あなた、同じケイ素鋼でも1本で2万円損してるかもしれません。
ケイ素鋼は「電磁鋼板」として知られていますが、丸棒材では用途が異なります。鉄損を抑えるためにケイ素を2~4%添加した構造ですが、この含有率が増えるほど脆くなり、切削や旋盤加工ではバイトの寿命が短くなります。つまり、磁性を優先すると被削性が犠牲になるのです。
この性質がコストに直結します。NC旋盤で仕上げる場合、同サイズの炭素鋼に比べて工具交換サイクルが3倍になる例もあります。そのため、加工前に被削性指数を確認することが重要です。結論は、磁性重視と加工効率のバランス設計が鍵です。
熱処理の段階で磁性が大きく変化します。一般的に850~900℃の焼鈍が行われますが、温度が5~10℃ずれるだけで磁束密度が低下し、変圧器コアなどの用途では効率が落ちます。わずか1%の鉄損増加も量産すれば年間コストが数十万円単位で跳ね上がります。
また、急冷すると内部応力が発生し、丸棒の表面が微細に割れることもあります。つまり加熱・冷却速度を記録して制御できる設備での処理が前提です。温度管理が条件です。
ケイ素鋼丸棒は、一般鋼に比べて工具寿命が短く、加工時間が長い特性を持ちます。たとえば、φ20mmの丸棒を旋盤で1時間かけて仕上げる場合、炭素鋼なら20本できてもケイ素鋼では8本ほどしか加工できません。工具代と電気代を考えると、実にコストは2.5倍に跳ねます。
しかし、適切な潤滑油と切削速度の設定で改善できます。東京都工業技術センターの研究報告によると、切削油に硫黄系添加剤を3%混ぜると摩耗が22%減少しました。つまり条件次第でまだ伸びしろがありますね。
ケイ素鋼丸棒の用途は、主にモーターシャフトや磁気センシング機器部品などです。電磁鋼板に比べて形状安定性に優れていますが、磁束方向に制約があるため、設計段階で軸方向の磁場特性を考慮しなければなりません。
特に、高周波用途では非晶質のFe-Si合金丸棒を使用することで鉄損を最大60%減らせるデータもあります。知っているかどうかで設計効率が変わりますね。最適化が基本です。
代替材として注目されるのが「Ni-Cr系合金棒」や「パーメンジュール(Fe-Ni合金)」です。これらは加工しやすく、磁気特性も安定しており、価格は1.5倍程度でも総コストを下げる事例があります。
たとえば、月100本の小ロット加工では、ケイ素鋼丸棒では月6万円の工具費が必要なのに対し、Ni系では3.5万円に抑えられるケースも。どういうことでしょうか?つまり、材料単価よりも加工費で損していることが多いのです。材料選定が条件です。
東京都産業技術研究センター:磁性材料特性と加工条件に関する技術資料