あなたの切削条件だと工具代が3倍に跳ねます
GaAs(ガリウムヒ素)は、金属加工の感覚で扱うと失敗しやすい材料です。硬度はモース硬度で約5.5〜6程度ですが、延性がほぼなく、ガラスのように割れる性質を持っています。つまり、削れるが粘らないという特性です。つまり脆性材料です。
例えば、アルミのように送りを上げても塑性変形で逃げることがありません。微細なクラックが一気に広がり、加工面が崩壊します。これは肉眼では見えないレベルでも起きます。ここが重要です。
さらにGaAsは半導体用途が前提のため、表面粗さはナノレベルが要求されることが多く、Ra0.01µm以下(髪の毛の太さの1/5000程度)という世界です。一般的な金属部品とは桁違いです。精度が厳しいですね。
このため、金属加工の延長で条件を組むと歩留まりが大きく落ちます。加工というより「扱い方」の問題です。これが基本です。
GaAsを切削で加工する場合、工具寿命は想像以上に短くなります。超硬工具でも数十個の加工で刃先が劣化するケースがあり、アルミの1/5以下の寿命になることもあります。かなり短命です。
原因は、GaAs中のヒ素成分による化学反応と微小欠けの連続発生です。特にドライ加工は工具損耗を加速させます。ここは盲点です。
条件設定としては以下が重要です。
・送りは通常の半分以下(例:0.01mm/rev以下)
・切込みは極小(数µm〜数十µm)
・回転数は高め(ただし熱に注意)
つまり「削る量を極端に減らす」のが基本です。結論は微小加工です。
工具コスト増加のリスクを避ける場面では、寿命管理を目的に「ダイヤモンド工具の使用」を検討し、交換タイミングを加工数で管理する方法が有効です。管理するだけでOKです。
実際の現場では、GaAsは切削よりも研磨が主役になります。特にCMP(化学機械研磨)やラッピングが主流です。ここが大きな違いです。
ラッピングでは、遊離砥粒を使いながら均一に削ります。砥粒サイズは1µm以下(小麦粉より細かいレベル)が一般的です。かなり微細です。
CMPでは、化学反応と機械研磨を組み合わせ、表面を分子レベルで整えます。この工程で初めて半導体品質になります。ここが仕上げです。
注意点として、圧力をかけすぎるとクラックが発生しやすくなります。圧力は低く、時間で削るのが基本です。圧力管理が重要です。
研磨工程での不良リスクを減らす場面では、均一な圧力制御を狙いとして「専用ラッピング装置」を使い、手作業を避けることが有効です。設備で安定させるのが安全です。
GaAs加工で最も多いトラブルがクラックです。しかも加工後に発覚するケースが多く、後工程で不良になります。痛いですね。
クラックは主に以下で発生します。
・急激な切削負荷
・局所的な熱上昇
・工具の摩耗による引っかかり
特に温度差による応力は見落とされがちです。GaAsは熱膨張係数が金属と異なるため、急冷・急加熱で内部応力が発生します。ここが盲点です。
対策としては「一定温度で加工を維持する」ことが重要です。つまり温度管理です。
温度変化による割れリスクを避ける場面では、加工室の温度を一定(±1℃以内)に保つことを狙いとして、簡易でも良いので温調環境を導入するのが効果的です。環境が安定します。
金属加工の経験がある人ほどハマるポイントがあります。それは「削れば形になる」という前提です。しかしGaAsは違います。ここが落とし穴です。
例えば、送りを上げて効率化しようとすると、一気に不良率が上がります。実際に歩留まりが80%→50%まで落ちる事例もあります。半分になります。
また、工具摩耗を「まだ使える」と判断すると、表面に微細欠陥が残り、最終製品でNGになります。見えない不良です。
つまり、効率より品質優先です。これが原則です。
この違いを理解しているかどうかで、コストも納期も大きく変わります。GaAsは金属ではありません。ここを切り替えられるかが分かれ目です。