定款の認証に必要書類を完全解説・費用と手順

定款の認証に必要な書類を、紙・電子定款別にわかりやすく解説。印鑑証明書の有効期限や実質的支配者申告書など、見落としがちなポイントまで詳しく紹介します。会社設立前に確認しておくべき情報とは?

定款の認証に必要書類・費用・手順を徹底解説

電子定款にすれば、紙の定款と比べて収入印紙代4万円が丸ごと不要になります。


この記事の3つのポイント
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必要書類は状況によって変わる

定款の形式(紙・電子)、手続きする人(本人・代理人)、発起人の属性(個人・法人)によって準備すべき書類が異なります。事前チェックが必須です。

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電子定款で最大4万円節約できる

紙の定款では収入印紙代4万円が必要ですが、電子定款ではこれが不要。トータルの費用差は大きく、賢く選ぶことが重要です。

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2024年3月からWEB会議が原則

定款認証の面前審査は、2024年3月1日よりウェブ会議での実施が原則化。希望しない場合のみ公証役場へ出向く形に変わりました。


定款の認証とは何か・認証が必要な会社の種類

定款認証とは、会社の設立時に作成した定款(会社の根本的なルールを定めた文書)の正当性を、公証人が公的に証明する手続きのことです。認証を受けることで、「発起人全員の合意のもとで正しく作成された定款である」という事実が公的に記録されます。


この手続きは、定款の紛失・改ざん・社内紛争のリスクを防ぐとともに、マネー・ロンダリング対策としての意味も持っています。つまり、単なる書類のチェックではありません。


定款認証が必要なのは、以下の法人に限られています。


- 株式会社(最も一般的)
- 一般社団法人・一般財団法人
- 税理士法人・司法書士法人・弁護士法人などの士業法人
- 信用金庫・相互会社・特定目的会社


一方で、合同会社(LLC)・合名会社・合資会社といった持分会社は、定款の作成は必要ですが公証役場での認証は不要です。株式会社と合同会社で設立コストが異なる大きな理由のひとつが、この認証の有無です。合同会社を選べば、認証手数料(最低3万円)と収入印紙代(4万円)を丸ごと節約できます。


つまり、会社形態の選択が設立コストに直結します。


定款認証が義務付けられているのは、株式会社が「経営と所有の分離」を前提とした複雑な構造を持ち、不特定多数が関わる設計になっているためです。


日本公証人連合会「定款認証(公証事務Q&A)」|認証が必要な法人の種類・手続きの根拠条文を確認できます。


定款の認証に必要書類チェックリスト【全員共通の基本4点】

定款認証の書類は、「全員に共通する基本書類」と「状況によって追加される書類」に分かれます。まず全員が必ず準備すべき4点から押さえましょう。


① 定款本体(紙の場合は3通)


紙の定款では、同内容のものを3通作成します。用途はそれぞれ、公証役場保管用・会社保管用(原始定款)・登記申請用です。3通すべてに発起人全員が実印で押印し、袋とじなどで製本します。電子定款の場合は、PDF形式のデータに電子署名を施したものを用意します。


② 発起人全員の印鑑登録証明書


これが意外と落とし穴です。発行後3か月以内のものしか使えません。早めに取りすぎると期限切れになります。市区町村の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニのマルチコピー機でも取得可能な自治体が増えています。発起人が複数いる場合は、全員分を用意してください。


実質的支配者となるべき者の申告書


2018年11月の制度開始から義務化されているにもかかわらず、初めて会社を設立する人の多くが見落とす書類です。これは会社を実質的に支配する個人を明らかにし、暴力団員や反社会的勢力に該当しないことを申告するための書類です。株式会社の場合、議決権の50%超を保有する個人が実質的支配者に該当し、該当者がいなければ25%超保有者、それでもいなければ代表取締役が対象となります。書式は日本公証人連合会のウェブサイトからダウンロードできます。


④ 手続きする人の本人確認書類と印鑑


運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど、顔写真付きの公的書類を用意します。印鑑は認印で構いませんが、シャチハタは不可です。発起人の実印とは別物なので混同しないようにしましょう。


