超撥水塗料・吉川工業の技術で金属腐食を防ぐ方法

吉川工業が開発した超撥水塗料は、成分の8割が水でフッ素化合物不使用という画期的な製品です。金属加工現場での防錆・防汚効果や施工のポイントを詳しく解説します。あなたの現場にも導入できるでしょうか?

超撥水塗料・吉川工業が変える金属防食の常識

フッ素系塗料を使わないと、超撥水性能は出ないと思っていませんか?


この記事のポイント3選
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成分の約8割が「水」

吉川工業の超撥水塗料は、主原料が水と疎水性シリカ。フッ素化合物(PFOS・PFOA)を一切使わずに水の接触角150度以上を実現した、特許取得済みの次世代塗料です。

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原料コストを従来比2分の1に削減

PTFEなどのフッ素化合物を使う従来品と比較して、原料コストが大幅に低減。1液性で下塗り剤も不要なため、金属加工現場での施工コストも同時に圧縮できます。

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金属・コンクリート双方に対応

鋼構造物やコンクリート製品に塗布するだけで、雨水・泥水・海水の付着を防止。金属の腐食・劣化を抑える防食塗料として、社会インフラから工場設備まで幅広く使えます。


超撥水塗料とは何か——吉川工業が解決した「水と撥水の矛盾」



超撥水塗料とは、表面に落とした水滴の接触角が140度以上、さらに150度以上になる状態を指す、最高水準の撥水性を持つ塗料のことです。水滴が表面に留まらず、ころころと転がり落ちる様子はまるで蓮の葉のようで、「ロータス効果」とも呼ばれます。


ここで多くの金属加工従事者が疑問に思うのは、「なぜ吉川工業の塗料は水を主原料にしながら、超強力な撥水性を実現できるのか?」という点でしょう。つまり矛盾です。


吉川工業(福岡県北九州市八幡東区、社長・花岡浩氏)が開発したのは、成分の約8割以上が「水」でありながら、水の接触角150度以上という超撥水性を実現した、世界でも異例の塗料組成物です。特許第7578233号を2024年10月28日に取得しており、技術の信頼性は公的に担保されています。


秘密は「疎水性シリカ微粒子粉末」の分散技術にあります。従来の水系超撥水塗料は、疎水性シリカを水に分散させるために「水溶性高分子(分散剤)」を使用していました。しかしこの水溶性高分子が、塗膜の耐久性を時間とともに低下させる原因になっていたのです。吉川工業の技術では、水溶性高分子を実質的に排除し、代わりにハンセン溶解度パラメータ(HSP値)を精密に制御した水と有機溶剤の混合溶媒を用いることで、耐久性と撥水性を同時に高めることに成功しました。これは画期的な解決策です。


塗料の原材料は水・疎水性シリカ・水系樹脂・少量の有機溶媒の4成分のみ。スプレーガンや刷毛で塗布でき、常温で硬化する1液性塗料のため、硬化剤の混合作業が不要です。金属加工現場では「段取りの手間」がコストに直結しますが、この1液性という仕様は現場作業員にとって実質的な時短効果をもたらします。


吉川工業公式|PFOS・PFOA不使用・水系超撥水塗料の開発詳細(特徴・仕様・用途)


超撥水塗料・吉川工業が金属腐食防止に有効な理由

金属加工に携わる人であれば、と腐食が現場最大のコストリスクの一つであることは身をもって知っているはずです。水分が金属表面に留まる時間が長ければ長いほど、酸化・腐食・電気腐食のリスクは高まります。これが原則です。


吉川工業の超撥水塗料が金属食に有効な理由は、「水との接触時間をゼロに近づける」という根本的なアプローチにあります。接触角150度以上の超撥水面では、水滴が表面に「乗る」のではなく「弾かれる」状態になります。コップの底に置いた水銀の粒を想像してください——あの水銀の粒のように、水滴が丸く玉状になって転がり落ちるのです。この状態では、水分が金属表面に滞留する時間が極めて短くなります。


さらに重要なのは「泥水も弾く」という点です。雨水だけでなく、砂利や土砂などの固形物が混入した泥水まで弾くことが確認されています。金属加工工場や土木・建設現場では、雨水よりも泥水への暴露リスクのほうが高い場面も多く、この性能は見逃せません。


屋外設置の鋼構造物、橋梁の鉄骨部分、工場設備の外装パネル——これらは年間を通じて雨水・泥水・海塩粒子に晒され続けます。国土交通省のデータによれば、橋梁の維持修繕費用は今後急増が見込まれており、防食対策の効果的な導入がコスト圧縮のカギとなっています。超撥水塗料の塗布によって表面への水分付着を根本から抑えれば、塗膜劣化スピードを遅らせ、次回メンテナンスまでの期間を延ばすことが期待できます。これはコスト削減につながります。


アンテナ設備など電波機器への応用も見逃せない点です。金属面への水滴付着は電波減衰の原因となりますが、超撥水コーティングによって水滴の残留を抑えることで、電波特性の安定化にも寄与するとされています。


evort|金属への超撥水加工の目的・材質別特徴・加工方法の種類(産業利用の概要)


吉川工業・超撥水塗料のフッ素化合物不使用が現場にとって意味すること

従来の高性能撥水塗料の多くは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素化合物を主成分としていました。フッ素系塗料は確かに撥水性能が高いのですが、現在は世界的に規制の風が吹き始めています。これは見逃せない変化です。


