エポキシ樹脂の最も代表的な用途として、接着剤と塗料が挙げられます 。これらは私たちの生活や産業に欠かせない存在です。
接着剤としてのエポキシ樹脂 接着剤としてのエポキシ樹脂は、主剤と硬化剤の2液を混合して使用する化学反応硬化型が主流です 。このタイプは、硬化時に体積がほとんど減らない(肉やせが少ない)ため、隙間を埋める充填剤としても使用できます 。特に金属同士の接着に非常に強く、その接着力はせん断強度で25MPa以上にも達するものがあります 。また、硬化時間を調整した製品も多く、30分程度で硬化が始まるタイプは作業時間に余裕が持てるため、ホビー用途からプロの現場まで幅広く使われています 。
参考)エポキシ系接着剤シリーズ
塗料としてのエポキシ樹脂 塗料としてのエポキシ樹脂は、その強靭な塗膜と優れた機能性から、過酷な環境下で真価を発揮します 。
最大の特徴は、化学反応によって形成される緻密で硬い塗膜です 。これにより、物理的な衝撃や摩擦に対する高い耐久性を持ちます。また、耐薬品性にも優れており、酸やアルカリに強いことから、化学工場や実験施設の床や壁にも採用されています 。
さらに、高い防食性(防錆性)と防水性も重要な特性です 。この性質を利用して、橋梁や船舶、プラント設備など、錆や腐食から守る必要のある大型鋼構造物の保護に広く使用されています 。床用のエポキシ塗料は、その防塵性と清掃のしやすさから、クリーンルームや食品工場の床にも最適です 。
以下のリンクは、大手塗料メーカーによる変性エポキシ樹脂塗料の技術的な概要です。防食性などの専門的な情報が記載されています。
https://www.dnt.co.jp/products/heavy_duty/technical_data/pdf/gijyutsu_shiryo_02.pdf
エポキシ樹脂の優れた電気絶縁性と機械的強度は、最先端技術を支える専門的な分野で不可欠なものとなっています 。
電子部品における絶縁・封止
エポキシ樹脂は、スマートフォンやPC、自動車に搭載される電子部品の性能と信頼性を支える重要な材料です 。その最大の役割は、優れた電気絶縁性を活かした「絶縁」と「封止」です 。
参考)https://www.mdpi.com/2073-4360/15/13/2818/pdf?version=1688017907
複合材料(コンポジット)のマトリックス樹脂として
エポキシ樹脂は、炭素繊維やガラス繊維といった強化繊維と組み合わせることで、複合材料(コンポジト)のマトリックス(母材)として利用されます 。これにより、軽量でありながら金属に匹敵する、あるいはそれ以上の強度と剛性を持つ先端材料が生まれます 。
代表的な例が、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)です。CFRPは、航空機の機体や翼、レーシングカーのシャシー、高級スポーツ用品(テニスラケット、釣竿など)に採用されており、製品の軽量化と高性能化に大きく貢献しています 。エポキシ樹脂は強化繊維によく含浸し、強力に接着することで、繊維の持つ性能を最大限に引き出す役割を担っています 。
近年、エポキシ樹脂はプロの現場だけでなく、DIYやハンドメイドの世界でも人気が高まっています 。特に、透明度の高い製品は「クリスタルレジン」や「エポキシレジン」として知られ、美しい作品作りに活用されています。
テーブルや家具の製作(リバーテーブル)
木の板の間に着色したエポキシ樹脂を流し込み、川の流れのような模様を描く「リバーテーブル」は、DIYの中でも特に人気の高いプロジェクトです 。木材の自然な風合いと、樹脂の透明感や色彩が融合した、世界に一つだけのオリジナル家具を作ることができます。大きな作品を作る際は、硬化時の発熱が少ないタイプのエポキシ樹脂を選ぶのがポイントです 。
参考)エポキシ樹脂とは|エポキシ樹脂接着剤・エポキシ樹脂モルタルの…
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アクセサリーや小物作り
シリコンモールド(型)にエポキシ樹脂を流し込み、ドライフラワーやビーズ、ラメなどを封入することで、オリジナルのアクセサリーやキーホルダー、置物などを制作できます 。UVレジンと比べて硬化に時間がかかりますが、黄変しにくく、高い透明度と強度を持つ作品が作れるのが特徴です。2液を正確に計量し、気泡が入らないようにゆっくりと混ぜ合わせることが、美しい仕上がりのためのコツです。
参考)自宅でのDIYエポキシ金型作成: 簡単ガイドと材料選び - …
DIYでエポキシ樹脂を使う際の注意点
以下の参考動画では、木材とエポキシ樹脂を使ったDIYの具体的な工程が紹介されており、これから挑戦したい方にとって非常に参考になります。
https://www.youtube.com/watch?v=R981-2n-g-A
エポキシ樹脂は、従来の用途にとどまらず、サステナビリティや最先端の科学技術を取り入れ、今もなお進化を続けている素材です。ここでは、あまり知られていない意外な用途や最新の研究動向について紹介します。
環境に配慮したバイオベースエポキシ樹脂
従来のエポキシ樹脂は、その多くが石油由来の原料から作られています 。しかし、近年の環境意識の高まりを受け、植物油やリグニン、糖類といった再生可能な生物資源(バイオマス)を原料とする「バイオベースエポキシ樹脂」の研究開発が世界中で進んでいます 。
参考)https://www.mdpi.com/2504-477X/7/9/374/pdf?version=1693989676
これらの樹脂は、持続可能な社会の実現に貢献するだけでなく、従来の樹脂にはない新しい特性を持つ可能性も秘めています。例えば、特定の植物由来の骨格を導入することで、柔軟性を高めたり、接着性を向上させたりする研究が行われています。カーボンニュートラルな未来に向けた、次世代のエポキシ樹脂として大きな期待が寄せられています 。
ナノテクノロジーによる機能性の飛躍的な向上
エポキシ樹脂にナノメートル(1ミリの100万分の1)サイズの微粒子(ナノフィラー)を添加することで、その性能を劇的に向上させる研究が注目されています 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7463561/
エポキシ樹脂の最終的な性能は、ベースとなる主剤だけでなく、どの「硬化剤」と組み合わせるかによって大きく左右されます 。硬化剤は単に樹脂を固めるだけでなく、耐熱性、耐薬品性、硬化速度、柔軟性といった様々な特性を決定づける重要な要素です。用途に合った硬化剤を選ぶことが、エポキシ樹脂の性能を最大限に引き出す鍵となります。
硬化剤の主な種類と特徴
硬化剤には多くの種類がありますが、代表的なものとしてアミン系、ポリアミド系、酸無水物系などが挙げられます。
硬化条件による分類
エポキシ樹脂は、硬化に必要な温度によっても分類されます 。
例えば、接着剤の中には、常温でも硬化しますが、120℃で1時間といった加熱処理(硬化養生)を行うことで、さらに高い耐熱性を発揮する製品もあります 。このように、求める性能や作業環境に応じて適切な硬化剤と硬化条件を選ぶことが極めて重要です。

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