まとめると4点が基本です。


| 書類名 | 注意点 |
|---|---|
| 定款本体(紙3通 or 電子PDF) | 紙は発起人全員の実印・製本必須 |
| 発起人全員の印鑑登録証明書 | 発行後3か月以内のみ有効 |
| 実質的支配者となるべき者の申告書 | 本人確認書類の写しも添付 |
| 手続きする人の本人確認書類と認印 | シャチハタは不可 |


定款の認証に必要書類【紙定款vs電子定款の違いと収入印紙4万円】

基本4点に加えて、「紙の定款」か「電子定款」かによって追加で準備するものが変わります。この選択が費用面で大きな差を生みます。


紙の定款を選ぶ場合の追加書類


最大のポイントは収入印紙4万円です。印紙税法の課税文書に該当するため、紙で作成した定款には4万円分の収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙は郵便局や法務局内の販売所で購入してから、公証役場に持参してください。


加えて、3通すべての製本と発起人全員の実印押印が必要です。定款に不備があると当日修正を求められることがあり、捨印をあらかじめ押しておくと訂正がスムーズになります。


電子定款を選ぶ場合の追加書類・機材


電子定款では収入印紙代の4万円が不要になります。これは電子定款が「電磁的記録」として印紙税法上の課税文書に該当しないためです。その代わり、以下の準備が必要です。


- マイナンバーカード(電子署名に使用)
- ICカードリーダライタ(マイナンバーカード読み取り用)
- 電子署名用ソフト
- 認証済み定款を受け取るためのUSBメモリまたはCD-R


ICカードリーダライタは2,000〜3,000円程度で購入でき、電子署名用ソフトはAdobe Acrobatなどが使われます。自分で準備するのが手間であれば、行政書士に電子定款の作成を代行してもらうことも可能です。その場合、代行費用(1〜3万円程度)が別途かかりますが、それでも収入印紙代4万円の節約効果でトータルはお得になります。これは使えそうです。


認証済みの定款データは公証役場でUSBメモリ等に保存してもらいますが、公証役場によってはオンライン受領に対応していることもあります。事前に管轄の公証役場に確認することをおすすめします。


日本公証人連合会「定款認証の費用について(Q3)」|収入印紙代・認証手数料の根拠と金額を確認できます。


定款の認証に必要書類【代理人・発起人が法人の場合の追加書類】

発起人全員が公証役場に来られない場合、代理人を立てて手続きを進めることができます。その際は以下の書類が追加で必要です。


代理人が手続きをする場合


- 発起人全員からの委任状(実印押印)
- 発起人全員の印鑑登録証明書(発行後3か月以内)
- 代理人自身の本人確認書類
- 代理人の印鑑(認印可、シャチハタ不可)


委任状には「定款認証に関する権限を代理人〇〇に委任する」旨を明記し、発起人全員が実印で押印します。書式は日本公証人連合会のウェブサイトでサンプルが公開されていますが、記載内容が要件を満たせば書式は自由です。


司法書士や行政書士に依頼する場合、委任状の書式は専門家側が用意してくれるケースがほとんどです。


発起人が法人(会社)の場合


子会社を設立する際や、既存の法人が出資する場合は、個人の書類に代わって以下が必要です。


- 法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 法人の印鑑証明書(発行後3か月以内)


いずれも法務局の窓口またはオンラインで取得できます。公証役場によっては、登記事項証明書の原本提示とコピー提出を求められる場合があります。事前に管轄の公証役場へ確認しておくと安心です。


代理人可、が原則です。


定款の認証の費用・手順とWEB会議対応の最新情報

費用と手順の全体像を把握しておくことで、準備のスケジュールが組みやすくなります。費用は電子定款を選ぶかどうかで大きく変わります。


費用の比較(株式会社・資本金300万円以上の場合)


| 項目 | 紙の定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 認証手数料 | 3〜5万円 | 3〜5万円 |
| 収入印紙代 | 4万円 | 不要 |
| 謄本・同一情報提供手数料 | 約2,000円 | 約700円〜 |
| 合計目安 | 約9万2,000円 | 約5万2,000円 |


