ラジオペンチは、普通のペンチよりも先端が細長くなっており、電子機器の組み立てや修理に特化した工具です 。昭和のラジオ全盛期に登場したペンチで、電気工作用に作られた工具として、その代表する電気機器がラジオであったことから「ラジオペンチ」と呼ばれるようになりました 。
参考)ラジオペンチ - Wikipedia
先端部分は「くわえ部」と呼ばれ、物をつかんだときに滑らないように凹凸のスジが付けられています 。この特殊な構造により、細い銅線や針金、小さな部品を確実に掴むことができ、狭い場所での作業に優れた性能を発揮します 。
参考)LESSON12 ペンチ・ラジオペンチ類|KTC 工具の基礎…
JIS規格(B4631)では、主に電子機器などの組み立てに用いるラジオペンチについて詳細に規定されており、全長150mmが標準仕様となっています 。刃部の硬度は54~62HRCと定められ、鉄線φ1.5mm、銅線φ2.6mmの切断能力を有しています 。
参考)JISB4631:1998 ラジオペンチ
標準的なペンチは、銅線や針金を切る・曲げる・挟む・引っ張る・ねじるなど多くの作業ができる万能工具です 。ラジオペンチと比べて先端部が太く幅広い形状をしており、より強い力を発揮できる構造になっています 。
参考)ニッパ・ラジオペンチ編
ペンチの刃部はロックウェルCスケールで56~64の硬度を持ち、強力な切断力を備えています 。材料には炭素工具鋼SK7や機械構造用炭素鋼S55C以上の品質のものが使用され、焼入れ・焼戻しの熱処理が施されています 。
参考)JISB4623:1998 ペンチ
一般的なペンチは、太い鉄線や配線コードの処理に適しており、最大切断能力は製品によって異なりますが、鉄線で3.0mm、銅線で3.5mmまで対応できるものもあります 。
参考)301 Moved Permanently
ラジオペンチと丸ペンチは外観が似ていますが、重要な違いがあります 。最も大きな違いは、ラジオペンチには切断機能(刃)が付いているのに対し、丸ペンチには刃が付いていないことです 。
参考)http://www.okanokiki.co.jp/gijutsu/kougu/16.htm
丸ペンチはJIS B4624に規定されており、先端が円錐状になっているのが特徴です 。主に銅線・鉄線の曲げ加工専用として設計されており、切断作業は行えません 。
一方、ラジオペンチは切る・曲げる・引っ張る・挟むなど多機能を持ち、電子機器の配線や小さな部品をつかむために先端が細くなっています 。このため、より幅広い作業に対応できる工具として位置づけられています。
ラジオペンチを効果的に使用するためには、正しい持ち方が重要です 。一方の柄に親指をかけ、人差し指と中指を柄の内側にかけて、薬指と小指は柄の間に入れる握り方が基本となります 。
参考)http://www.okanokiki.co.jp/gijutsu/kougu/13.htm
作業時の注意点として、ラジオペンチは小型で先端が細いため、強い力が必要な作業には適していません 。特に先端部分に物を挟んで作業する際は、無理に力を入れすぎないよう注意が必要です 。
JIS規格品のラジオペンチでは、くわえ部の先端から2mm以上が密着する構造になっており、これにより細かい部品を確実に掴むことができます 。刃部の隙間は切れ味を優先するために設計されており、先端部での保持力とのバランスを取るため、刃付け後に矯正加工が施されています 。
参考)ラジオペンチについて その1 href="https://tsunochoku.com/blogs/column/radio-pliers-01" target="_blank">https://tsunochoku.com/blogs/column/radio-pliers-01amp;ndash; ツノチョク
金属加工従事者にとって、ラジオペンチは精密作業において重要な役割を果たします 。特に電子機器の配線処理や、細い線材の加工において、その細長い先端形状が威力を発揮します 。
参考)ラジオペンチの使い方 【通販モノタロウ】
配線作業では、ラジオペンチの先端を使って銅線や針金を正確に曲げることができ、はんだ付け作業時の部品保持にも適しています 。また、狭い場所でのネジの保持や移動、小さな部品の取り付け・取り外し作業にも重宝します 。
現在では従来の電工用途に加えて、アクセサリーの修理や精密機械の組み立てなど、様々な分野で活用されています 。ベントタイプ(先曲がり)のラジオペンチを使用すれば、より奥まった場所での作業も効率的に行えます 。
参考)ラジオペンチにはどんな種類があるの?使い方や一般的なペンチと…
作業効率を高めるためには、対象となる線材の太さや作業環境に応じて、適切なサイズのラジオペンチを選択することが重要です 。125mm、150mm、200mmなど複数のサイズを使い分けることで、幅広い金属加工作業に対応できます 。
参考)ラジオペンチ