クロメートメッキ 色 種類 耐食性

クロメートメッキの色選択は単なる外観にとどまりません。ユニクロ、有色、黒色、緑色のそれぞれの色は耐食性や自己修復性といった性能と密接に結びついています。あなたの部品に最適な色とは?

クロメートメッキ 色と特性の選択

クロメートメッキの4つの色と用途
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ユニクロクロメート(光沢クロメート)

青白~黄色系の色調で最も一般的。膜厚に応じて色が変わり、青白いほど装飾性、黄色いほど耐食性が優れています

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有色クロメート

黄色~虹色の特徴的な色合い。六価クロムの溶出による自己修復性を持ち、耐食性はユニクロメートより優れています

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黒色クロメート

装飾品や美観重視の部品に採用。硝酸銀混合で黒色微粒子を分散させ、やや耐食性が低下するのが特徴

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緑色クロメート

オリーブ色で最も厚膜。耐食性が最高峰であり、自動車部品など厳しい環境で活躍します

クロメートメッキ 色の決まり方と膜厚の関係

 

クロメート処理において、色は単なる装飾的要素ではなく、膜厚と直結しています。浸漬液の化学組成や処理時間が変わると、色調に大きなばらつきが生じます。被膜の厚さが0.2~0.5μm程度のユニクロメートでは、青白い薄い仕上がりから黄色へと濃くなる過程で、実は膜厚が増加しているのです。この仕組みにより、外観から耐久性をある程度推測することが可能です。

 

各メッキ企業の処理液配合が異なるため、同じ「ユニクロメート」という名称でも色調に微妙な差が生じます。これは業界標準がありながらも、職人の技術と細かな液管理が影響しているためです。特に熟練した処理業者では、浸漬時間を数秒単位で調整し、色の均一性を保つノウハウを持っています。

 

クロメートメッキ 色の耐食性と自己修復性の関係

有色クロメートと緑色クロメートが高い耐食性を持つ理由は、六価クロムの含有量と結晶構造にあります。これら二種類は、傷が入った際に水溶性の六価クロムが溶出し、周囲の金属に付着することで自動的に損傷部分を修復する自己修復作用を備えています。この機能は、ユニクロメートには存在しません。

 

対して緑色クロメートの場合、膜厚が1~2μm以上に達するため、単純な傷では膜全体が剥離しない堅牢性も兼ね備えています。自動車の足回り部品や建設用ボルトが緑色クロメートを採用するのは、この複合的な防性能が理由です。有色クロメートは耐食性とコストのバランスが優れている一方で、80℃以上の高温環境では性能が急速に低下する弱点があります。

 

クロメートメッキ 色選択と環境規制への対応

六価クロムを含む有色クロメートと緑色クロメートは、欧米ではRoHS指令やELV規制の対象となり、新規採用が難しくなっています。ヨーロッパでは既に規制が厳格化されており、日本でも同様の動きが進みつつあります。このため、業界全体で三価クロムへの転換が加速しています。

 

三価クロムは自然界に普遍的に存在する安定した物質で、環境への負荷が極めて低いのが特徴です。しかし、三価クロメートは自己修復性を持たない上、80℃以上で耐食性が著しく低下するため、用途が限定されます。三価クロメートの白色タイプでは、被膜厚を0.2~0.5μm程度にすることで淡黄色に見えるため、従来の有色クロメートに近い色調を再現できるという工夫が施されています。

 

クロメートメッキ 色と塗料密着性の関連性

クロメート処理は単なる防錆膜ではなく、その後に施される塗装やコーティングの下地としても機能します。色調の異なるクロメート皮膜は、塗料の密着性にも影響を及ぼします。粗い結晶構造を持つ有色クロメートや緑色クロメートは、塗料が皮膜に絡み込みやすく、強い密着性を発揮します。

 

一方、光沢が強いユニクロメートは見た目が美しい反面、塗料の食い付きがやや劣ります。このため、塗装を施す必要がある部品では、メッキ業者に「塗装下地用」として指定し、表面を粗くする処理を追加することがあります。この配慮により、塗膜が長期間剥離しない耐久性が得られるのです。

 

ブラザーのお役立ちコラム|クロメートメッキって何?効果や他のメッキとの比較:クロメートメッキの4種類と各特性について、実務的な説明が記載されています。
有限会社白洋金属工業所|クロメート処理って何なの?:自己修復性、環境規制への対応、色と耐食性の関係など、詳細な技術情報が含まれています。

クロメートメッキ 色の判別と品質確認の実務ポイント

発注側が受け取ったメッキ部品の色を目視で判別することで、処理が仕様通り施されたかを簡易的に確認できます。ユニクロメートであれば青白から黄色の範囲内に収まっていること、有色クロメートなら黄褐色から虹色のグラデーションが見られることが正常な状態です。緑色クロメートはオリーブ色で一番濃く見えるのが特徴です。

 

色が異常に薄い場合は処理時間不足、逆に濃すぎる場合は過度な浸漬を示唆しています。このような色の異常は、期待する耐食性が得られていないリスク信号となります。特に外観検査が厳しい自動車部品では、色の均一性まで品質基準に含まれることが多いため、メッキ業者との色に関する打ち合わせは重要です。

 

また、クロメートメッキの施工後は、できるだけ素手で触らないことが鉄則です。人間の汗に含まれる塩分が皮膜に付着し、それが腐食の発生点となるためです。特に六価クロムを含む有色クロメートや緑色クロメートの場合、皮膚への接触は健康上のリスクも伴うため、取り扱いには細心の注意が必要です。

 

クロメートメッキ 色のトレンドと今後の展開

環境規制の強化に伴い、業界では三価クロム系の新しい色表現方法の開発が進んでいます。従来の六価クロムによる有色や緑色と比べて性能は劣りますが、外観上はほぼ同等の色を再現する技術が確立されつつあります。一部の高度な処理施設では、三価クロムでありながら緑に近い色を実現する工夫が施されており、環境配慮と性能のバランスを取ろうとしています。

 

しかし、完全な代替はまだ困難な場面があります。特に過酷な環境での長期耐食が求められる自動車部品や建築金物では、性能の高さから六価クロムへのニーズが依然として存在しています。日本ではEU規制ほど厳格ではないため、用途に応じた使い分けが続くと予想されます。今後数年間は、従来の六価クロムと新興の三価クロム、さらには全く異なる化成皮膜技術の複数が市場で共存する時代が続くでしょう。

 

 


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