bピラーの外し方において、適切な工具選択は作業効率と仕上がりを大きく左右します。まず内張り剥がし工具ですが、本当に柔らかい材質のものでは外しにくいため、できれば硬めのパネル剥がしで先の細いものを選択してください。
必要な工具は以下の通りです。
準備段階では、どのドア開口部に付いていたモールなのかメモを取ることが重要です。後で内装パーツを戻すときにスムーズに作業できます。特にルーフ内張りを外す場合は、いろいろなパーツをバラバラにするため、メモは必須作業となります。
シートベルトの取り外しは、bピラー外し方の中でも最も注意が必要な工程です。まずアシストグリップから始めます。アシストグリップはボルトが見えないように目隠しのフタで隠されているため、まずフタを開ける必要があります。
シートベルト上部のカバー取り外しが最難関です。スペーシアの場合を例にすると、内張り剥がしでこじるだけでは外せません。カバーの上端にツメがあり、上方向に差し込まれているためです。
正しい外し方。
カバーが外れたらボルトが見えます。ここは14mmと太めのボルトが使われることが多く、しっかりとしたソケットレンチで作業してください。10mmアタマのボルトの場合もあるため、車種に応じて適切なサイズを選択します。
bピラーの固定方法は主にクリップとピンによるものです。一般的には3カ所のクリップで止まっているだけですが、とても強力なので外すのは難儀な作業となります。
基本的な外し方の順序。
Bピラーの内張りの下側には、ツメで固定されているタイプもあります。このタイプのBピラー内張りは、ツメを指でつまみながら外す必要があります。単純に引っ張るだけでは外れないため、構造を理解してから作業に入ってください。
ピンで固定されている部分は、内張り剥がしで手前に引くだけで外れますが、返し付きのピンを使用している車両もあります。この場合、上から外そうとしても無理があるため、必ず下から外すことが重要です。
実際の現場では様々なトラブルが発生します。最も多いのがシートベルトカバーの破損です。無理に引っ張って割ってしまうケースが頻発しています。
よくあるトラブルと対策。
カバーの破損防止
シートベルト上部のカバーは形状的に引っかかりがありますが、実際の固定はされていません。焦らずに構造を理解してから作業に入ることで破損を防げます。
ピンの紛失対策
車体に残った金属ピンは、ラジオペンチで外してプラカバーに再度嵌め直しておきます。作業中に紛失しやすい部品のため、取り外し後すぐに所定の位置に戻す習慣をつけてください。
工具の選択ミス
柔らかすぎる内張り剥がしを使用すると、作業効率が著しく低下します。硬めの材質で先端が細いものを選択することで、確実な作業が可能になります。
エアバッグ装備車の特殊構造
カーテンエアバッグ装備車では、エアバッグ展開時にカバーが吹き飛ばないよう、返し付きピンを使用しています。この構造を知らずに上から外そうとすると、部品破損の原因となります。
車種によってbピラーの構造は大きく異なります。特にエアバッグ装備の有無で作業手順が変わるため、事前確認が必須です。
セレナ(C25系)の特徴
カーテンエアバッグのため、返し付き金属ピンを使用。上部のピンには返しがあり、車体側の穴にしっかり嵌っています。必ず下から外す必要があり、上から外そうとすると無理があります。
スペーシア(MK32S)の特徴
シートベルト上部のカバーに上向きのツメがあり、上方向に差し込まれている構造。下方向に押し下げながらの作業が必要で、他車種とは手順が大きく異なります。
ランドクルーザープラドの特徴
フロントピラー・センターピラー・リヤピラー周辺の修理・取り外し・改造に関して、メーカーマニュアルで詳細な注意事項が記載されています。特にシートベルトの高さ調節機構との兼ね合いで、慎重な作業が求められます。
エアバッグ非装備車での対応
カーテンエアバッグを装備していない車両でも、部品共用化のため同じ構造を採用していることがあります。一度外したら、返しを削るか普通の金属ピンに交換することで、次回からは上から外すことが可能になります。
新型車両の傾向
最近の車両では、より複雑な固定方法を採用している場合があります。作業前には必ずサービスマニュアルを確認し、特殊工具の要否を判断してください。
作業効率向上のためには、車種別の特徴を事前に把握し、適切な工具と手順で臨むことが重要です。無理な作業は部品破損につながるため、構造理解を優先して安全な作業を心がけてください。