資本金が100万円未満なら認証手数料は3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上なら5万円です(公証人手数料令第35条、2022年1月改正)。


手続きの流れ


1. 定款を作成し、公証役場に事前チェックのためにメール・FAXで送付
2. 内容確認後、認証の日時を予約
3. 当日、必要書類を持参して認証を受け、手数料を支払う
4. 認証済み定款を受け取り、その後法務局で設立登記申請


不備がなければ、当日30分前後で手続きが完了します。


2024年3月1日からWEB会議が原則


2024年3月1日より、公証役場における定款認証の面前審査は、利用者が特に対面での実施を希望しない限り、ウェブ会議で行うことが原則化されました。これは日本公証人連合会が定めたルール変更で、全国すべての公証役場が対象です。スマートフォンやパソコンさえあれば、自宅や職場から認証手続きが完結するため、公証役場への交通費と移動時間を節約できます。


どこでも完結、が新常識です。


対面を希望する場合は「ウェブ会議の利用を希望しない旨の申告書」を提出すれば、従来通り公証役場で手続きを受けられます。また、2021年2月には電子定款認証と設立登記のオンライン同時申請制度も導入されており、一定の条件を満たせば24時間以内に登記が完了するケースもあります。


なお、定款認証は本店所在地を管轄する法務局に所属する公証人しか行えません(公証人法第62条ノ2)。管轄外の公証役場で認証を受けた場合は無効になるため、必ず自社の本店所在地の管轄公証役場を事前に確認してください。東京都内であれば東京法務局所属の公証人(都内の公証役場)が対応しますが、北海道は札幌・函館・旭川・釧路で管轄が異なるため特に注意が必要です。


法務省「オンラインによる定款認証及び設立登記の同時申請の取扱いについて」|電子定款と設立登記を同時申請する具体的な手続き方法が確認できます。


定款の認証で見落としがちな「書類有効期限」と独自の節約チェックポイント

書類を揃えたつもりでも、認証当日にNGとなるケースが少なくありません。見落としやすいポイントを整理します。


印鑑登録証明書の「3か月ルール」は厳格


公証役場での定款認証における印鑑登録証明書の有効期限は、発行後3か月以内です(日本公証人連合会規定)。以前は6か月有効でしたが、2005年4月1日の改正で3か月に短縮されました。


発起人が複数人いる場合、全員がそれぞれ証明書を取得する必要があります。一人でも期限切れがあると、当日の手続きがすべて止まります。痛いですね。


対策として、認証予約日の1〜2週間前を目安に取得するのがベストです。早すぎると期限切れリスクが上がり、遅すぎると取得が間に合わない可能性があります。マイナンバーカードを持っていれば、コンビニで数百円・数分で取得できるため、直前に取得するのがおすすめです。


定款認証後の謄本は必ず複数部受け取る


定款認証が完了すると、認証済みの謄本(または同一情報の提供)が受け取れます。この謄本は設立登記申請に使うだけでなく、法人銀行口座の開設、日本政策金融公庫などの創業融資申請、各種許認可の申請など、会社設立後の手続きでも繰り返し提出が求められます。


謄本は必要な数だけ認証日にまとめて発行してもらうのが合理的です。後から再取得することも可能ですが、公証役場の保存期間は最長20年で、その後は取得できなくなります。


48時間処理制度の活用で設立を加速する


日本公証人連合会が提供する「定款作成支援ツール」を使って定款を作成すると、原則48時間以内に定款認証までオンラインで完結させる試行制度が東京都・福岡県の公証役場で運用されています(2024年時点)。通常の認証に比べて大幅にスピードアップできます。


これは使えそうです。急いで設立したい場合には、この制度の活用を検討してみましょう。


日本公証人連合会「定款作成支援ツールと48時間処理について」|オンライン完結で最短48時間以内に定款認証が終わる仕組みの詳細が確認できます。