geomet 720ls 耐食性・耐熱性と表面処理

自動車や重要部品の腐食対策として注目されるgeometジオメット 720lsとは何か、その優れた耐食性能と環境配慮について、施工方法から実践的な活用方法まで詳しく解説する技術情報。部品加工従事者が知るべき表面処理の全てが網羅されているが、具体的な導入メリットはご存知ですか?

geomet 720lsとは表面処理コーティング

geomet 720lsの基本情報
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特許技術に基づく革新的な処理

geomet 720lsは、不動態化された亜鉛とアルミニウムのフレークを無機バインダーに加えた特許技術による表面処理です。NOFメタルコーティングスが開発し、世界各国で特許を取得した水系完全クロムフリーの処理剤です。

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環境と安全性への配慮

クロムを一切含まない水系塗料として、公害の心配がなく、RoHS対応品です。六価クロムなどの有害物質を排除し、作業環境の安全性を大幅に向上させることができます。

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外観と膜厚特性

geomet 720lsはシルバーメタリックの外観を呈し、平均膜厚は6~15マイクロメートルです。処理工程に応じて1~3コート施工でき、部品形状に応じた柔軟な施工が可能です。

geomet 720lsの耐食性と防錆能力

 

geomet 720lsは、従来のダクロダイズドに代わる表面処理として開発されました。中性塩水噴霧試験(JIS Z2371)において2000時間以上の耐性を実現し、複合サイクル試験でも40サイクル以上をクリアしています。一般的な三価メッキと比較すると、geomet 720lsは10倍以上の耐食性を誇ります。

 

金属フレークの層状構造が、飛び石などの機械的ダメージを受けた箇所でも自己修復性により、継続的に部品をから保護する独特のメカニズムを備えています。この自己修復性により、小傷が入った場合でも周囲の金属フレークが反応して腐食の進行を止める効果が期待できます。

 

geomet 720lsの耐熱性と高温環境での性能維持

geomet 720lsの強みの一つは、優れた耐熱耐食性です。300℃までの温度環境で性能を維持でき、340℃での焼付けにも対応可能です。これは、処理膜に結晶水や有機樹脂を含まないため、熱劣化を起こしにくいという根本的な特性に由来します。

 

比較として、一般的な電気亜鉛メッキは約100℃で被膜が破壊され、表面変化と急激な耐食性低下が発生してしまいます。自動車のエンジンルーム周辺部品やマフラーの取付ボルトなど、高温環境下で使用される部品には、geomet 720lsが最適な選択肢となります。

 

さらに、熱処理後も耐食性を維持する特性により、部品の熱加工プロセスが完了した後に施工することもでき、製造工程の柔軟性を提供します。

 

geomet 720lsと異種金属接触腐食への対策

geomet 720lsはアルミニウムとの電食防止効果が高く、ガルバニック腐食(電食)対策に最適です。被膜に導電性があり、鋳鉄、炭素鋼アルミニウム合金といった異種金属を組み合わせて使用する場合でも、完璧なガルバニック特性により接触腐食を回避できます。

 

従来の無処理ステンレスボルトとナットの場合、アルミパネルへの締付けにより孔食現象が見られる環境でも、geomet 720ls処理したステンレスボルトナットは3000時間以上の塩水噴霧試験をクリアしました。この高い防止効果により、電気自動車のバッテリーケース周辺や、複合素材を用いた構造部品への適用が可能になっています。

 

被膜の導電特性を活用することで、静電気対策が必要な精密機器部品にも選択肢として機能します。

 

geomet 720lsの施工方法と適用可能な部品形状

geomet 720lsは複数の施工方法に対応しており、部品形状に最適な手法を選択できます。ディップスピン処理、治具掛けディップスピン、スプレー処理、静電スプレーなど、様々な塗装方法で対応可能です。

 

非電解処理のため、水素脆性が発生しません。これにより、高強度部品や重要保安部品の表面処理においても、金属の割れや靭性低下の心配なく施工できます。従来のメッキ処理では水素脆化によって強度が低下するリスクがありますが、geomet 720lsではこの懸念を完全に排除できます。

 

複雑形状やパイプ内面など、従来のメッキでは処理できない部品にも優れたつき廻り性を発揮します。溝付けや内部空間への液の浸透性が高く、処理液が到達しにくい箇所でも均一なコーティングが形成されます。処理工程に排水がないクローズドシステムを採用した施設も増加しており、環境への負荷を最小化しながら高品質な処理を実現しています。

 

geomet 720lsと従来処理との性能比較

geomet 720lsとダクロダイズド、電気亜鉛メッキを性能比較すると、複数の項目で優位性が見られます。

 

処理方法 耐食性(SST) 耐熱性 水素脆性 環境配慮 異種金属対応
geomet 720ls 2000時間以上 300℃対応 なし クロムフリー 優秀
ダクロダイズド 1000時間程度 低下傾向 あり 六価クロム含有 中程度
電気亜鉛メッキ 数百~1000時間 100℃超で破壊 あり 水素脆化リスク 弱い


耐食性の持続時間が大幅に長く、特に自動車部品や建設機械の重要部品に求められる環境耐性を備えています。ダクロダイズドと比較してもクロムフリーの環境配慮により、今後の規制強化に対応しやすいという長期的な利点があります。

 

ダクロダイズドに代わる処理として開発された背景があるため、ダクロダイズドと同等以上の性能を発揮しながら、より安全で環境に優しいという特性を兼備しています。

 

処理液の管理面でも、geomet 720lsは水系のため、廃液処理が簡便であり、排水処理コストの削減も実現できます。

 

詳細な技術情報と最新の処理データについてはNOFメタルコーティングスの公式資料を参照してください。

 

NOF Metal Coatings公式ページ - geomet 720ls製品情報と技術仕様が詳述されています
geomet 720lsの実装例や導入事例については、以下のリソースをご参照ください。

 

キョークロの施工事例 - 自動車部品や工業用ファスナーへの適用実績が掲載されています

 

 


Sa Ilalim Ng Ulan