ロジウム加工は硬度と耐食性で金属表面を守る

金属加工現場で注目されるロジウム加工とは?硬度Hv800~1000を誇るロジウムメッキの特性から工業用途での応用、装飾品までの幅広い用途、加工プロセスにおける注意点まで、実務的な知識をわかりやすく解説します。あなたの金属製品の長寿命化と品質向上に必要な情報が、ここにあります。

ロジウム加工の基本特性

ロジウムメッキの三大メリット
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圧倒的な硬度と耐摩耗性

硬度Hv800~1000で工業用クロムメッキと同等。表面のキズや摩耗に極めて強く、長期間の使用でも性能が低下しません。

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優れた耐食性と耐酸化性

化学的に安定で、通常の酸やアルカリにも侵されず、酸化や変色もほとんど発生しません。金属表面を外部の腐食から完全に保護します。

高い光沢と反射率

反射率80~85%の高貴な銀白色で、装飾性に優れています。メッキされた製品はピカピカとした美しい輝きを持ちます。

ロジウム加工とは、ロジウムという貴金属の薄い皮膜を金属表面に形成する表面処理技術です。元素記号Rh、原子番号45の白金族元素であり、比重は12.5、融点は1966℃という高い熱耐性を持つ特性があります。工業用ロジウムメッキの厚さは一般的に0.05~2μm程度で、通常は下地メッキ(ニッケルやパラジウム)の上に薄く形成されます。

 

ロジウムの最大の魅力は、その傑出した物理的性質にあります。硬度がHv800~1000と極めて高く、これは工業用クロムメッキと同等レベルです。耐食性耐熱性、電気伝導性、耐摩耗性、反射率などあらゆる性能で優れた性能を発揮します。加えて、常温では酸化変色することはなく、通常の酸やアルカリには侵されない化学的安定性を持ちます。

 

ロジウムメッキは金属と酸素が直接触れるのを防ぎ、酸化しやすいシルバーやホワイトゴールドの変色を完全に防止します。表面の反射率が約80%と高く、磨き上げた後のメッキは高貴な銀白色で、美しい光沢を放ちます。この優れた特性により、装飾用だけでなく電子機器や光学機器などの工業用途にも広く利用されています。

 

ロジウム加工における下地メッキの重要性

 

ロジウム加工の成功は、下地メッキの選択に大きく左右されます。通常、ロジウムメッキの下には必ずニッケルメッキやパラジウムメッキなどの下地メッキを施してから、その上にロジウムを薄く0.05~0.3μ程度付けます。素材に直接ロジウムだけを厚く施すことはほぼありません。

 

ニッケル下地とロジウムの場合、両金属間の電位差が大きいため、局部電池が形成されて電気化学的腐食が起こりやすく、耐食性があまり良くなりません。高い耐食性を求める用途では、下地にパラジウムメッキを施すことで、耐食性を大きく向上させることができます。この組み合わせは自動車やハイテク機器でよく採用されています。

 

ロジウム加工の前処理と表面仕上げの技術

ロジウムメッキの品質を左右する最も重要な工程が、加工前の下準備です。キズや汚れがついた状態ではロジウムがきれいに乗らないため、磨耗した製品の場合は必ず表面を仕上げ直します。使い込まれたホワイトゴールドやシルバー製品の表面には、細かいキズ、黒ずみ、汚れが付着しています。これらを丁寧に除去しないと、メッキ液そのものが汚れてしまい、使用不可になってしまうのです。

 

実際のプロセスでは、電解研磨やシリコンポイントでの研磨を行い、表面を平滑で反射面の完全な状態にします。この前処理が完璧でないと、どんなに高価なロジウムメッキ液を使っても、美しい仕上がりは期待できません。ロジウムメッキ液は500mlで12~12.5万円という高コストのため、不良品を出さないためにも慎重な前処理が必須です。

 

ロジウム加工の工業用途での活用例

工業分野でのロジウムメッキの最大の用途は、電子機器やコネクターの接触子(コンタクト)です。摺動や磨耗が激しい可動接点、断続接点、リードスイッチなどに広く採用されています。ロジウムメッキは低接触抵抗で長期間安定した接触性能を維持でき、電気抵抗は4.9μΩ/cmと白金族元素の中でも最も低いレベルです。

 

自動車産業でも重要な役割を果たしており、排ガス浄化用の三元触媒に使用されています。ロジウムは特にNOx(窒素酸化物)を無害な窒素に還元することで、環境汚染低減に貢献します。ホンダなどの自動車メーカーは、ロジウムの使用量を削減しながら性能を維持する触媒開発に取り組んでおり、これまでプラチナ不使用の触媒やロジウム使用量50%低減の新触媒を実現しています。

 

光学機器や精密機械の部品にも採用され、その優れた耐食性と耐熱性により、600℃までは空気中でも酸化しない安定性が活用されています。

 

装飾用ロジウム加工の特性と修復方法

装飾品としてのロジウムメッキは、主にホワイトゴールドやシルバーアクセサリーに施されます。プラチナ相場が金よりも高かった時代、プラチナの代用品としてホワイトゴールドが多用されました。18金ホワイトゴールドの本来の色は、黄色っぽいまたは茶色っぽい金属色です。ロジウムメッキを施すことで、この色を白くマスキングしてプラチナのような外観を実現しています。

 

永年の使用によりロジウムメッキが剥がれると、元の黄色・茶色の地金色が見え始めます。この場合、表面全体を丁寧に磨き直してからロジウムを再度コーティングすることで、まるで新品のような輝きが蘇ります。K18WGダイヤリングの場合、クリーニング仕上げ+ロジウム加工で3,000円程度が一般的な修理価格です。

 

特に注意が必要なのは、宝石が付いている製品です。サンゴなどのデリケートな宝石は、薬剤や洗剤、メッキ液に弱く、つけてしまうとツヤが失われます。こうした場合は、石をいったん外してから加工を行う必要があり、加工後に再度石留めします。この余分な手間が加工コストを増加させる要因となります。

 

ロジウム加工の厚さ管理と用途別の選定基準

ロジウムメッキの厚さは、用途に応じて明確に区分されています。変色防止を主目的とする装飾品では0.5μm以下が一般的です。この程度の厚さでも、酸化防止と光沢向上には十分です。耐摩耗用途では0.5~2.0μm、高度の耐摩耗が必要な工業部品では2.5~25μmという厚膜になります。接触子などの電子部品では1~5μm程度が標準的です。

 

厚膜仕様のロジウムメッキは、摺動部品や頻繁に接触する部位に採用されます。硬度がHv800~1000と非常に高いため、厚膜にしてもクラックが発生しにくく、優れた耐久性を発揮します。一方、薄いメッキは加工液のコストを削減できるメリットがある反面、剥がれやすくなるため、用途に応じた最適な厚さの選択が重要です。

 

参考資料:ロジウムメッキの性質と用途に関する技術情報
ミスミ技術情報 エレクトロニクスへのその他の貴金属めっき
田中貴金属 自動車排ガス浄化触媒の構造とロジウムの役割

 

 


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