「#100番で仕上げればどんな金属でも均一になる」と思っているあなた、実はその常識で年間30万円以上損している可能性があります。
番手は「粒の細かさ」を表す指標であり、#24〜#800の範囲があります。数字が大きいほど粒が細かく、仕上がりは滑らかになります。ところが、金属加工現場では「細かいほど良い」と勘違いされることが少なくありません。実際にステンレスやアルミの場合、#220以上になると酸化膜除去力が低下し、塗装や溶射の密着力が20%ほど悪化すると報告されています。結論は番手選びが品質を決定するということです。
番手選定を誤るとブラスト材の消耗も早くなり、年間60kg程度のメディアロスが生じることもあります。つまり効率とコストの両面で損失が出るわけです。#100番が万能と思われがちですが、素材や目的に応じて見直すことが基本です。
参考:粒度と仕上がり比較表が詳しい「日本研磨材工業会」の資料。
番手と粒度の基準を確認するページ番手だけでなく、エア圧も仕上がりに影響します。多くの現場では0.5MPa前後で吹き付けますが、#120番以上では圧力を0.4MPa未満にしないとメディアが破砕し、再利用できなくなります。つまり、粒度が細かいほどエア圧の調整が必要というわけです。圧力が高すぎると、表面が過研磨されて深い凹凸が残ることもあります。これは修正に1平方メートルあたり約1200円の追加研磨費がかかることにつながります。
圧力設定は作業後の耐腐食性にも関係します。#60番以下で高圧をかけすぎると、微細な亀裂を誘発し後工程の塗装剥離率が2倍以上になるケースも確認されています。つまり圧力調整が原則です。
参考:最適圧の算出方法を掲載している「サンドブラスト技術研究会」の実験レポート。
ブラスト圧と仕上がりの関係を解説実は#80番以下の粗目メディアは、再利用回数が平均20回程度。対して#220番になると平均6回しか使えません。この差を知らずに細かい番手を多用している工場では年間30万円以上のブラスト材コストを浪費していることになります。細かいほど再生効率が悪く、フィルター交換頻度も増えるため、設備保守コストまで上昇します。
つまり粗めの番手を使えば費用対効果が高まります。再利用性という視点で選ぶ人はまだ少数派ですが、今後エコ対応やSDGs基準で評価されるポイントになります。
参考:研磨材再生効率試験結果がある三井研磨材研究所のレポート。
再利用性能比較資料粗さ測定でRa値が狙い通り出ない要因は番手と角度設定ミスです。たとえば#60番で45度角度から吹けばRa6μm以上の荒目になる一方、#120番で垂直に吹くとRa2μm程度に落ちます。つまり番手と角度の掛け合わせが結果を左右します。あなたの作業条件は固定していませんか?
この調整一つで表面密着力が3倍になることも。Ra値管理は手間ですが、仕上がり精度の可視化に最も効果があります。トレーサビリティを重視する取引先では、この数値管理が信頼指標になることもあるんですね。つまり数値で見える化が条件です。
参考:Ra値と番手関係の測定事例が掲載された「日本工業規格 JIS B0601」。
粗さ測定規格概要ページ塗装前処理や溶射工程では、「番手が細かいほど塗料が乗る」と信じられていますが、実際は逆。表面がツルすぎると塗料の食いつきが悪く、剥離クレームが増える例があります。アルミ素地の場合、#100番で塗料密着力が最適値に達し、#240番では15%ほど低下します。つまり番手選定で品質が変わるんです。
後工程で問題が起きると再塗装費用が1件あたり2万円以上になることも。工程を減らすより番手を見直す方がコスト削減効果が大きいですね。これは使えそうです。
参考:塗装密着比較表を公開している「日本塗装技術センター」の実験データ。
塗装前処理と番手の関係を詳解