メッキ加工の日数は工程と形状で変わる

メッキ加工の納期は単純に「3~5日」では済みません。処理方法の選択、製品の複雑さ、前処理の必要性によって大きく左右されます。あなたの製品に最適なメッキ加工期間を知っていますか?

メッキ加工の日数を左右する要因

メッキ加工の納期を決める3つのポイント
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処理方法による日数の違い

標準的なメッキ加工は3~5営業日ですが、工程数で変わります

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製品サイズと形状の影響

複雑な形状は治具製作が必要で期間が延長されます

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前処理と検査項目

下処理の充実度と最終検査の要求水準が納期を大きく左右します

メッキ加工の納期は一概には決められません。基本的には平均3~5営業日とされていますが、この期間は理想的な条件下での目安に過ぎません。実際には、メッキの種類、製品の数量、形状、材質、そして要求される品質基準によって、納期は大きく変動します。金属加工従事者が納期を正確に見積もるには、これら複数の変数を考慮する必要があります。

 

メッキ加工の日数は処理工程で大きく異なる

 

メッキ加工の納期を決める最も重要な要素は、実施する処理工程の種類と数です。単一工程(例えばニッケルメッキのみ、またはクロムメッキのみ)で外観検査だけを行う場合、即日から3営業日以内で対応可能です。しかし、研磨→メッキ→再研磨といった複数工程を組み合わせる場合、または特殊な後処理を必要とする場合は、3~5営業日必要となります。

 

さらに特殊な管理が必要な処理、例えば硬質アルマイトや特殊な無電解ニッケルメッキの場合は、週に1回程度の限定された対応となることもあります。硬質アルマイトは処理温度を低く保つ必要があるため、製造日が限定される場合があり、最大で1週間以上の納期が必要になることもあります。前処理工程の内容も重要です。脱脂、酸洗いなどの前処理は、各工程で数分から十数分要しますが、複雑な製品では十数分から数十分にまで延びることがあります。

 

メッキ加工の日数は製品形状と複雑度で変わる

製品の形状が複雑であるほど、メッキ加工にかかる日数は増加します。単純な立方体や円柱形の部品は均一にメッキを施しやすく、標準的な納期で対応できます。しかし、複数の段差や隅部を持つ形状の場合、電流が均等に流れず、メッキの厚みが不均一になるリスクがあります。特に角部分にはメッキが厚くつく傾向があり、バリが発生しやすくなります。

 

複雑な形状の製品には専用の治具を製作する必要があり、この治具製作だけで数日要することもあります。形状が複雑な場合、隅部や形状部ツバのついた軸根元には逃げを設けることが望ましく、設計段階からメッキ加工を想定する必要があります。鋭い角部に対しても、できるだけ大きなアールをつけることで、メッキの付き回りが改善され、加工期間の短縮につながります。

 

製品の小型化と複数ロットの対応も日数に影響します。手のひらサイズの単体製品で外観検査のみの場合は3日程度で対応可能ですが、小さな部品1000個のような多量小ロット製品では、開梱や梱包に時間を要することで、全体の納期が延長される傾向があります。

 

メッキ加工の日数はめっき種類と膜厚で決まる

メッキ加工にかかる時間は、選択するメッキの種類と必要な膜厚によって大きく左右されます。クロムメッキには主に3種類の浴があり、それぞれ処理速度が異なります。最も一般的なサージェント浴は電流効率が低く、1時間で約20μmの膜厚しか達成できません。100μmのクロムメッキを必要とする場合、最低でも5時間以上の処理時間が必要です。

 

一方、より新しいHEEF浴(高効率浴)は、従来浴の2~3倍の速度でメッキが析出します。HEEF浴は電流効率が高く、薄いメッキの場合は全体で2~3時間で完了しますが、中程度の厚さで4~6時間、厚いメッキの場合は8時間以上要することもあります。硬質クロムメッキは電流効率が悪く、水素を大量に発生しながら施工されるため、処理後に水素脆性対策として200℃前後での加熱処理(ベーキング処理)が3時間程度必要になります。膜厚が非常に厚い場合や、メッキ浴の温度が低い場合には、加熱処理をさらに延長する必要があります。

 

ニッケルメッキやゴールドメッキの場合、浴の種類によって電着速度が大きく異なります。同じゴールドメッキであっても、強酸性金と弱酸性金ではメッキの付き方が全く異なり、浸ける時間や手間が大幅に変わることで、全体の加工期間に影響します。

 

メッキ加工の日数に影響する隠れた工程項目

メッキ施工自体の時間以外にも、全体の納期に大きく影響する工程があります。見積もりデータの検索と製品仕様の照合だけで、膨大なデータベースから該当項目を探すのに時間を要します。初めての製品の場合は、図面データから面積計算を行う必要があり、これだけで数時間から数日要することもあります。図面の仕様が見積もり時と異なっていた場合、再見積もりが必要になり、さらに日数が延長されます。

 

検査工程も納期に大きく影響します。一般的な外観検査のみであれば大きな影響がありませんが、要求品質が特殊な場合や、特定の検査項目を指定されている場合は、検査の時間が大幅に増加します。製品の開梱と梱包にかかる時間も想定以上に多くなることがあります。特に多品種小ロット製品の場合、1品ごとに製造指示書を発行し、納品書や請求書も個別に作成する必要があります。小物1000個を1個ずつ梱包する場合と、ビニール袋1枚にまとめる場合では、梱包時間が大きく異なります。

 

さらに、出荷準備として定期便の手配や郵送の手配に時間がかかります。複数の品種を扱っている場合、各品目の運送手配をそれぞれ手配しなければならず、これらの管理業務が全体の納期に1~2日程度加わることもあります。

 

メッキ加工の日数を短縮するための実務的なアプローチ

納期を短縮するには、発注側がメッキ業者の制約を理解することが重要です。メッキ加工の専門業者は、見積もり時に正確な条件を確認し、図面改訂時には速やかに連絡することで、再検査や再見積もりの時間を削減できます。初物製品の場合は、できるだけ詳細な図面情報と前回の見積もりデータを提供することで、データ検索時間を大幅に短縮できます。

 

製品の設計段階からメッキ加工を想定することが、最終的な納期短縮につながります。複雑な形状を避け、隅部に適切な逃げを設けることで、特殊な治具製作を不要にしたり、期間を短縮したりできます。熱処理が必要な鋼の場合は、均質な処理を施し、素地組織に変更がないようにすることで、メッキ後のクラック発生を防ぎ、再処理に伴う時間ロスを削減できます。

 

梱包方法の工夫も効果的です。小物を1個ずつ梱包するのではなく、可能な限りまとめて梱包することで、梱包時間を大幅に削減でき、全体の納期を1~2日短縮できることもあります。納期短縮が重要な場合は、メッキ業者に事前にスケジューリングを相談し、生産ラインの負荷状況を確認した上で、最適な納期を設定することが現実的なアプローチです。

 

メッキ処理一覧と納期情報。
初心者でもわかる硬質クロムめっき完全解説 | 三和メッキ工業
硬質クロムめっきは、その厚み種類、処理温度によって必要な時間が大きく異なります。上記ページには膜厚別の用途例や、処理条件による時間の違いが詳しく解説されています。

 

図説 めっき時間と厚さの関係 | 三和鍍金
各種メッキ液による時間当たりの膜厚の違いを、グラフと実例で比較解説しているコンテンツです。同じメッキの種類でも、浴の種類によって1分間あたりの電着厚さが大きく異なることが理解できます。

 

 


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