SEMで分析を依頼したのに、実は内部欠陥の原因究明にはTEMしか使えず、試料を作り直すと追加費用が50万円以上かかるケースが報告されています。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)は、電子線を試料に「透過」させることで内部構造を観察する装置です。光学顕微鏡が可視光を使うのと同じ発想ですが、電子の波長は可視光の約10万分の1程度と極めて短いため、0.1ナノメートル(nm)以下という原子レベルの分解能を実現しています。
金属加工の現場で特に重要なのは、TEMが「結晶格子の乱れ」を直接見られる点です。鉄鋼材料の焼入れ時に生じるマルテンサイト変態、アルミ合金の時効硬化で析出するGPゾーン(直径数nm〜十数nm)、疲労破壊の起点となる転位の集積など、これらはすべてSEMでは観察できない内部現象です。
TEM像の種類は主に3つあります。
金属加工の不具合解析では、HRTEM像から「界面のミスフィット転位密度」を計測し、めっき密着不良の原因を原子レベルで特定した事例があります。つまり内部が原因の不具合分析ならTEMが原則です。
ただし最大のハードルは試料作製です。TEMは電子線を「透過」させる必要があるため、試料の厚みを100nm以下(髪の毛の直径の約1/700)に薄くしなければなりません。この薄片化作業が難しいところですね。代表的な方法はFIB(集束イオンビーム)加工で、1点あたりの外注費用は5万〜30万円程度が相場です。
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)は、電子線を試料表面に「走査(ス