銅は純度99.90%以上の純粋な金属であり、金属加工の分野では最も基本的な素材です。銅の比重は8.96と比較的重く、塑性加工に適した性質を持つため、古くから様々な用途で活用されてきました。銅の最大の特徴は、導電率と熱伝導率が銀に次ぐ高さにあります。この性能を活かして、電線や精密機器の部品、熱交換器などの工業製品に広く使用されています。
銅は展性・延性が非常に優れており、押出しや圧延などの加工方法によって容易に形状を変えることができます。加工温度の適切な管理により、銅の可塑性を最大限に引き出すことが重要です。また、銅は耐食性に優れており、建築材料や配管用途での使用が増加しています。ただし、銅は200℃を超えると軟化するため、通常200℃以下での使用が原則です。さらに、硝酸や塩酸などの強酸には侵されるという制限があり、使用環境の選定が必要となります。
真鍮(黄銅)は銅に亜鉛を混ぜた合金で、亜鉛の含有量が20%以上のものを指します。亜鉛の含有量によって特性が大きく変わり、比重は8.45となり純銅よりも軽量化します。JIS規格では亜鉛の含有率によって異なる規格が存在し、一般的な真鍮は銅65%・亜鉛35%の比率(65/35黄銅、C2680)です。これ以外にも、銅70%・亜鉛30%の七三黄銅(70/30黄銅、C2600、イエローブラスとも呼ばれる)や、銅60%・亜鉛40%の六四黄銅(60/40黄銅、C2801)があります。
亜鉛の含有率が高いほど真鍮は硬くなりますが、同時にもろさが増す傾向にあります。α黄銅(亜鉛38%以下)とα+β黄銅(亜鉛38%以上)に分類されますが、銅含有率が60%未満になると脆性が顕著となり、一般的には銅含有率60%以上のものが真鍮として使用されます。含有率の違いにより、5%亜鉛黄銅はメダルや貨幣に、20%亜鉛黄銅は装飾金具や楽器に、35%亜鉛黄銅は日用品や装飾品に使い分けられています。
真鍮は銅を凌ぐ加工のしやすさが最大の特徴で、伸銅品(伸ばしたり圧縮したりして加工する銅)のなかでも使用頻度が極めて高い素材です。機械加工性が高く、冷間加工によって加工後に硬化により強度が上がるというメリットがあります。しかし、切削加工時には注意が必要です。真鍮は柔らかく粘り気があるため、削られた材料が離れていく際に粘り、バリが出やすくなります。
切削加工時の発生熱で切粉が融解し、工具先に溶着することが問題となります。この対策として、油性のクーラントを使用することが推奨されます。水溶性のクーラントを使用すると腐食により変色してしまう場合があるため避けるべきです。粘り気のある金属という特性から、切削抵抗を少なくするために、切れ味が鋭く、すくい角の大きい工具を選定することが重要です。また切削速度を高めに設定し、高速での切削条件に設定することで効率的な加工が実現します。
銅と真鍮は見た目の色合いで区別できます。純銅は赤褐色から赤色の色合いを呈し、金属光沢により工芸品としても重宝されています。一方、真鍮は明るい黄金色に輝き、アンティーク的な雰囲気を持つことが特徴です。亜鉛の割合が高いほど色が薄くなり、銅の割合が高いほど色が赤みを帯びてきます。
見分ける簡単な方法として、新品の5円玉(真鍮)と10円玉(青銅)を比較することが有効です。表面処理加工がされている場合は、ヤスリなどで表面を軽く削り、素材の色合いを確認することで正確な判定が可能になります。真鍮は錆びる際に黄色い錆が生じますが、青銅は青色の錆が特徴です。この違いも判別の基準となります。色合いの違いは、用途設定の際の重要な選択基準となるため、意識的に観察する習慣が必要です。
銅は導電性・熱伝導性の優位性から、電線、テレビやパソコンなどの家庭用電化製品の部品として活躍します。エアコンや冷蔵庫の熱交換器材料としても不可欠です。熱伝導性の高さは銅鍋が食材を均等に加熱できる点に表れており、調理器具としての利用も多いです。海水への耐食性の高さから、船のスクリューや建築物の配管用途に重宝されています。
真鍮は冒頭で述べた5円硬貨のほか、金管楽器(トランペットなど)、水洗トイレの給水管、スパッド(接続部品)などに広く使用されています。アクセサリーとしてのネックレスやブレスレット、装飾品としての活用も多く、黄金色の輝きが高級感を演出します。真鍮が青銅よりも使用される頻度が高い理由は、加工性の優位性とコスト効率のバランスにあります。実装例としては、医療機器の部品や計測機器の接点材料としても採用されています。
<参考リンク>
銅の導電率と熱伝導率、および加工性に関する詳細な情報について、TECH-JOURNEYの「銅・真鍮の基礎知識」が参考になります。銅の種類による特性の違い、材料選定の基準が明確に示されています。
「銅・真鍮の基礎知識」銅の特徴・種類・他の材質との比較
<参考リンク>
銅と真鍮の実務的な用途の違い、加工時の注意点について、畑鉄工株式会社の「銅と真鍮はどう違う?」が詳しく解説しています。特に加工業者の視点から実践的な情報が提供されています。

[Sanyu Trade] 純銅ネックレス 純銅99.9% 喜平チェーン 紫銅 抗菌 男女兼用 電磁波過敏症対策 純銅 丸カンも純銅 紫銅 抗菌 ネックレス メンズ レディース