あなたの予圧設定ミスで寿命2倍損します
ボールねじの予圧とは、ナット内部のボールにあらかじめ荷重をかける仕組みです。
ガタを消すためです。
通常、ボールねじはわずかな隙間(バックラッシ)を持っていますが、これがあると位置決め精度が落ちます。そこで、2列ボールやオーバーサイズボールを使い、常に押し合う状態を作ります。つまり、常時「締め付けた状態」で動かす設計です。
つまり精度確保です。
例えば、C5級のボールねじではバックラッシが0.01mm前後ありますが、予圧をかけることで実質ゼロに近づきます。これは髪の毛の太さ(約0.08mm)の1/8程度の違いです。
精度重視の加工機では必須です。
予圧にはいくつか種類があります。代表的なのは以下です。
・ダブルナット方式
・オーバーサイズボール方式
・オフセットリード方式
方式ごとに特徴があります。
ダブルナットは2つのナットを締め込んで予圧を作る方式で、調整が容易ですがコストが上がります。一方、オーバーサイズボールはボール径を数ミクロン大きくする方法で、構造がシンプルです。
現場では後者が多いです。
ただし、オーバーサイズは交換時に同径を揃えないと性能が落ちます。ここが落とし穴です。
注意が必要です。
予圧は精度を上げますが、同時に摩耗を増やします。
ここが重要です。
例えば、メーカー資料では「予圧なし」を寿命100%とすると、軽予圧で約70〜80%、中予圧で50%程度まで低下するケースがあります。つまり半分です。
これは接触荷重が増えるためです。ボールと溝の接触圧力が上がり、潤滑油膜が切れやすくなります。結果として摩耗が加速します。
寿命は短くなります。
高精度を取るか、寿命を取るか。現場ではこのバランスが重要です。
予圧は適当に強くすれば良いわけではありません。
強すぎはNGです。
一般的には基本動定格荷重の2〜8%程度が目安です。例えば動定格荷重が10kNなら、0.2〜0.8kNの予圧です。
この範囲を外れると問題が出ます。
過大予圧では発熱や焼き付き、過小予圧では振動やビビりが発生します。特に高速送り時に差が出ます。
精度と温度管理です。
予圧確認の場面では、異音やトルク変動のチェックが有効です。ここでのリスクは異常見逃しによる設備停止です。これを防ぐ狙いなら、簡易トルク測定器で確認するだけでOKです。
実際の現場では予圧に起因するトラブルが多発しています。
よくある話です。
例えば、「精度が出ないから予圧を上げた結果、3ヶ月で焼き付き」という事例があります。本来1年持つはずが1/4です。これはコスト直撃です。
逆に、予圧不足でビビり加工が発生し、不良率が20%増えたケースもあります。加工時間も倍近くに伸びます。
損失は大きいです。
こうしたトラブルを避けるには、初期設定値の記録と定期測定が有効です。再現性を持たせるのがポイントです。
メーカー資料で予圧と寿命の関係が詳しい解説あり
https://www.thk.com/jp/ja/products/ball_screw/