アルミニウムは金属、軽量で耐食性に優れた特性を持つ

アルミニウムはなぜ鉄に次ぐ重要な産業用金属として扱われるのか。その軽さと耐食性、加工性をあわせ持つ特性について、金属加工の現場では何が注目されているのだろうか。

アルミニウムは金属、軽量で耐食性に優れた素材

アルミニウムの基礎知識
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アルミニウムの基本特性

アルミニウムは元素記号Al、原子番号13の金属。地殻中では酸素、ケイ素に次いで3番目に多い元素で、全金属元素の中で最も豊富に存在しています。銀白色の光沢を持つ軽金属で、融点は約660℃、沸点は約2470℃。

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ボーキサイトからの製造プロセス

アルミニウムはボーキサイトという鉱石から精錬されます。工業的には、ボーキサイトからバイヤー法によってアルミナ(酸化アルミニウム)を抽出し、その後ホール・エルー法による電気分解で高純度の金属アルミニウムを製造します。

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純アルミと合金の区分

純度が99%以上のものを「純アルミニウム」と呼び、1000系アルミニウムとも分類されます。一方、銅やマグネシウムなどの元素を加えて強度を高めたものは「アルミニウム合金」として区別され、2000系・3000系など複数の系統が存在します。

アルミニウムは金属、軽量性の優位性

 

アルミニウムの最大の特徴は、その優れた軽量性にあります。比重は2.7と、鉄の約3分の1、銅の約3分の1の重さです。この軽さを活かして、航空機の機体構造や自動車の部品、人工衛星などの宇宙産業、建築材料、モバイル家電など、幅広い産業分野で採用されています。

 

金属加工の現場では、この軽量性がもたらす設計の自由度を重視しています。鉄では実現困難な薄肉化や複雑形状の実現が可能になり、製品の軽量化による燃費改善や省エネルギー効果への期待が大きいのです。特に輸送機器産業では、アルミニウムの軽さが燃料消費量の削減に直結するため、継続的な採用拡大が続いています。

 

低温環境下での挙動も注目されます。液体窒素(-196℃)や液化天然ガス(-183℃)のような極低温下でも、アルミニウムは強度が低下せず、むしろ強度が増加する性質を持っています。このため、LNGタンカーやLNG低温貯蔵タンクの材料として、金属材料の中でも特に重要な地位を占めています。

 

アルミニウムは金属、高い耐食性と酸化膜の形成

アルミニウムが産業用金属として広く使用される理由の一つに、優れた耐食性があります。これは、常温の大気中でもアルミニウムが酸化し、表面に厚さ約0.2マイクロメートルという非常に薄い酸化膜を形成するためです。この酸化膜は、それ以上の酸化の進行を防ぐ保護層として機能します。

 

不純物の少ない高純度アルミニウムほど、この耐食性に優れている傾向があります。海洋開発や船舶、屋外の建築構造体など、塩分や湿度の高い環境での使用例が多いのはこのためです。浜風にさらされる場所で30年間の使用に耐えたという実績報告も、アルミニウムの耐久性を示しています。

 

ただし、条件次第では腐食が発生することも認識が重要です。塩気が多い環境で他の金属と接触する場合、電位差により局所腐食が生じる可能性があります。金属加工の現場では、異種金属との接触を避けるか、アルマイト処理などの表面処理を施して対応しています。

 

アルミニウムは金属、多様な加工方法への対応力

アルミニウムの結晶構造は面心立方構造をしており、原子密度の高い面が多くあります。この特性により、アルミニウムは各種の加工方法に対応する優れた加工性を持っています。

 

塑性加工の分野では、プレス加工や曲げ加工、絞り加工、押出成形など多くの成形方法が適用されます。純アルミニウムの軟らかさと延性を活かして、薄肉から厚い部材まで幅広い寸法のパイプやシート、形材を製造できます。切削加工も容易で、ドリルやフライス、旋盤などで高精度な加工が実現でき、複雑な形状の部品製造も可能です。

 

鋳造による製造も一般的で、融点が約660℃と低いため、湯流れが良く、精密鋳造に適しています。ただし、溶接は難しいという特性があります。アルミニウム表面の酸化膜の融点は約2000℃と非常に高く、溶接前には酸化皮膜を取り除く必要があります。また、熱伝導率が高く融点が低いため、溶接時の熱が母材に素早く伝わり、母材に穴が開くリスクがあります。金属加工企業では、これらの課題に対応するため、TIG溶接やMIG溶接などガス溶接を主流として採用しています。

 

アルミニウムは金属、熱・電気伝導性の産業活用

アルミニウムは熱伝導率が高く、鉄の約3倍という特性を持っています。この熱伝導性を活かして、自動車のラジエータ、各種熱交換器、電子機器の放熱器など、温度管理が重要な製品に広く採用されています。コンピュータやLED機器などの急速な普及に伴い、放熱板やヒートシンク用途でのアルミニウムの需要は増加傾向にあります。

 

電気伝導性も優れており、同じ重さの銅と比較して2倍の電流を流すことができます。銅よりも価格が安いため、銅の代替材料として採用される機会も増えています。特に送電線の分野では、軽さと電気伝導性の両立により、従来の銅線からアルミニウム線への置き換えが進行しており、これにより鉄塔の間隔を広げることができてコスト削減が実現しています。

 

電子機器のケースやハウジング材料としても、アルミニウムの地位は重要です。通常の磁気環境下では磁性を示さない非磁性体であり、パラボラアンテナ、医療機器、船の磁気コンパス、超伝導関連製品など、磁場の影響を避ける必要がある用途で採用されています。

 

アルミニウムは金属、強度と合金化による産業展開

純粋なアルミニウムは軟らかく強度が低いため、実際の産業用途では他の金属と合金化して使用するのが標準です。銅を添加したジュラルミン(2000系)、マグネシウムと亜鉛を添加した7000系など、添加元素の種類と比率により、様々な強度特性の合金が開発されています。

 

特に注目されるのは、マグネシウムと亜鉛を添加して熱処理した7000番系合金で、代表的なA7075(超々ジュラルミン)は航空機の部品に採用されるほどの高強度を誇ります。戦前、日本が世界に先駆けて開発し、零戦の主構造部材として使用された歴史があり、その優れた強度と軽さが当時の航空機性能に大きく貢献しました。

 

現代でも航空機用材料の代表として広く用いられており、耐疲労性と耐食性のバランスが継続的に改善されています。一方、最も流通量が多いのはA5052(3000系マンガン合金系)で、耐食性・加工性・溶接性に優れ、フレーム材や板金部品の標準材料として活用されています。アルミニウム合金の種類選定は、目的とする製品の用途、環境条件、製造方法などを総合的に考慮して行われます。

 

参考リンク:アルミニウムの耐食性について、表面酸化膜の特性と塩分環境への対応策が詳しく解説されています。

 

https://sus-shinshin.co.jp/column/about-aluminum/
参考リンク:ボーキサイトからの精錬プロセスと、バイヤー法、ホール・エルー法による製造方法の詳細解説です。

 

https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/howto/materials/20344/

 

 


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