを位置決めに使い、リーディングドリルの存在を知らずにコスト・精度両面で損をしているケースは少なくありません。これは使えそうです。 shokunin-tenshoku(https://shokunin-tenshoku.com/11000)


センタードリルとリーディングドリルの詳しい比較、実際の加工事例も含む専門解説はこちら。






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