メッキ色スプレー金属加工向け種類と塗装のコツ

金属加工現場でよく使われるメッキ色スプレーには、どのような種類があり、どのように選んで塗装すれば失敗しないのか?初心者でも分かる塗装のポイントから耐久性の維持まで、実践的な情報をお伝えします。

メッキ色スプレーの塗装方法と種類

メッキ色スプレーの基礎知識
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メッキ色スプレーとは

超微細に加工された金属粒子を含む特殊塗料で、実際のメッキに限りなく近い見た目を実現します

従来メッキとの違い

スプレー方式は電気メッキより簡単で、補修箇所が目立ちにくく、防錆効果も優れています

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用途別活用シーン

自動車ホイール、産業機械部品、建築金属部材、亜鉛メッキの補修など幅広い分野で使用

メッキ色スプレーの主要種類と特徴

 

金属加工現場で使用されるメッキ色スプレーには、複数の種類が存在します。各製品は異なる組成と性能を持ち、用途に応じた選択が重要です。

 

アサヒペン メッキ調スプレーは、置物や装飾品の木部、鉄部、ガラス、硬質塩ビなど様々な素材に対応する汎用タイプです。タレにくく、きれいに仕上がるガス抜きキャップが付属し、屋内用として1~1.5㎡を1回塗りで覆えます。
染めQ メッキ感覚は、鉄・プラスチック・木など多様な素材に対応し、パラパラと軽めにスプレーすることでメッキ感を演出できます。色どまりが良く、薄く複数回塗ることで本物に近い深みが出るのが特徴です。
ローバル メッキカバースプレーは、溶融亜鉛メッキの「やけ」隠しと補修に特化した製品です。亜鉛メッキと同様に光沢が時間とともに変化するため、補修箇所が目立ちにくくなります。
サンデーペイント 亜鉛メッキ化粧スプレーは、メッキ鋼材やダクト、金網などのグレーコーティング隠し用です。2回塗りで約3㎡をカバーでき、補修個所と周囲が同等の退色を示すため美観を損ないません。
DENSAM亜鉛メッキスプレーは、純度の高い亜鉛末とエポキシ系樹脂を配合し、電気化学的防食効果を発揮します。指触10~15分、半硬化約60分の超速乾性で作業効率が高く、常用200℃、最高300℃の耐熱性を備えています。

メッキ色スプレーの下処理と塗装工程

メッキ色スプレーを用いた塗装成功の鍵は、下処理です。塗る前に対象物の表面をシンナー等で脱脂洗浄し、油分、ゴミ、サビ、カビ、ワックスを完全に除去する必要があります。石膏や未塗装の木部など吸い込みのある面には、事前に水性塗料などで下塗りして吸い込みを止めることが重要です。

 

塗装距離は20~30cm程度を目安に、素材から均一に遠ざけます。吹き付け時は缶を上下に十分に振り、容器を逆さにした状態では吹き付けできないため注意が必要です。塗り方は黒色下地がなくならない程度に数回薄く塗り分けるのが、本物のメッキ感を出すコツです。

 

厚く塗ると塗膜が垂れやすくなり、ハジキのような現象も発生します。遠目からパラパラと全開に握らず軽めにスプレーし、15分から30分程度の間隔を置いて2~3回重ね塗りするのが推奨工程です。乾燥後はマルチトップクリヤーなどのウレタンクリヤーでコートすると、耐候性と美観が大幅に向上します。

 

メッキ色スプレーの耐久性と防錆性能

メッキ色スプレーは亜鉛メッキと同等の防効果を発揮するよう設計されています。高純度の亜鉛末とエポキシ系樹脂の組み合わせにより、被膜が金属表面を強固にガードし、酸素や水分による酸化を防止します。

 

近年の塗料は高品質化が進み、適切な吹き付け方を習得すれば補修精度がかなり高く、補修個所も目立ちにくくなります。この特性により、塩害環境や腐食ガスが存在する環境でも、海水用や腐食ガス環境用に成分が調合されたメッキスプレーを選択すれば対応可能です。

 

屋内用と屋外兼用の製品が用意されており、使用環境に合わせた選択が必要です。亜鉛メッキの場合、自然に褪色していく設計がされているため、補修から時間が経ってもメッキ表面との色合いが徐々に統一され、永続的に目立たない状態が保たれます。

 

メッキ色スプレーと真正メッキ加工の比較検証

スプレー塗装と電気メッキは根本的に異なるプロセスです。クロムメッキ加工は電気を流す「ドブ漬めメッキ」と呼ばれ、銅・ニッケル・クロムを液状に溶かしたメッキ液中に対象物を浸漬し、電気の力で金属が引き寄せられ定着する方式です。一方、メッキ色スプレーはあくまで塗装であり、表面に被膜を形成する化学的プロセスです。

 

性能面では、真正のクロムメッキがメッキスプレーより優れています。特にサビ予防など耐久性では大きな差が出ます。電気メッキは金属の深部まで被膜が形成されるため、長期使用でも性能が劣化しにくいのが特徴です。

 

しかし、コスト面や施工時間、補修の手軽さではメッキ色スプレーが圧倒的に優位です。装飾品や小型部品の一時的なドレスアップ、補修箇所の隠匿用途では、スプレーが実用的です。金属加工現場では、機械部品など恒久的な防錆が必要な部位には電気メッキを、装飾性と手軽さが優先される用途ではメッキスプレーを、用途に応じて使い分けるのが業界標準となっています。

 

メッキ色スプレー選択時の実務的ポイント

メッキ色スプレーを選ぶ際、まず対象素材を確認することが必須です。鉄部専用、プラスチック対応、ガラス・陶磁器対応など製品ごとに適用範囲が異なります。

 

容量は用途に応じて選択します。300ml缶は1~1.5㎡の小~中規模補修向け、420ml缶は広範囲補修向けです。屋内用と屋外兼用では耐候性が大きく異なるため、設置環境を考慮した選択が必要です。屋外使用の場合、日光や雨に強い製品を選ぶことで長期にわたって美観を保持できます。

 

予算面でも選択肢があります。高級品は均一な仕上がりと優れた耐久性が期待でき、廉価品は緊急補修用として機能します。缶スプレーの乾燥時間も重要な実務的ポイントで、夏期20~30分、冬期40分~1時間程度が標準です。施工後のトップコート処理の有無も耐久性を左右する重要な決定因子となります。

 

参考資料として、スプレー塗装に関する標準的な知識は以下のリンクが参考になります。

 

アサヒペン メッキ調スプレー製品情報 - メッキ調スプレーの公式仕様、塗り面積、乾燥時間などの基本スペックが確認できます。
モノタロウ メッキ調スプレー一覧 - メッキ調スプレーの人気商品比較ランキングと詳細スペック、ユーザーレビューが閲覧できます。

 

 


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