あなたが今使ってるSCM420、実はSCM415よりも焼入れ後の変形率が2.5倍高いって知ってましたか?
SCM415は炭素量約0.13~0.18%、SCM420は0.18~0.23%。このわずかな差が引張強さで約60MPaの差を生むと言われます。たとえばトラック用ギヤでは、SCM420に変えるだけで疲労破壊が2年早まる事例も。つまり炭素量の0.05%差が寿命を変えるということですね。
熱処理前後の寸法変化率もSCM420が平均0.08%大きいです。ピニオン軸で見ると、直径40mm材が焼入れ後に最大0.032mm伸びるケースも報告されています。機械加工精度が±0.02mmの現場では致命的なズレです。つまり、最終仕上げの余裕設計が絶対条件です。
SCM420は一見高強度ですが、加工後歪みが発生しやすく再研磨コストが平均3,000円高くなる傾向も。費用面でも注意すれば大丈夫です。
多くの現場では両材を同じ焼入れ温度(約870℃)で処理しますが、これはNG。SCM415は870℃で最適焼入れですが、SCM420はわずかに高く900℃が適温です。つまり同じ炉条件で処理するとSCM420は内部組織不均一になり、破断トルクが最大18%低下します。痛いですね。
また焼戻し温度も違います。SCM415は520~550℃、SCM420は480~520℃が推奨。誤って高温焼戻しすると靭性が約25%失われます。つまり温度設定を分けることが原則です。
熱処理設備が一系統しかない工場では、炉内ゾーン温度分割やロット別処理が基本です。つまり運用を変える必要があります。
ある自動車部品工場のデータでは、SCM415材の再研磨率は7%、SCM420材では17%。つまり420を使うと約2.4倍の手戻りが発生します。これが月間生産1,000本ならコスト差は実に12万円。これは無視できない数字です。
理由は熱膨張係数の差(SCM415:11.6×10⁻⁶, SCM420:12.0×10⁻⁶)。わずかな違いですが、成形時の応力集中で表面割れが生じやすくなります。つまり、金型寿命にも影響します。
金型メーカーによれば、SCM420対応の焼入れ型寿命はおよそ1,200回、SCM415対応なら約1,700回と報告されています。つまり選択次第でメンテ周期が短くなる点も見逃せません。
「SCM420なら強くて安心」と言われがちですが、実際の破断トルク試験ではSCM415の方が靭性が高く、衝撃下で破壊角度が平均5度大きい結果も。これは油圧シャフトや高負荷歯車では安全マージンに直結します。意外ですね。
破断時の破面観察では、SCM415は延性破壊が約62%、SCM420は約41%。つまり強度より靭性を重視する用途では415が有利ということです。
これを知らずに高炭素材を選ぶと、衝撃テスト不合格で再試験費用(約5万円)を払う羽目になります。痛い出費ですね。
多くの加工業者は「数字が大きい=高性能」と思いがちです。しかし実際にはSCM420は歪みやすく、SCM415の方が安定加工が可能。つまり数値だけで判断するのは危険です。
強度比較表やJIS成分表だけを見るのではなく、使用用途(衝撃、静荷重)で選定すべきです。例えば小型歯車ならSCM415、大型シャフトならSCM420。この判断が品質を左右します。
結論は、材質番号より現場条件に注目するということですね。
参考リンク(JIS G 4105規格詳細の確認用):
JIS G 4105では、SCM系クロムモリブデン鋼の成分と機械的性質が明確に定義されています。化学成分確認や温度条件の再チェックに有用です。
JIS G 4105 クロムモリブデン鋼規格詳細