あなたの加工面、液滴ピン止めで月3万円損してます
金属表面に付着した液滴は、単に重力で流れるわけではありません。接触角と呼ばれる角度によって、その場に「留まる」か「動く」かが決まります。例えば接触角が90度以上だと撥水寄り、30度以下だと濡れ広がる性質になります。つまり、角度次第です。
このとき重要なのが「接触角ヒステリシス」です。前進角と後退角の差が大きいほど、液滴は動きにくくなります。数値でいうと差が20度以上あると、ほぼその場に固定されるケースが多いです。結論はピン止めです。
加工現場では切削油や洗浄液がこの影響を強く受けます。流れてほしいのに残る、あるいは均一に広がらない原因になります。これは不良の種です。
表面粗さはピン止め効果に直結します。Ra0.2μm以下の鏡面では液滴は比較的動きやすく、Ra1.6μm以上になると急激に止まりやすくなります。つまり粗いほど止まるです。
これは微細な凹凸に液体が引っかかるためです。イメージとしては、紙やすりの上に水滴を置くようなものです。滑らないのが普通です。
特にサンドブラスト後や切削痕が残る面では顕著です。液が溝に入り込み、局所的に残留します。これは厄介ですね。
この影響で乾燥ムラや腐食の原因になります。対策としては「仕上げ工程でRaを確認する」だけで大きく改善します。Ra測定が基本です。
例えばアルミ加工後の洗浄工程を考えます。洗浄液が均一に流れず、端部に液滴が残るケースがあります。このときピン止めが発生しています。これが原因です。
実際、ある現場では月50個の再洗浄が発生していました。1個あたり600円の手間とすると、月3万円のロスです。痛いですね。
さらに乾燥工程でも影響があります。液滴が残ると水シミや白化が発生します。外観不良です。
この問題は「液が流れない理由」を理解することで解決に近づきます。つまり接触角と粗さです。
ピン止めによる液残りのリスクは、品質低下と再加工コストです。このリスクを減らす狙いで有効なのが「表面改質」と「液性調整」です。ここがポイントです。
まず表面改質では、簡易的にはバフ仕上げや電解研磨が有効です。これによりRaを0.4μm以下にすると、液滴の移動性が改善します。これだけ覚えておけばOKです。
次に液性調整では、界面活性剤を0.1〜0.5%添加する方法があります。これで接触角が10〜20度下がり、流れやすくなります。かなり変わります。
また乾燥工程ではエアブロー角度を30度程度にすると、ピン止めを崩しやすくなります。これは実務的です。
あまり知られていませんが、工具摩耗もピン止めに影響します。摩耗した工具は表面に微細なバリや引きずり痕を残します。ここが原因です。
この微細形状が液滴の固定点になります。結果として、新品工具時よりも液残りが増えます。意外ですね。
例えばエンドミルを100個加工ごとに交換していた現場で、200個まで延ばした結果、洗浄不良が約1.8倍に増えた事例があります。数字で出ます。
つまりコスト削減のつもりが逆効果になるケースです。結論は交換基準です。
このリスクを避けるには「加工面の濡れ性変化」を定期的に確認することです。接触角測定ペンなど簡易ツールも市販されています。導入しやすいです。