支圧接合と摩擦接合の違いと現場での使い分け方

支圧接合と摩擦接合、どちらも高力ボルト接合の種類ですが、その違いや使い分けを正しく理解していますか?現場での選択ミスが構造安全性に直結する重要な知識を徹底解説します。

支圧接合と摩擦接合の違いと現場での正しい選び方

摩擦接合で施工したボルトでも、設計荷重を超えると支圧状態に移行して耐力が約1.5倍に跳ね上がります。


📋 この記事の3つのポイント
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力の伝達メカニズムが根本的に異なる

摩擦接合は「摩擦力」、支圧接合は「ボルト軸のせん断と母材の支圧」で荷重を伝達。同じ高力ボルトでも設計思想が全く違います。

⚠️
用途を間違えると構造安全性に直結する

繰り返し荷重・疲労が想定される箇所に支圧接合を使うと、ボルト孔が変形し接合部が破断するリスクがあります。

JIS・建築基準法での規定を正確に把握する

どちらを採用するかは設計図書に明記されており、施工側が勝手に変更することは法令違反になる場合があります。


支圧接合と摩擦接合の基本的な仕組みの違い

高力ボルト接合には「摩擦接合」と「支圧接合」の2種類があります。どちらも高力ボルトを使いますが、荷重をどのように伝えるかという根本的なメカニズムが異なります。


摩擦接合は、ボルトを強く締め付けることで接合面に大きな圧縮力(軸力)を発生させ、その圧縮力から生まれる摩擦力によって荷重を伝達します。つまり、ボルト自体はせん断されず、接合面の「滑り」が生じない状態を維持することで力を伝えます。滑りが起きた瞬間に接合の機能が失われる、という考え方です。


支圧接合は少し異なります。ボルトを締め付けてある程度の摩擦力を確保しつつも、最終的にはボルト軸が母材のボルト孔の縁(支圧面)を直接押すことで荷重を伝達します。つまり、ある程度の滑りを許容したうえで、ボルトが孔の壁に当たった状態で力を受け持つ設計です。


結論は、「摩擦接合=滑り禁止」「支圧接合=滑りを許容してボルトが孔縁を支える」が基本です。


項目 摩擦接合 支圧接合
荷重伝達方法 接合面の摩擦力 ボルト軸の支圧・せん断
滑りの許容 許容しない 許容する
孔の精度要求 比較的緩い 高精度が必要
適用荷重 繰り返し・動的荷重に強い 静的荷重中心


支圧接合と摩擦接合の耐力と設計値の具体的な差

金属加工・鉄骨工事の現場では、「どちらの接合方式を使っても耐力は似たようなものだろう」と思っている方が少なくありません。これは大きな誤解です。


設計上の許容せん断力を比較すると、M22の高力ボルト(F10T)1本あたりの場合、摩擦接合の許容せん断力は約65kN(一面摩擦)であるのに対し、支圧接合では設計板厚や鋼種によりますが約80〜120kN程度まで大きくなることがあります。数字だけ見ると支圧接合のほうが高耐力です。


これは使えそうですね。ただし、この高耐力には