あなたが毎日使っている塩水循環装置、実は電気透析を使うと腐食率が3倍に跳ね上がります。
金属加工業で用いられる電気透析膜は「アニオン交換膜」と「カチオン交換膜」の2種類です。しかし塩化ナトリウム溶液では、カチオン膜側が銅イオンに反応することで膨張します。これは想定外の現象で、膜面が最大0.2mm変形し、電流密度が不均一化します。つまり装置評価時に膜素材を見直す必要があります。
近年は三菱ケミカルの「SELEMIONシリーズ」が金属イオン耐性で注目を集めています。膜寿命が約1.6倍に延びるという報告もありますね。
実際の事例として、兵庫県の精密切削工場では食塩水を電気透析で再利用し、洗浄水の塩分濃度を3%から0.3%にまで下げた結果、工具寿命が平均で12%延びました。これは想定外の効果です。つまり透析方式の採用次第で加工効率が向上します。
ただし透析槽の設計が不適切だと塩析が発生し、逆にポンプ詰まりの原因になります。透析槽内の流速は少なくとも1.5m/sが基本です。
この速度なら違反になりません。
「塩水なら金属腐食の速度は一定」と思われがちですが、実際には透析後の水ではFe²⁺が再酸化し、腐食速度が通常比で1.8倍になります。電気透析の過程で微弱電流が金属面に残存しているためです。痛いですね。
この誤解から装置を放置すると年単位での損耗が進み、年間20万円以上の修繕費が発生する例もあります。腐食抑制には、透析後に水質中の電位差を測定する装置(例えば堀場製作所のB-771型)を導入するとよいでしょう。
つまり後処理の電位測定が必須です。
リサイクル型電気透析では、使用済み塩水を分離して再利用する仕組みがあります。ここで注目すべきは「副産物」。食塩から分離されたNaOHが中性洗浄剤として再利用できるのです。これは加工油除去に使える有用な副生成物です。
実験ベースですが、1時間当たり0.12molのNaOH生成が確認されています。いいことですね。
この方式を導入すれば、廃液処理費用を年間で約30万円削減できると試算されています。つまり再利用が条件です。
導入コストは装置一式で約250万円。初期費用が高いと感じる方も多いでしょう。しかし減塩効果によるメンテコスト削減と廃液費用削減を合わせると、3年で投資回収できます。
重要なのは運用管理です。週1回の塩濃度チェックだけ覚えておけばOKです。
装置選定時には透析電流密度、膜強度、電力コントロール方式の3点を確認しておきましょう。この3項目が基本です。