a接点は「メーク接点」や「ノーマリーオープン(NO)接点」とも呼ばれ、通常時は回路が開いている状態を保ちます。コイルに電流が流れると接点が閉じて回路が導通し、電気が流れるようになる仕組みです。
車の整備現場では、a接点は以下のような場面で頻繁に使用されています。
a接点の動作確認は、テスターを使用して導通チェックを行います。通常時は無限大(∞)を示し、動作時に導通(0Ω近く)を示すのが正常な状態です。
整備士として知っておくべきポイントは、a接点が故障した場合、「電気が流れない」トラブルが発生することです。例えば、ヘッドライトが点灯しない場合、ヒューズやバルブだけでなく、リレーのa接点の動作不良も疑う必要があります。
b接点は「ブレーク接点」や「ノーマリークローズ(NC)接点」と呼ばれ、a接点とは逆の動作をします。通常時は回路が閉じており電気が流れていますが、動作時に回路が開いて電気の供給を停止する特性があります。
車両の安全システムにおいて、b接点は重要な役割を果たしています。
b接点が採用される理由は「フェイルセーフ」の考え方にあります。万が一リレーが故障した場合でも、安全側に動作するよう設計されているのです。例えば、燃料ポンプリレーが故障しても、燃料が止まることで火災リスクを回避できます。
整備時の注意点として、b接点の故障診断は「通電していない状態」を確認する必要があります。テスターで導通チェックを行い、通常時に導通があり、動作時に無限大を示すかを確認します。
現代の車両では、ECU(エンジンコントロールユニット)がb接点を活用した安全制御を多数実装しており、整備士はこれらの動作原理を理解することが求められています。
c接点は「トランスファ接点」または「切換接点」と呼ばれ、一つの接点でa接点とb接点の機能を併せ持つ特殊な構成です。通常時はNC(ノーマリークローズ)端子と接続され、動作時にNO(ノーマリーオープン)端子に切り替わります。
車の電装システムにおけるc接点の代表的な活用例。
c接点の最大の利点は、2つの回路を同時にONすることができない「インターロック機能」にあります。これにより、相反する動作(例:ワイパーの高速と低速の同時作動)を防ぐことができます。
整備現場での診断方法として、c接点は3つの端子(COM、NO、NC)すべてをチェックする必要があります。
c接点の故障パターンとして、接点の溶着や腐食により切り替わらない症状が多く見られます。この場合、片方の回路は動作するがもう片方が動作しない、または中途半端な動作を示すことがあります。
車の配線図や回路図において、リレー接点は標準化された記号で表示されます。JIS(日本産業規格)に基づく記号の理解は、整備士にとって必須スキルです。
接点記号の基本パターン:
リレー表記の読み方:
現代の車両診断において、配線図の記号を正確に読み取る能力は故障診断の精度に直結します。特に輸入車の場合、国際規格(ISO)に基づく記号が使用されることもあるため、幅広い知識が求められます。
端子番号の標準化:
多くの車両メーカーでは、リレーの端子番号を統一しています。
この標準化により、メーカーを問わず効率的な診断作業が可能になっています。
車の整備現場では、接点に関連するトラブルが頻繁に発生します。適切な診断手法と対処方法を身につけることで、効率的な修理作業が可能になります。
よくある接点トラブルの症状と原因:
段階的診断アプローチ:
予防保全のポイント:
定期点検時に以下の項目をチェックすることで、接点トラブルを未然に防げます。
現代の車両では、ECUが接点の動作状況を監視し、異常を検知すると故障診断コード(DTC)を記録する機能があります。診断機を活用することで、より精密な故障箇所の特定が可能になっています。