LEDの配線作業において最も重要なのは極性の正確な理解です。電源のプラスをLEDの足の長い方(アノード)に、マイナスをLEDの足の短い方(カソード)に接続します。逆に接続すると即座に破損するため、車両整備においては特に注意が必要です。
車両用LED配線では、12V系統での使用が一般的ですが、エンジン稼働時は14.2Vまで上昇するため、この電圧で計算する必要があります。例えば、白色砲弾型LEDを3個直列接続する場合、各LEDの定格電圧(Vf)が3.4Vなので、合計10.2Vの電圧を消費します。
抵抗値の計算は「(電源電圧 - Vf × LED直列接続数)/ 流したい電流 = 抵抗値」の公式を使用します。14.2V電源で20mA流す場合、(14.2 - 10.2)/ 0.02 = 200Ωとなります。
車両の既存照明からLEDへの切り替え時には、配線工事が必要となります。特に蛍光灯器具に組み込まれている安定器は、LED照明では不要となるため、電気が安定器を経由しないように配線工事を行わなければなりません。
安定器を残したまま接続すると、LEDの動作不良や寿命短縮につながります。さらに、電圧の不安定さによる照明のちらつきや、最悪の場合火災の原因となる危険性もあります。
車両整備においては、以下の手順で安全に作業を進めることが重要です。
適切な工事を行わないと火災や電気ショートの原因となるリスクがあるため、電気工事の知識と経験が重要です。
LEDテープは車内照明のカスタマイズにおいて非常に有用な部品です。チップLEDを並列回路で配線し、帯状にして壁や天井などに貼り付けることができる形態で、はさみやニッパーで任意の長さに切断可能です。
車両用途では、主に2端子タイプ(VCCとGND)が使用され、電球色に近い白色や橙色が室内照明として人気です。配線時には以下の点に注意が必要です。
車内への取り付けでは、両面テープによる固定後、シリコンコーキング剤での追加固定が推奨されます。また、配線が光源の邪魔にならないよう、螺旋状に配置するか、コードステッカーで適切に固定することが重要です。
LEDストリップの配線において、電圧降下は深刻な問題となります。特に長距離配線では、電源から最も遠いLEDの光出力が著しく低下する可能性があります。
直列接続では電流が一つの経路しか通らないため、電流の流れにボトルネックが生じ、遠い部分への電圧と電流供給が不足します。一方、並列接続では各LEDストリップに直接電源を供給できるため、電圧降下の影響を軽減できます。
車両整備における電圧降下対策。
電源容量は、LEDストリップ総電力の80%を超えないよう設計することが安全基準です。
車両整備におけるLED配線のトラブルは、多くの場合、基本的な配線ミスや環境要因によるものです。整備士として押さえておくべき診断ポイントを解説します。
最も多いトラブルは極性の逆接続です。LEDは極性を持つ部品のため、プラスとマイナスを逆に接続すると即座に破損します。テスターを使用して、まず電源電圧の確認、次にLED端子での電圧測定を行い、適切な電圧が供給されているかを確認します。
車両特有のトラブルとして、振動による接続部の緩みがあります。特にエンジンルーム周辺では、継続的な振動により、ハンダ接続部やコネクタ部分に疲労が蓄積されます。定期的な接続部の点検と、振動対策としてのケーブル固定が重要です。
また、温度変化による影響も無視できません。LEDは高温環境で性能が劣化し、寒冷地では始動時の電圧変動が問題となることがあります。これらの環境要因を考慮した配線設計と部品選択が求められます。
トラブルの予防には、適切な配線径の選択、確実な絶縁処理、そして定期的なメンテナンスが不可欠です。特に業務用車両では、使用頻度が高いため、より厳格な品質管理が要求されます。