あなたのS50Cは、同じ焼入れ温度でも硬度が10HRC以上ズレているかもしれません。
S50Cの焼入れでは、冷却速度が硬度に直結します。油冷では平均HRC55前後ですが、水冷ではHRC60に達することもあります。油冷を使う現場は安全優先で選びがちですが、結果的に硬度不足で再加工が増えます。つまり、冷却方法で納期が左右されるということですね。
冷却液や条件を見直すだけで、再研磨分の作業時間が毎月10時間ほど削減できるケースもあります。冷却材メーカーの「大同特殊鋼」の油冷性能比較表はこの部分に詳しいです。
大同特殊鋼 技術資料:S50C油冷性能比較
ロックウェル硬度計の測定誤差は意外に大きく、±3HRCは一般的です。さらに、測定点が焼入れムラを含む部分だと最大10HRC差が出ることがあります。つまり単一点測定は信頼性が低いということです。
検査では3点平均で評価すれば安定します。測定時間は3倍になりますが、不良再検査が減り、トータルで1日分の作業が短縮されることがあります。測定器の校正は「年1回」が原則です。
硬度が高いまま研磨すると砥石摩耗が早く、1枚あたりのコストが約1.8倍になります。特にHRC60以上の鋼では研磨抵抗が強く、加工熱で変色が起こることもあります。痛いですね。
研磨作業ではクーラントを多く使いすぎると逆効果で、温度ショックによる微細亀裂が増えます。つまり、適量を維持するのが基本です。研磨材メーカー「レヂトン工業」の高硬度用砥石はこの課題への具体策を紹介しています。
レヂトン工業:高硬度用研磨材一覧
同じ材質でも製造ロットが異なると硬度結果が変わり、HRC55とHRC50で仕上げ精度に約10μm差が出ることがあります。つまり、測定誤差ではなく素材差です。
対策として「ロットごとに試験片」を取ることが有効です。試験片の結果を記録しないと、半年後に同一条件再現できず工程トラブルになります。つまり記録管理が原則です。
ロット管理表テンプレートを導入すれば、確認作業を自動化できます。これは無料で公開されている「ものづくり補助金ポータル」の資料にあります。
ものづくり補助金ポータル:素材管理テンプレート
焼戻し後数ヶ月で硬度が1~2HRC下がることがあります。これは経年で内部応力が緩和されるためです。意外ですね。
その結果、締結部品のトルクがずれてクレームになるケースもあります。つまり納品後の硬度安定を過信しないことが条件です。長期使用部品では再熱処理の検討が必要になります。
経年硬度変化の測定実験は「JIS G4051 S50C試験報告書」に詳しく述べられています。
JIS規格データベース:S50C硬度試験報告