合成繊維の種類と特徴から用途まで詳細解説

合成繊維の種類

合成繊維の基本的な分類体系

合成繊維は石油や天然ガスを原料として化学的に合成された繊維の総称で、1935年にウォーレス・カロザースが開発した6,6-ナイロンが世界初の合成繊維です 。現在では13種類の合成繊維が定義されており、主に以下のように分類されます 。
参考）No. 22 「化学繊維には13種類の合成繊維があります…」…

 

• ポリアミド系: ナイロン6、ナイロン66など
• ポリエステル系: PET（ポリエチレンテレフタレート）など
• ポリアクリロニトリル系: アクリル繊維各種
• ポリウレタン系: スパンデックスなど
• ポリビニルアルコール系: ビニロン繊維

この中でもポリエステル、ナイロン、アクリルは「三大合成繊維」と呼ばれ、合成繊維全体の約95％を占めています 。
参考）https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termlist/1000652/1000763.html

 

合成繊維のポリエステルの特徴と用途

ポリエステルは世界で最も生産量が多い合成繊維で、テレフタール酸とエチレングリコールの縮重合によってPET（ポリエチレンテレフタレート）として製造されます 。
参考）合成繊維の特徴や種類を教えて！ │ 繊維の知識箱｜GSIクレ…

 

主な特徴:

• 耐久性と強度に優れる（摩耗・引き裂き・引っ張りに強い）
• 形状保持力が高く、しわになりにくい
• 速乾性があり洗濯しやすい
• 耐水性、耐薬品性、防かび性に優れる
• 日光に強く紫外線劣化しにくい

  参考）ポリエステルとは？ナイロンとの違いと素材の特徴をわかりやすく…

   

用途例:
衣料品では軽量でしわになりにくいため、シャツやスポーツウェアに重宝されています。家具分野では耐久性と防汚性を活かしてクッションやカーテンに、産業用途では自動車内装材やフィルターメディアとして活用されています 。
参考）お役立ちコラム

 

合成繊維のナイロンの機能性と応用

ナイロンは1936年にアメリカで開発された世界初の工業化に成功した合成繊維で、「ポリアミド」と呼ばれる合成樹脂から製造されます 。摩擦に対する強度は綿の約10倍という優れた耐摩耗性を持ちます 。
参考）合成繊維の種類や特徴をチェック！天然繊維との違いとは｜くつな…

 

主な特徴:

• 摩擦・摩耗に極めて強い（綿の約10倍の強度）
• 軽量で弾力性がある
• 耐薬品性に優れる
• 染色性が良く発色性に優れる
• 繊維自体に伸縮性がある

用途例:
レイングッズやアウター、スポーツウェア、バッグやストッキングから、カーペットなどのインテリア用品、楽器の弦まで幅広く使用されています。金属加工現場では、耐摩耗性を活かした保護服や作業用グローブの素材としても利用されています 。

合成繊維のアクリルの性質と利用分野

アクリル繊維はアクリロニトリルを主原料とする合成繊維で、ウールに最も近い触り心地を持つことが特徴です 。比重は1.14～1.17、融点は約160℃で、水分率は1.2～2.0％となっています 。
参考）アクリル繊維（acrylic fiber）について説明をしま…

 

主な特徴:

• 軽量で柔らかい肌触り（ウールより軽い）
• 保温性に優れふっくら暖かい
• 染色性が高く鮮やかな発色が可能
• 耐光性、耐候性に優れる
• 酸やアルカリなどの薬品に強い

用途例:
セーターやマフラーなどの毛織物用衣料に多用されるほか、ブランケットやカーペット、ソファカバーなどの家庭用品にも利用されています。工業用途では防音材やフィルター素材、医療分野では包帯やガーゼの素材としても採用されています 。
参考）お役立ちコラム アクリル繊維ってどんなもの？メリット・デメリ…

 

合成繊維のポリウレタンとビニロンの特殊用途

ポリウレタン（スパンデックス） は別名スパンデックスと呼ばれ、ゴムのような伸縮性を持つ合成繊維です。イソシアネート基と水酸基を有する化合物の重付加により生成され、ストレッチ素材として衣類に多用されています 。
ビニロン繊維 は1950年にクラレが世界初の工業化に成功した日本初の合成繊維で、ポリビニルアルコールをアセタール化して製造されます 。繊維強度が高く、耐候性・耐薬品性に優れているため、工業用・産業用分野で広く活用されています 。
参考）ビニロン繊維（vinylon fiber）・PVA繊維につい…

 

特殊な用途:

• セメント補強材（アスベスト代替）
• 水産分野の魚網やロープ
• 農業資材ネット
• 特殊紙分野での補強材

燃焼時にダイオキシンやアンモニアなどの有害物質を発生させない環境に優しい特性も持っています 。

合成繊維と金属加工分野での独自活用法

金属加工分野では、合成繊維を金属粒子と組み合わせた革新的な応用が注目されています。合成繊維に金属粒子を固定する技術により、化成品の合成におけるフロー反応用触媒の製造が可能となっています 。
参考）合成繊維に金属粒子を固定する技術：化成品の製造効率を向上させ…

 

金属加工での活用例:

• 金属繊維との複合材料による強化繊維
• 導電性を付与した金属化繊維布
• 耐熱性作業服の素材
• 研磨材や濾過材への応用

金属繊維は従来の炭素繊維やガラス繊維と組み合わせて「ハイブリッド」複合構造を作ることも可能で、カーボン、ガラス、スチールすべての利点を併せ持つ材料開発に貢献しています 。自動車産業では粒子濾過用フィルタやヒーティングケーブル、航空宇宙分野では液体濾過や音響減衰媒体として金属繊維が活用されています 。
参考）金属繊維 - Wikipedia

 

合成繊維の製造方法は石油・天然ガスからチップを作り、熱で溶かしてノズルから押し出して繊維化する工程が基本となっており、ノズルの形状により様々な断面を持つ繊維が製造できます 。この技術により、金属加工現場のニーズに応じた機能性繊維の開発が進んでいます。
参考）合成繊維（ゴーセン）って何から出来てるの？どういう方法で作っ…