白棒と青棒の使い方と金属加工研磨技術

白棒と青棒を使った金属加工の研磨技術について、それぞれの特性と使い方、効果的な研磨順序を詳しく解説。バフ研磨で理想的な仕上げを実現するコツとは?

白棒と青棒の使い方

白棒と青棒の基本特性
🔧
白棒の特性

酸化アルミニウムが主成分で中仕上げから仕上げまで幅広く使用

青棒の特性

酸化クロムが主成分で鏡面仕上げに最適な研磨剤

⚙️
使用順序

粗磨き→白棒(中仕上げ)→青棒(鏡面仕上げ)の工程で進行

白棒研磨剤の特性と成分

白棒は酸化アルミニウム(アルミナ)を主成分とする研磨剤で、金属加工における中仕上げから仕上げ工程まで幅広く活用されています。酸化アルミニウムはダイヤモンドに次ぐ硬度を持つ砥粒で、研磨力は青棒よりも強く、粒度の種類も豊富に用意されているのが特徴です。白棒の粒度は一般的に#2000~#4000程度で、ステンレス、アルミニウム、クロームメッキなどの材質に対して効果的な中仕上げが可能です。
参考)https://www.toishi.info/kenma/buff2.html

 

白棒の使用時には、バフに適度な圧力で塗布し、摩擦熱により研磨剤を溶かしながら塗りこむように作業を進めます。この段階では削り取る作用よりも磨く作用が主体となり、表面の微細な凸凹を均一化する効果があります。
参考)https://www.toishi.info/kenma/shirobou.html

 

青棒研磨剤の仕上げ性能

青棒は酸化クロム(酸化クロム(III))を主成分とし、鏡面仕上げに特化した研磨剤です。研磨力(削る力)は三種類の中で最も低いものの、ステンレスなどの鏡面仕上げにおいて美しい表面を作り出すことができます。青棒の粒度は約#10000と非常に細かく、真鍮、鋳・鍛造品、貴金属などの最終仕上げに適用されています。
参考)青棒と白棒の違い|チドリアシ

 

酸化クロム(III)は緑色の顔料としても使用され、化粧品にも含まれる安全性の高い成分です。一方で、酸化クロム(VI)は強い毒性を持つため、青棒選択時には成分の確認が重要です。

白棒から青棒への効果的な研磨工程

金属加工における研磨工程は、一般的に「粗磨き(赤棒)→中仕上げ(白棒)→鏡面仕上げ(青棒)」の順序で行われます。この工程順序を守ることで、各段階での研磨効果を最大化できます。白棒での中仕上げ工程では、粗磨きで残った微細な傷や凹凸を除去し、青棒での最終仕上げに向けた下地を整えます。
参考)メッキライブラリ

 

各工程間でバフの清掃または交換を行うことで、前工程の粗い研磨剤が混入することを防げます。特に白棒から青棒への移行時は、清潔なバフを使用することで鏡面仕上げの品質を確保できます。

白棒・青棒使用時の温度管理と安全対策

バフ研磨における重要な技術要素として、適切な温度管理があります。研磨面の温度は40℃を超えないよう注意し、摩擦熱による材質の変質や変形を防ぐ必要があります。特に薄肉の金属板や熱伝導率の低い素材では、温度上昇により部品が変形するリスクがあります。
参考)バフ研磨とは?知っておきたい基礎知識と最新動向 - トーバン…

 

バフの回転数は単純なRPMではなく、「周速」で管理することが推奨されます。周速は「π×バフ直径×回転数÷1000」で計算され、一般的には400~500m/minが最適範囲とされています。小型部品の場合は推奨範囲内でも低めの設定から開始し、材質や形状に応じて調整します。
参考)【焼付き・光らない悩みを解決】小型部品のバフ研磨:最適な回転…

 

冷却剤の使用も効果的で、摩擦熱を抑制して研磨面の高温化を防げます。作業中は音、振動、発熱状況を五感で確認し、異常を感じた場合は直ちに作業を中断することが重要です。
参考)https://seizogyo-channel.com/news/buff_grinding/

 

白棒・青棒の材質別適用指針

材質ごとに白棒と青棒の適用方法を調整することで、最適な仕上げ効果を得られます。ステンレス材では白棒による中仕上げで表面の均一化を図り、青棒で鏡面光沢を実現します。アルミニウム合金は傷つきやすい特性があるため、軽いタッチでの作業が必要です。
参考)固形研磨剤の種類と選び方 【通販モノタロウ】

 

真鍮や銅系材料は焼けやすい性質があるため、低い周速での作業と頻繁な冷却が効果的です。貴金属類は変形しやすいため、極めて軽い圧力での研磨が求められます。各材質の特性を理解し、適切な条件設定を行うことで、高品質な仕上げが可能となります。
研磨工程では、材質に応じた専用コンパウンドの併用も効果的で、白棒・青棒の性能をさらに向上させることができます。作業記録の保存により、材質別の最適条件を蓄積し、作業の標準化を図ることも重要な技術管理要素です。