溶接ロボットオペレーター資格は、主に2つの認証機関によって管理されています。一般社団法人日本溶接協会が認定する「建築鉄骨ロボット溶接オペレータ資格」と、AW検定協会が実施する「AW検定ロボット溶接オペレータ資格」です。
参考)建築鉄骨ロボット溶接オペレータ - JWES:日溶協ポータル…
建築鉄骨ロボット溶接オペレータ資格は、基本級と専門級に分かれており、継手の部位、溶接姿勢、エンドタブの種類の組合せによって資格が細分化されています。基本級では筆記試験と口述試験、専門級では口述試験と実技試験(免除規定あり)が実施され、合格者には「適格性証明書」が交付されます。
AW検定ロボット溶接オペレータ資格は、より実技重視の検定制度となっており、建築鉄骨溶接の高度な技術を証明する技量検定として位置づけられています。受験には既に基本的な溶接資格を保有していることが前提条件となっています。
参考)ロボット溶接オペレータ - 一般社団法人 AW検定協会
AW検定ロボット溶接オペレータ資格の受験には、厳格な条件が設けられています。受験者は(一社)日本溶接協会の建築鉄骨ロボット溶接オペレーター資格の有資格者、またはAW検定ロボット溶接オペレータ資格の有資格者である必要があります。
試験種目は3つの大きなカテゴリーに分かれています。平板継手溶接(RT種)では下向・横向・立向の3つの溶接姿勢で実施され、角形鋼管継手溶接(RC種)と円形鋼管継手溶接(RP種)は下向のみで行われます。
参考)https://www.nikkenren.com/kenchiku/sekou/steel_frame_Qamp;A/A-3-19.pdf
試験項目は種目によって異なり、RT種では外観検査、放射線透過試験、引張試験、マクロ試験、裏曲げ試験、衝撃試験が実施されます。RC種とRP種では放射線透過試験の代わりに超音波探傷検査が行われ、より実践的な技能評価が重視されています。
参考)AW検定とは?溶接の腕を証明する検定について - 株式会社影…
AW検定の年間スケジュールは明確に定められており、4月15日から5月15日までが申し込み期間となっています。6月中旬に立会試験日の通知があり、その後受験申請費の支払いを行います。
本試験は7月1日から9月30日の指定日に実施され、追試験は9月10日から12月25日の期間で行われます。合格通知と資格証の発送は3月末日で、4月1日から有効となる仕組みです。
受験事業所は、ロボット溶接施工要領書審査規則に基づき作成した「ロボット溶接施工要領書」を協会に提出し、審査を終了した後に受験が可能になります。試験に使用する溶接ロボットは、試験種目に適合した日本ロボット工業会の建築鉄骨溶接ロボット型式認証を受けた機種でなければなりません。
溶接ロボットオペレーター資格保有者の年収は、経験とスキルレベルによって大きく変動します。未経験者でも月給26万5,000円から30万円程度でスタートできる求人が多数存在し、経験者であれば月給30万円から40万円の高収入も実現可能です。
参考)https://www.hellowork.careers/%E5%AF%BF%E5%95%86%E4%BA%8B%E3%80%80%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E6%BA%B6%E6%8E%A5%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%EF%BC%88%E7%B5%8C%E9%A8%93%E3%81%AE%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E6%B1%82%E4%BA%BA%E6%83%85%E5%A0%B1%EF%BC%88%E5%8D%83%E8%91%89%E7%9C%8C%E5%8D%83%E8%91%89%E5%B8%82%E8%8B%A5%E8%91%89%E5%8C%BA%EF%BC%89-%2012010-27704351/
特に大手企業や専門性の高いプロジェクトでは、月給40万円を超える求人も見受けられます。溶接ロボットオペレーターの需要は慢性的に高く、技能を受け継ぐ若い人材が強く求められている状況です。
参考)溶接施工技術科(企業実習付)のご案内
さらに、近年は特記仕様書の鉄骨工事において「AW検定協会のロボット溶接オペレータ資格保有者」によるロボット溶接を明記するケースが増加しており、資格の価値がより一層高まっています。この傾向により、資格保有者の市場価値と収入面での優位性が確立されています。
溶接ロボットオペレーターの将来性は、AI技術とロボット技術の急速な進歩により、従来とは異なる形で拡大しています。単純な作業の自動化が進む一方で、ロボットのプログラミング、メンテナンス、AIシステムの管理など、より高度な技術が求められるようになっています。
参考)製造業を支える溶接の仕事内容を紹介!溶接工のきつさ・将来性 …
革新的なキャリアパスとして、ロボット溶接技術者やCNCプログラマーといった職種が注目を集めています。これらの職種では、自動化された溶接システムを操作し、プログラムを設定する専門性が重要視されます。
参考)溶接資格を取るべき理由とその方法
特に注目すべきは、溶接ロボットのプログラミング技術の習得です。ロボットの動きや溶接作業の指示書を作成し、パスの設定や条件変更を行う能力は、将来的なキャリア形成において極めて重要な要素となっています。また、Industry 4.0の進展とともに、デジタル化された溶接環境での専門性がさらに重要視される傾向にあります。
参考)溶接ロボットオペレータートレーニングプログラムの完全ガイド …
これらの技術革新により、溶接ロボットオペレーターは単なる操作者から、高度な技術システムを統括する専門職へと進化しており、それに伴って年収800万円から1,000万円以上を目指すことも可能になっています。
参考)溶接工の年収はいくら?1000万円以上稼ぐために必要な資格も…