特に問題視されているのがPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)です。両物質は「永遠の化学物質」とも呼ばれ、環境中で分解されにくく、人体への蓄積性が高いとして、ストックホルム条約をはじめとする国際的な協定での使用制限が進んでいます。日本国内でも化学物質審査規制法(化審法)の規制対象物質であり、取り扱いには届出・管理義務が発生します。


金属加工の現場でフッ素系塗料を使い続けた場合、将来的には規制強化によって塗料の入手困難・価格高騰・廃棄コスト増大といったリスクが現実のものとなりかねません。さらに、作業者がVOC(揮発性有機化合物)を多量に含む塗料を扱う際の健康リスクも無視できません。厚生労働省の労働安全衛生法では、有機溶剤を取り扱う作業場に対して局所排気装置の設置や特殊健康診断の実施が義務付けられており、対応コストが発生します。


吉川工業の超撥水塗料はVOCの発生が少なく、PFOS・PFOAを含まないため、こうした将来的な規制リスクをまるごとかわせる選択肢になります。今後、国際サプライチェーンにおけるESG評価の観点からも、使用塗料のフッ素化合物含有状況が取引条件に影響するケースが増えてくることが予想されます。環境対応は「コスト」ではなく「リスクヘッジ」と捉える必要があります。


超撥水塗料・吉川工業の施工で押さえたい実務ポイント

性能の高い塗料でも、施工の仕方次第で効果が大きく変わります。施工品質が命です。吉川工業の超撥水塗料を実際の金属加工現場で使う際に、知っておくべき実務ポイントを整理します。


まず、下地処理(素地調整)の重要性について確認しておきましょう。超撥水塗料に限らず、塗料の密着性は下地の状態に大きく左右されます。金属表面に油分・錆・塵埃が残っている状態で塗布すると、塗膜が剥離しやすくなります。特に鉄鋼や炭素鋼は錆が発生しやすいため、サンドブラストやワイヤーブラッシングによる錆の除去、脱脂洗浄を施工前に必ず実施してください。これが基本です。


吉川工業の塗料は「下塗り剤が不要」という特長があります。これは施工ステップを大幅に削減できることを意味しており、通常の塗装工程で必要な「下塗り→中塗り→上塗り」という3ステップが不要になる場合があります。この省工程化は、大型鋼構造物への施工における足場代・人件費・養生費の削減に直結します。


塗布方法はスプレーガンまたは刷毛が推奨されています。スプレーガンを使用する場合は、均一な膜厚を維持するために吐出量・吐出距離・移動速度を一定に保つことが重要です。複雑な形状の金属部品(トラス構造や溶接部周辺など)には刷毛塗りのほうが適しています。常温硬化型のため、強制乾燥設備がない屋外現場でも施工が可能です。意外と使いやすいです。


施工環境についても注意が必要です。雨天・高湿度環境下では塗膜の乾燥が遅れ、撥水性能が十分に発揮されないことがあります。相対湿度85%以下・気温5℃以上の環境での施工が推奨されます。また、塗布後は十分な養生期間を設けることで、塗膜の撥水性能と耐久性が安定します。


超撥水塗料・吉川工業技術の今後と金属加工業界への独自視点

吉川工業はもともと官営八幡製鉄所での鉄スクラップ処理を祖業とし、鋼材の表面処理や電子部品製造へと事業を多角化してきた企業です。従業員1,600名、創立1920年(大正9年)という歴史を持つ北九州の老舗製造業が、なぜ今「超撥水塗料」の開発に動いたのか——その背景を知ることが、今後の業界変化を読む上で重要です。


注目すべきは、この塗料がいわゆる「大手化学メーカー主導の研究」ではなく、「若手社員がゼロから開発した」という点です。朝日新聞(2025年9月25日付)の報道によれば、社内の若手研究者が既存の技術常識にとらわれずにアプローチしたことで、水を主原料とするという「常識破り」の配合にたどり着いたとされています。こうした現場発のイノベーションが、製造業全体の技術競争力を引き上げる可能性を秘めています。


金属加工業界の視点から見ると、この塗料技術が持つ意義はコスト削減や環境対応にとどまりません。製品の付加価値向上という観点でも重要です。たとえば、金属加工品の表面に超撥水処理を施した状態で納品することで、最終ユーザーに「防錆・防汚機能付き」という付加価値を提供できます。これにより、単なる加工賃の競争から脱却し、機能付加型の提案営業が可能になります。


現在、吉川工業は「最適な用途に向けた検討」を進めている段階であり、製品の本格的な量産・販売フェーズはこれからです。金属加工企業がいち早く情報をキャッチし、自社製品への応用・採用検討を進めることで、競合他社より早く技術優位性を確立できる可能性があります。技術革新は待つより先手が得です。


吉川工業の超撥水塗料に関する最新情報・問い合わせ先は公式ウェブサイト(ykc.co.jp)のテクノセンターページから確認できます。特許情報(特許第7578233号)はJ-PlatPatや知財ポータル「IP Force」でも参照可能です。


吉川工業株式会社公式サイト|超撥水塗料の技術詳細・仕様・用途情報


知財ポータル「IP Force」|特許第7578233号「超撥水性塗料組成物」の特許内容確認






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