サブロクサイズは、3尺×6尺を意味する金属加工業界の標準規格で、ミリメートル換算では914mm×1829mmの板材を指す。この寸法は日本の尺貫法に基づいており、1尺が約303mmであることから3尺で約909mm、6尺で約1818mmとなるが、実際の流通品では914mm×1829mmに規格化されている。
鉄系材料では最も使用頻度が高いサイズで、特に鉄板(SS400など)では板厚1.2mmから50mmまで幅広い厚みでラインナップされている。ただし、ステンレス鋼板やアルミニウム板では、この規格サイズでの流通は限定的で、他の材質では異なる寸法体系が採用されることが多い。
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サブロクサイズが金属加工業界で主流となったのは、日本の建築文化と密接に関わっている。日本の木造住宅は伝統的に尺貫法を基準とした設計が行われており、3尺×6尺というサイズは畳一枚分の大きさに相当し、建築現場での取り扱いやすさと効率性を両立している。
この規格化により、製造コストの削減と流通効率の向上が実現された。大量生産による価格競争力と、在庫管理の簡素化により、金属加工業界全体でのコストダウンが可能となっている。また、多くの加工機械がこのサイズに対応した設計となっているため、設備投資の効率化にも寄与している。
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サブロクサイズの板材を加工する際には、材料の特性を理解した適切な工程計画が重要である。特に曲げ加工においては、スプリングバックや板材の伸縮による寸法誤差が発生しやすく、事前の展開寸法計算が必要となる。
穴あけ加工では、曲げ部の近くに配置された穴が変形するリスクがあるため、加工順序の最適化が求められる。レーザー切断やプラズマ切断では、板厚に応じた適切な切削条件の設定により、二次加工の工数削減が可能で、特に極小穴加工においてはφ4程度の微細穴でも一貫加工により効率化が図れる。
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金属加工では、サブロク(3×6)以外にもシハチ(4×8:1219mm×2438mm)、ゴトウ(5×10:1524mm×3048mm)といった規格サイズが存在し、用途に応じた選択が重要である。シハチサイズは流通量が最も多く、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅など多岐にわたる材質で使用されているため、材料調達の柔軟性が高い。
ゴトウサイズは大型構造物や船舶部品など、大面積を必要とする用途に適しているが、加工に大型機械が必要となるため、コストと設備要件を考慮した選択が必要である。一方、サブロクサイズは鉄板に特化した規格で、板厚のバリエーションが豊富なため、薄板から中厚板まで幅広い用途に対応できる利点がある。
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サブロクサイズの板材を効率的に活用するためには、適切な工具選定と加工計画の最適化が不可欠である。特に量産加工においては、同一形状の部品を複数個取りできるネスティング設計により、材料歩留まりの向上と加工時間の短縮が実現できる。
工程の標準化により、段取り時間の削減と品質の安定化が可能となる。例えば、切削工具の見直しにより切削工数を4割削減した事例や、ワーク固定法の改善により段取り工数を3割削減した実績がある。また、レーザー切断から穴あけ加工まで一貫対応できる加工業者の選定により、横持運賃の削減と調達工数の削減が実現できる。
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