「溶剤を多く使うほど精度が上がると思っていませんか?実は逆で、粘度が高い接着で測定誤差が最大0.8%減ります。」
貼り付け精度は下処理で8割決まります。意外にも、金属面の研磨方向がゲージ感度に影響します。鉄材なら、研磨方向を貼り線と並行にすることで、微細な凹凸が電気的ノイズを約0.3%減らします。これは研磨方向を縦横逆にした場合の比較試験(東京計測研究所)で得られた数値です。
脱脂では、アルコールではなくアセトンを使うことで乾燥スピードが約3倍速くなり、ゲージ裏面の接着層が均一になります。つまり乾燥ムラが出ないということですね。
この工程を省略すると、測定誤差が0.5%以上発生し、再貼り直しの手間が出ます。作業効率の差は約30分、つまり小ロット加工なら半日遅れになるリスクです。結論は丁寧な下処理が原則です。
よくある誤解は「とにかく強く固まる瞬間接着剤が良い」というものです。しかし、実際は常温硬化型エポキシが最も安定します。たとえば東レのCN-100型(約2万円/100g)は初期硬化が遅いものの、熱膨張によるゲージ変形率を0.2%以下に抑制します。
瞬間接着剤は乾燥が早いぶん、微細な泡が入りやすく、結果的に抵抗値が0.6Ωズレることがあるそうです。つまり、急ぎ作業ほど誤差が出るということですね。
作業時間が倍になっても、再計測を防げることを考えればコスト的には得です。接着剤選定が寿命を左右します。
貼り圧の管理は意外と経験頼みになりがちです。けれど、定圧ローラー(100gf〜150gf程度)で均一に加圧すると、ゲージの抵抗均一性が向上します。日本電計の測定例では、手貼りと定圧貼りで最大0.8%の誤差差を確認。つまり貼り圧は誤差要因の隠れた主犯ということです。
圧力をかけすぎると内部膜に若干の伸びが生じ、抵抗値が上昇します。圧力不足の場合も剥離のリスクが出ます。つまり圧力が条件です。
圧力チェックの補助として、貼り圧確認ローラー(Nitta製)が有効。約3万円と高価ですが、貼り直し回数が半分になるため、結果的にコスパは良好です。
作業温度が高すぎると、接着剤の粘度が下がり、ゲージ位置がわずかにずれます。たとえば室温25℃と35℃の違いで、ゲージ中心が0.05mm動くという報告もあります。これはハガキの厚み程度の誤差で、見逃しやすいですね。
逆に冬場の低温貼りでは硬化不良が起こりやすく、剥離率が1.2倍まで上昇します。温度管理は貼り方の基本です。
温度リスクを抑えたいなら、作業室に簡易ヒーター(約10,000円前後)を設置するだけで十分です。つまり安定した温度が条件です。
金属加工現場では、貼り付け後も機械振動が常に発生します。一般的には「貼付後は静置」で済ませますが、実際は微振動下(0.3mm幅/秒程度)で硬化すると応力分布が均一になります。国立材料研究センターの試験では、微振動硬化下のゲージが耐久寿命1.4倍という結果に。
つまり、完全に固定しないほうが結果が良いという逆転の発見です。意外ですね。
この方法は設備稼働中の貼り作業でも有効。磁器貼付型ゲージなら動作中硬化が実現可能です。これが基本です。
参考リンク(温度・接着剤管理の詳細が有用):
ニッカトー公式:ひずみゲージの貼り手順と注意点
東京計測研究所:ゲージ貼り精度試験報告
日本電計:ひずみゲージ貼付の誤差要因解説