金属加工従事者にとって、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は材料選定の重要な指標です 。Tgは、ポリマーがゴム状態からガラス状態に変化する温度を示し、この値により材料の使用可能温度範囲が決まります 。
参考)ガラス転移点(Tg)とは?|転移温度の一覧 href="https://glass-kouji.com/glasstransitionpoint-tg/" target="_blank">https://glass-kouji.com/glasstransitionpoint-tg/amp;#8211; …
代表的な汎用プラスチックのTg値について詳しく見てみましょう。ポリエチレン(PE)のTgは-120~-90℃と非常に低く、室温では常にゴム状態にあるため柔軟性に優れています 。ポリプロピレン(PP)のTgは-20~0℃で、冷凍庫内では脆くなりやすい特性があります 。ポリスチレン(PS)のTgは90~100℃と高く、室温では硬いガラス状態を維持します 。
参考)樹脂プラスチックの耐寒性(脆化温度/Tg)データ一覧 - 樹…
エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は金属代替材料として注目され、優れたTg特性を持ちます 。ポリカーボネート(PC)のTgは140~150℃と高温域でも剛性を保持できます 。ポリエチレンテレフタレート(PET)のTgは70~80℃で、食品容器や繊維用途に適用されています 。ナイロン系材料では、ナイロン6が47℃、ナイロン66が70℃のTgを示します 。
参考)Glass transition - Wikipedia
特殊用途向けの高機能ポリマーは、極端な温度条件でも性能を発揮します。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のTgは-100℃と極低温でも柔軟性を維持し、化学的不活性も兼ね備えています 。ポリイミド(PI)は120℃以上の高Tgを持ち、電子機器の高温環境での使用に適しています 。PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は143℃のTgを持ち、航空宇宙分野での金属代替材料として活用されています 。
参考)https://www.toishi.info/sozai/plastic/hr.html
ガラス転移温度の正確な測定は材料の品質管理において重要です。示差走査熱量測定(DSC)法が最も一般的で、比熱変化を利用してTgを特定します 。DSCでは昇温速度10℃/minでの測定が推奨されており、微量試料でも高精度な測定が可能です 。熱機械分析(TMA)法では熱膨張係数の変化からTgを求めることができ、DSCと併用することで信頼性の高いデータが得られます 。
参考)ポリマーのガラス転移温度 - その重要性、測定、および用途 …
金属加工業界では、ポリマーの軽量性と加工性を活かした金属代替が進んでいます 。鉄からの樹脂化により重量を5分の1から6分の1に軽量化でき、アルミからでも2分の1の軽量化が実現できます 。自動車産業では燃費向上を目的とした軽量化が重要視され、適切なTgを持つポリマーが選択されています 。電子機器分野では絶縁性と軽量性を両立するポリカーボネートやエポキシ樹脂が広く採用されています 。
参考)金属部品の樹脂化(金属代替)を実現するエンプラと樹脂CAE