メッキ落とし ガンプラの下地処理と塗装コツ

ガンプラのメッキパーツを塗装するには、メッキを落とす工程が不可欠ですが、正しい方法と工具選びで、驚くほど簡単に剥がせることをご存じでしょうか。このガイドでは、化学薬品の選択から安全対策まで、金属加工の視点を交えた実践的なメッキ落としの手法を解説します。あなたのガンプラプロジェクトを次のレベルへ進めるために、必要な知識は何でしょうか。

メッキ落とし ガンプラの基礎知識と選択肢

メッキ落としの3つの主要方法
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ハセガワ模型用メッキはがし剤

最も手軽で効率的。クリアーコート層を含むすべての層を1~2日の漬け込みで一括処理。作業時間が短く、複数工程の手間が不要です。

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キッチンハイター(塩素系漂白剤)

経済的で即効性がある選択肢。次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする漂白剤で、メッキ層を15~30分で溶解。ただしクリアーコート層の事前除去が必要な場合があります。

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多段階処理法(従来方法)

ラッカー系薄め液とハイターを組み合わせた手法。表面塗膜除去→メッキ溶解→クリアー層処理の各段階で乾燥が必要になり、総作業時間は長めです。

メッキ落とし ガンプラのメッキ構造を理解する

 

ガンプラなどのメッキパーツは、単純な1層ではなく複雑な多層構造で形成されています。通常、プラスチック基材の上に3~4層の異なる素材が積層されており、各層の性質を理解することがメッキ落とし作業の成功を左右します。

 

最も一般的な構造は、プラスチック基材→クリアー層(光沢出し)→アルミニウム蒸着メッキ層→色付きクリアーコート層という順序です。金色や銀色に見えるメッキパーツの場合、実際にはシルバーメッキの上から色付きのラッカー系クリアー塗料が塗装されており、この色層がメッキの見た目を決定しています。

 

特に注意が必要なのは、輸入メーカーのスケールモデル(カーモデルなど)では、アルミメッキの上に無色透明のクリアーコートが追加される場合があることです。この保護層の存在は見た目では判断しづらく、目視確認やテスト処理が必須となります。

 

メッキ落とし ガンプラ前の下地判定と試験処理

実際のメッキ落とし作業に入る前に、対象パーツの構造を正確に把握することが重要です。すべてのメッキパーツが同じ層構成ではなく、製造時期やメーカーによって大きく異なる場合があるためです。

 

ラッカー系薄め液(Mrカラー薄め液推奨)を含ませた綿棒でパーツ表面を軽く擦り、色が落ちるかどうかで色層の有無を判定できます。色層がある場合は金色や赤色などが薄め液に反応して色が移ります。完全なシルバーメッキであればこの段階では何も起こりません。

 

さらに判定を進めるため、ランナーから小片をカットして試験用サンプルとし、実際のメッキ落とし方法を試してみることが推奨されます。ハイターを使用する場合、希釈倍率や浸け込み時間を試験段階で最適化できるため、本体パーツへの失敗リスクを大幅に減らせます。

 

メッキ落とし ガンプラにおけるハイター処理の化学原理

キッチンハイターがメッキを落とす仕組みは、化学的な酸化還元反応に基づいています。ハイターの主成分である次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性であり、この高pH環境がアルミニウムメッキを強制的にイオン化させ、水に溶解させるという原理です。

 

金属加工業界の観点からは、このプロセスはアルミニウムの自然酸化層を破壊し、金属本体を腐食させる化学反応と同等です。ハイター原液の濃度は12~13%程度の塩素濃度を含む強力な薬品であり、2~3倍に希釈しても十分なメッキ除去力を保ちます。

 

反応速度は環境温度に依存し、室温20℃付近では15~30分程度でメッキが脱離し始めます。温度が高いほど反応は加速されますが、同時にハイターの蒸発も進むため、屋内での処理では28℃以上の高温環境は避けるべきです。

 

メッキ落とし ガンプラ作業における安全対策と環境整備

塩素系漂白剤を使用したメッキ落とし作業は、化学薬品取扱いの安全知識が必須となります。ハイターに含まれる塩素ガスは目、喉、気管に対して強い刺激を与え、特に密閉空間での作業は危険です。作業環境の十分な通風確保が最優先事項であり、可能であれば屋外での実施が推奨されます。

 

保護具の着用は必須です。ゴム手袋は必ず厚手のものを選択し、薄手の軍手では化学薬品の浸透を防げません。保護メガネも重要で、液体の飛散時に眼球へのダメージを防ぎます。服装もハイターの脱色性に注意が必要で、色物の衣服は着用を避け、汚れても問題ない作業着を準備しましょう。

 

万が一ハイターが皮膚に接触した場合は、直ちに流水で15分以上洗い流し、赤みや違和感が続く場合は医療機関を受診してください。吸入した場合は、清浄な空気のある場所に移動して深呼吸をし、症状が改善しなければ直ちに医師の指導を受けます。

 

作業スペースの確保も重要で、ハイターを容器に注いだまま放置しない、使用後は容器をしっかり密閉する、床に液体がこぼれた場合は水で十分に希釈して処理するなどの基本原則を遵守します。

 

メッキ落とし ガンプラ後の洗浄と表面処理のコツ

メッキを落とした直後のパーツは、残留する化学薬品を完全に除去する洗浄処理が不可欠です。水洗いだけでは不十分で、中性洗剤を使用して表面に残るハイター成分や金属化合物を完全に落とす必要があります。

 

洗浄後は十分な乾燥時間を確保してください。パーツ表面に水分が残っていると、その後の塗装作業でのペイントのはじきやムラが発生します。室温で自然乾燥させる場合は2~3時間、エアコンの効いた乾燥環境なら1~2時間が目安です。急速乾燥を目指してドライヤーなどの熱源を使用するのは避け、静かな乾燥を心がけます。

 

メッキ除去後のパーツ表面は、塗装前のサフェーサー処理が効果的です。パーティングラインやゲート跡がメッキで隠れていた場合、これらの欠陥が露出します。細かいやすり掛けやサーフェーサー塗装でこれら欠陥を整えることで、その後の塗装の仕上がりが大幅に向上します。

 

黒色系の光沢下地を採用する場合、メッキ感を表現しやすくなる利点があります。黒い下地はメタリック塗料の光反射を強調し、元のメッキパーツに見劣りしない豪華さを表現できます。

 

参考:プラモデルのメッキパーツ処理の詳細な手順と工具選定
https://yzphouse.com/mekki-parts/
参考:塗装派モデラー向けのメッキ除去実践ガイド
https://promodeler.net/2021/03/30/mextukiotosi/
参考:メッキ加工現場における化学薬品取扱いの安全衛生基準
https://www.fm-007.com/case/plating-safe1/

 

 


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